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あまね🍡💠
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いやー、これめっちゃ良かった…! 第25話、それぞれの役割がはっきりしてきた感じがして胸熱だったわ。特に湊の「音を聞こうとしていた」って日下部の言葉、グッときた。能力がある人には見えないことに気づけるのが湊の強さなんだなって。七人の連携も少しずつ形になってきてて、このチーム好きだわ。第一段階修了おめでとう! 続きが楽しみすぎる🔥
育成プログラム施設。
訓練場には、七人のメンバーが並んでいた。
神童輝羅。
九条蓮。
蒼井源太。
如月希。
黒崎駿斗。
天城楓。
そして。
朝霧湊。
七人の前に立つ日下部が、静かに口を開いた。
「今日で。」
少し間を置く。
「育成プログラム第一段階。」
「最後の訓練だ。」
七人の表情が変わった。
最後の訓練。
湊は、ここへ初めて来た日のことを思い出す。
何をすればいいのか。
自分に何ができるのか。
何一つ分からなかった。
それでも。
九条から学び。
蒼井とぶつかり。
如月の考えを知り。
黒崎と天城の訓練を見た。
そして。
本当の災害現場にも立った。
日下部が続ける。
「今回の課題は。」
「総合救助訓練。」
訓練場のモニターに映像が映る。
倒壊した建物。
燃え広がる炎。
停電した施設。
立ち込める煙。
逃げ遅れた人々。
「実際の災害を想定する。」
日下部は七人を見渡す。
「今回は。」
「俺から指示を出さない。」
湊が顔を上げる。
「現場を見ろ。」
「自分で考えろ。」
「そして。」
「自分にできることを判断しろ。」
七人は黙って日下部の言葉を聞いていた。
「制限時間内に。」
「全ての要救助者を救出しろ。」
「以上。」
サイレンが鳴り響いた。
訓練開始。
「行くぞ!」
輝羅の声と同時に。
七人が一斉に走り出した。
訓練施設へ入った瞬間。
辺りは暗闇に包まれていた。
照明が落ちている。
煙によって、前もほとんど見えない。
「停電か。」
輝羅は周囲を見渡す。
そして。
迷うことなく、制御設備の方向へ走った。
「まずは電源を戻す。」
右手を設備へ向ける。
輝羅の身体から。
雷が走った。
バチッ!
暗闇だった施設内に。
一斉に照明が点く。
停止していた非常設備も動き始めた。
「復旧した!」
湊が声を上げる。
しかし輝羅は、その場には残らなかった。
「次へ行く。」
蓄えている雷には限りがある。
一つの場所へ。
全ての力を使うわけにはいかない。
輝羅は次の現場へ向かって走り出した。
別の場所では。
巨大な瓦礫が避難経路を塞いでいた。
蒼井が瓦礫の前で止まる。
すぐには触らない。
崩れた壁。
地面の亀裂。
瓦礫の重なり。
周囲にいる人形の位置。
一つずつ確認する。
「蒼井。」
九条が声をかける。
「動かせるか。」
蒼井は目を細める。
「このまま持ち上げたら。」
「右の壁が崩れる。」
九条が右側を見る。
確かに。
瓦礫の一部が壁を支えていた。
「先に下の瓦礫を抜いてくれ。」
「分かった。」
九条が右手を向ける。
念力によって。
小さな瓦礫が一つずつ浮かび上がる。
安全な場所へ移されていく。
蒼井はその様子を見ながら。
動かすタイミングを待った。
「……今だ。」
両手を巨大な瓦礫へかける。
「ふっ!」
ゴゴゴッ!
巨大な瓦礫が持ち上がった。
九条が念力で周囲を支える。
「避難経路。」
「確保。」
二人の間に。
余計な言葉はなかった。
それでも。
何をすればいいのか。
互いに分かっていた。
反対側。
火災が発生している区画。
黒崎が金属製の障害物を見る。
その奥には。
救助者役の人形がいる。
「ここを切る。」
黒崎は周囲を確認する。
近くに燃え移る物はないか。
煙はどこへ向かっているか。
救助経路は残るか。
確認を終えると。
一点へ炎を集中させた。
ゴオッ!
