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『愛重恋愛-アイジュウ レンアイ-』〜愛が彼を狂わせる〜
最終話 間違った結末
ベリアンは自ら命を絶った。
負傷した私達は治療を受けて今は安静にしている。
ベリアンの遺体はグロバナー家に渡した。
後はこちらで処理をすると言っていたけれど…。
ベリアンによって殺されたロノ君とアモン君
主様は屋敷の庭に埋葬した。
『とは言っても…2人は悪魔執事で魔道服を身につけているから…その身が朽ちることはないんだけどね…』
(それに反して主様は……っ。)
コンコンっ。
『はい。』
ガチャ。
『調子はどうだ。ルカス。』
『うん。だいぶ良くなったよ。ミヤジが治療してくれたからだね。』
『元は医者として仕事していたんだ。当然だろう。』
『確かにそれもそっか。ハウレス君とボスキ君は?』
『2人なら回復していて部屋でトレーニングしていたよ。』
『そっか、若いっていいねぇ。』
『…そうだな。』
『…みんなの様子は?』
『…何とも言えないな。2階の執事のみんなに関しては心ここに在らずという感じで…。』
『ラムリ君もだよ…。アモン君と同い年で気もあったから…』
『フルーレ君もラト君もいつもと違う感じだった。ハナマルくんも悲しんではいたが後輩2人のあれをみたらね……』
『ベレン君もシロ君も戸惑ってたよ。ベレン君はベリアンと幼なじみであり…兄弟のような感じだったから尚更…』
『あぁ…でもいちばん辛いのは…同室の2人を同時に失った彼が…』
『あぁ……そうだね…。』
『主様を失い…執事2人も失って…みんな心ここに在らず…か。』
数日前――。
『…ベリアンさんが――?そんな、まさか…』
『本当だ。ベリアンさんがロノとアモンを槍で殺した後…。ルカスさんを殺そうとした所を主様が庇い…主様も…そしてベリアンさんは自ら命を……』
『……』
俺は主様の亡骸を抱き締める。
『止められたかもしれないのにな…。』
『え…?ボスキ…?』
『俺に…言ったんだ。ベリアンさんに会う前に。これから先のこと…何かあっても受け止めてね。って。もしあそこで…俺が止めて居たら…こんな…っ。』
『っ…!私のせいだよ。私が間に合っていれば…ロノ君とアモン君…主様も失わずに済んだ。』
『ルカス様…そんなことないです…!ルカス様は悪くないですよ…』
『そうですよ、ルカスさんはちゃんと守ったじゃないですか。』
『きっと主様は……。自分が責任とらないとって思ったんだろう…。』
『え…?どういうことですか…?ミヤジ先生。』
『主様はベリアンさんの恋人だ。だからきっと自分の恋人が手を汚したなら…それを止めなきゃと思ったんだろう。』
『っ…主様らしいですね…っ。』
『何も、主様が責任を取ることではなかったはずですよ……っ。』
ポタッ…
主様の亡骸に涙を落とす。
『…2人とも、大丈