金属が。
少しずつ赤くなる。
黒崎は炎の広がりを抑えながら。
必要な部分だけを焼いていく。
パキン!
金属が切断された。
その頃。
別の通路では。
大量の煙が充満していた。
「ここは私かな。」
天城が前へ出る。
風の流れを確認する。
右手を軽く動かす。
風が吹いた。
しかし。
いきなり強い風は使わない。
煙の流れを見ながら。
少しずつ風量を上げていく。
「こっち。」
煙が救助者から離れていく。
外へ続く通路へ。
ゆっくりと流されていく。
視界が開ける。
その先。
別の区画では。
炎が広がろうとしていた。
如月が静かに前へ出る。
右手を向ける。
足元から。
白い氷が走った。
炎へ向かって。
一気に広がる。
だが。
如月は全てを凍らせない。
人が通る場所。
避難経路。
出口。
そこには氷を作らない。
炎が広がろうとする方向だけを。
氷の壁で塞いでいく。
「炎だけを見ない。」
如月が小さく呟く。
逃げる人。
助けに入る人。
その全てが動ける道を残したまま。
延焼だけを止めた。
湊は施設内を走りながら。
仲間たちの姿を見ていた。
輝羅は。
停電を復旧させたあと、次の場所へ向かった。
九条は。
念力で細かな瓦礫を動かし。
蒼井が力を使える状況を作った。
蒼井は。
力だけに頼らず、崩落の危険を見極めた。
如月は。
炎ではなく、その先にいる人を見ていた。
黒崎は。
自分の炎が広がらないよう、慎重に使っていた。
天城は。
煙の流れを見ながら、風を調整していた。
誰も。
日下部から指示されていない。
それでも。
全員が。
自分の役割を考えて動いている。
(すごい……。)
湊は思う。
能力が強いからだけではない。
判断。
経験。
訓練。
そして。
仲間を信じること。
それぞれが違うから。
できることがある。
しかし。
湊はまだ。
自分が何をすればいいのか。
見つけられていなかった。
周囲を走りながら。
救助された人形の数を確認する。
一人。
二人。
三人。
その時。
湊の足が止まった。
「……。」
何かがおかしい。
訓練開始前。
モニターに表示されていた要救助者の人数。
そして。
今までに救助した人数。
湊は頭の中で数える。
もう一度。
確認する。
「一人……。」
小さく呟く。
「一人、足りない。」
周囲を見る。
他のメンバーたちは。
まだそれぞれの場所で作業を続けている。
輝羅の雷。
黒崎の炎。
天城の風。
九条が動かす瓦礫。
蒼井が支える音。
様々な音が。
施設内に響いていた。
やがて。
一つずつ。
作業が終わっていく。
能力の音が。
少しずつ止まっていく。
その瞬間。
「コン……。」
湊は顔を上げた。
今。
何かが聞こえた。
周囲を見る。
誰も反応していない。
「……気のせい?」
耳を澄ませる。
雷の音はない。
炎の音も。
風の音も止まっている。
もう一度。
「コン……。」
本当に小さな音。
普通なら。
聞き逃してしまうほどの音。
だが。
湊は聞いていた。
周囲の音を。
最後まで。
「まだ誰かいる!」
湊は走り出した。
「朝霧!」
輝羅の声が聞こえる。
「どうした!」
湊は走りながら答える。
「まだ一人います!」
「音が聞こえました!」
「どこだ!」
「こっちです!」
湊は音のした方向へ向かう。
その先には。
大量の瓦礫が積み重なっていた。
目で見ても。
人がいるとは分からない。
湊は瓦礫へ近づく。
「聞こえますか!」
返事はない。
もう一度。
耳を澄ませる。
「コン……。」
確かに。
瓦礫の奥から聞こえる。
「ここです!」
湊が叫ぶ。
「この下に誰かいます!」
輝羅。
九条。
蒼井。
如月。
黒崎。
天城。
全員が湊の元へ集まった。
輝羅が瓦礫を見る。
「俺が壊す。」
すぐに雷を使おうとする。
その時。
「待って。」
湊が止めた。
輝羅が湊を見る。
「何だ。」
「瓦礫の下に人がいます。」
「雷を使ったら。」
湊は積み重なった瓦礫を見る。
「もっと崩れるかもしれない。」
輝羅は一瞬黙った。
そして。
右手を下ろす。
「……分かった。」
以前なら。
輝羅の力なら何とかなる。
そう思っていたかもしれない。
でも。
強い力だからこそ。
使わない方がいい時もある。
「九条。」
輝羅が言う。
「上を固定できるか。」
九条が瓦礫を見る。
「できる。」
「ただし。」
「全ては支えられない。」
「蒼井。」
蒼井はすでに。
瓦礫の状態を確認していた。
「左側は触るな。」
「下の鉄骨が支えてる。」
「そこを動かしたら全部落ちる。」
黒崎が鉄骨を見る。
「切れないな。」
「ああ。」
蒼井が答える。
「今は切るな。」
天城が周囲の煙を確認する。
「煙は私が外へ流す。」
如月も足元を見る。
「地面が崩れそう。」
氷が。
瓦礫の周囲へ広がる。
人が通る場所を避けながら。
弱くなった地面だけを固定していく。
「輝羅。」
湊が言う。
「一番上の金属だけ。」
「外せますか?」
輝羅が見る。
瓦礫の最上部。
細い金属の棒が。
他の瓦礫に引っかかっている。
「できる。」
輝羅は指先を向けた。
大きな雷ではない。
細く。
正確な雷。
バチッ!
金属の一部分だけが外れた。
九条が。
念力で金属を持ち上げる。
安全な場所へ移動させる。
「次。」
蒼井が言う。
「この瓦礫を俺が持ち上げる。」
「九条。」
「右側を支えてくれ。」
「分かった。」
九条の念力が。
右側の瓦礫を固定する。
蒼井が手をかける。
「上げるぞ。」
巨大な瓦礫が。
ゆっくりと持ち上がる。
隙間ができる。
しかし。
まだ人が入れる大きさではない。
「黒崎。」
蒼井が言う。
「右の金属。」
「今なら切れる。」
黒崎は周囲を見る。
炎が燃え移る物はない。
煙は天城が外へ流している。
救助者からも離れている。
「切る。」
黒崎の炎が一点へ集まる。
赤くなった金属が。
切断される。
炎が消えた瞬間。
天城が手を動かした。
風が吹く。
強すぎない。
弱すぎない。
熱だけを外へ逃がす風。
黒崎が。
一瞬だけ天城を見る。
天城も黒崎を見る。
「どう?」
「……少し強い。」
「でも、前よりいい?」
黒崎は少し黙った。
「少しだけな。」
天城が笑う。
「じゃあ、次はもっと合わせる。」
二人の連携は。
まだ完璧ではない。
それでも。
昨日より。
確かに一歩進んでいた。
「開いた!」
九条が声を上げる。
瓦礫の間に。
人が通れるほどの隙間ができた。
湊が中を覗く。
薄暗い。
その奥。
誰かが横たわっている。
「僕が行きます。」
輝羅が湊を見る。
「お前はどうする。」
湊は答える。
「中へ入って。」
「助けます。」
輝羅は。
一度だけ隙間を見る。
そして。
「行け。」
「はい!」
湊は。
瓦礫の隙間へ身体を滑り込ませた。
中は暗かった。
埃。
煙。
湿った空気。
「聞こえますか!」
返事はない。
奥へ進む。
「大丈夫ですか!」
その時。
小さな音。
「コン……。」
すぐ近く。
「こっちだ。」
湊は音の方向へ進む。
そして。
一人の女性を見つけた。
二十代後半から。
三十代前半ほどの女性。
瓦礫の隙間に横たわっている。
額から。
少し血が流れていた。
「大丈夫ですか!」
女性が。
ゆっくりと目を開ける。
「……誰か。」
「助けに来ました。」
湊は女性の身体を確認する。
大きな怪我はなさそうだった。
しかし。
足が瓦礫に挟まれている。
「足、動かせますか?」
女性は小さく首を横に振った。
「挟まって……。」
湊は瓦礫を見る。
自分一人では動かせない。
「蒼井さん!」
外へ向かって叫ぶ。
「足が瓦礫に挟まれています!」
『場所は!』
「入口から真っ直ぐです!」
「右側の瓦礫です!」
蒼井の声が返ってくる。
『そこは動かすな!』
湊の手が止まる。
『上の瓦礫とつながってる!』
「どうすれば!」
少し間が空く。
『九条が浮かせる!』
『動いたら、すぐに引き出せ!』
「分かりました!」
女性の手を握る。
「今から瓦礫を動かします。」
「少しだけ我慢してください。」
女性が弱く頷く。
外では。
九条が集中していた。
瓦礫の位置。
重さ。
周囲とのつながり。
一つずつ確認する。
「動かす。」
九条の念力が。
瓦礫をゆっくりと浮かせる。
女性の足に。
少しずつ隙間ができる。
「今だ!」
蒼井の声。
湊は女性の身体を支える。
「行きます!」
一気に。
瓦礫の外へ引き出した。
女性が痛みに顔を歪める。
「大丈夫です。」
「もう挟まれていません。」
女性の腕を肩へ回す。
「外へ出ます。」
「歩けますか?」
「少しなら……。」
湊は女性を支えながら。
ゆっくりと出口へ向かう。
瓦礫の隙間。
外から光が見える。
「朝霧!」
輝羅が手を伸ばす。
湊がその手を取る。
女性と一緒に。
瓦礫の外へ出た。
救助成功。
女性はその場へ座り込んだ。
息を整える。
湊も。
大きく息を吐いた。
日下部が近づく。
「怪我は。」
女性が答える。
「足と……。」
「少し頭を打ちました。」
日下部は救護担当へ合図を送る。
女性の状態を確認したあと。
静かに尋ねた。
「どうやって。」
「自分の居場所を知らせたんですか。」
女性は息を整える。
そして。
ゆっくりと答えた。
「私は……。」
「音波感知能力なんです。」
七人が女性を見る。
如月が小さく呟く。
「音波感知……。」
女性は続ける。
「自分で出した音を。」
「周囲へ反射させて。」
「その反射音で。」
「物の位置や空間を確認できます。」
「瓦礫の中は真っ暗で。」
「どこに隙間があるのか。」
「どこが塞がっているのか。」
「それを調べるために。」
「鉄骨を軽く叩いていました。」
九条が女性を見る。
「珍しい能力ですね。」
女性は小さく頷く。
「でも。」
「瓦礫に埋まってからは。」
「音がほとんど外へ届かなくて……。」
「能力も。」
「上手く使えませんでした。」
女性は。
自分の手を見る。
「それでも。」
「少しでも誰かに届けばと思って。」
「ずっと。」
「鉄骨を叩いていました。」
湊は。
瓦礫の奥から聞こえた音を思い出す。
あまりにも小さかった。
能力を使わなければ。
瓦礫の外には。
ほとんど届かなかったはずの音。
女性が湊を見る。
「気づいてくれて。」
「ありがとうございました。」
湊は少し驚く。
そして。
「僕一人じゃありません。」
仲間たちを見る。
「みんながいたから。」
「助けることができました。」
女性は七人を見る。
「本当に。」
「ありがとうございました。」
救護担当が女性のもとへ駆け寄る。
額の特殊メイクを外しながら、身体の状態を確認する。
女性の足を挟んでいた瓦礫も、安全装置が組み込まれた訓練用だった。
女性は今回の総合訓練で用意された最後の要救助者役だった。
その存在は、七人には知らされていなかった。
訓練終了のブザーが鳴った。
――――――――
七人が。
日下部の前へ並ぶ。
全員の表情には。
疲れが見えていた。
しかし。
誰一人として。
俯いてはいなかった。
日下部は。
七人を順番に見る。
「九条。」
「はい。」
「考えることは武器だ。」
「だが。」
「考えることと。」
「迷うことは違う。」
九条は小さく頷く。
「はい。」
「蒼井。」
「はい。」
「力を使う前に。」
「崩れた後を見ろ。」
「持ち上げられることと。」
「安全に動かせることは違う。」
蒼井は真っ直ぐ前を見る。
「分かりました。」
「如月。」
「はい。」
「人を見る目は。」
「お前の強さだ。」
如月が日下部を見る。
「だが。」
「周囲ばかり見るな。」
「自分自身も見ろ。」
如月は少しだけ首を傾けた。
そして。
「はい。」
と答えた。
「黒崎。」
「はい。」
「慎重さは武器だ。」
「お前の炎には。」
「その慎重さが必要だ。」
黒崎は黙って聞いている。
「だが。」
「時間は待たない。」
「動かないことが。」
「危険になる時もある。」
黒崎は小さく頷く。
「はい。」
「天城。」
「はーい。」
日下部が天城を見る。
「感覚を言葉にしろ。」
「仲間は。」
「お前の頭の中までは見えない。」
天城は少し考える。
「言葉にするの。」
「苦手です。」
「知っている。」
「でも。」
「必要だ。」
天城は笑った。
「頑張ります。」
「輝羅。」
「はい。」
日下部は輝羅を見る。
「お前は強い。」
「それは間違いない。」
輝羅は何も言わない。
「だからこそ。」
「一人で全てをやろうとするな。」
「お前の身体は一つだ。」
「蓄えられる雷にも限界がある。」
輝羅の表情が少し変わる。
「一人で救える命には。」
「限界がある。」
輝羅は。
仲間たちを見る。
そして。
「分かりました。」
と答えた。
最後に。
日下部が湊を見る。
「朝霧。」
「はい。」
「今日。」
「最後の一人に気づいた理由が分かるか。」
湊は少し考える。
「人数が合わなかったことと。」
「音が聞こえたからです。」
日下部は。
静かに首を横へ振った。
「違う。」
湊が顔を上げる。
「聞こえたんじゃない。」
訓練場が静まり返る。
日下部は続ける。
「朝霧は。」
少し間を置く。
「最後まで。」
「聞こうとしていた。」
湊は目を見開いた。
日下部は。
残りの六人を見る。
「お前たちは。」
「自分の能力を使い。」
「目の前の問題へ対応していた。」
「それは間違いではない。」
「むしろ。」
「必要なことだ。」
そして。
再び湊を見る。
「だが。」
「朝霧には能力がない。」
「能力を使えないから。」
「周囲を見た。」
「音を聞いた。」
「人数を数えた。」
「自分にできることを。」
「最後まで探していた。」
湊は。
何も言えなかった。
「能力がないことは。」
日下部は言う。
「弱さだけじゃない。」
「能力がある者には。」
「見えないもの。」
「聞こえないもの。」
「気づけないものもある。」
「それがお前の役割だ。」
湊は。
自分の手を見る。
能力はない。
炎も。
氷も。
雷も。
風も。
念力も。
超怪力もない。
それでも。
自分にしかできないことが。
あるのかもしれない。
日下部は七人を見渡した。
「能力は違う。」
「考え方も違う。」
「得意なことも。」
「苦手なことも違う。」
「だからこそ。」
「支え合える。」
七人は。
静かに日下部を見ていた。
「一人では。」
「救えない命がある。」
「だが。」
「七人なら。」
「届くこともある。」
日下部は。
少しだけ表情を緩めた。
「育成プログラム第一段階。」
七人の表情が引き締まる。
「修了。」
誰も。
すぐには言葉を発しなかった。
九条。
蒼井。
如月。
黒崎。
天城。
輝羅。
そして。
湊。
七人は。
互いを見る。
能力は違う。
考え方も違う。
まだ。
完全な仲間とは言えないかもしれない。
それでも。
今日。
七人の力は。
一つの命へ届いた。
湊は。
小さく拳を握る。
初めてここへ来た日。
自分には。
何もできないと思っていた。
でも。
今は。
少しだけ。
違う。
自分にも。
この場所で果たせる役割がある。
そう思えた。
第25話 それぞれの役割 完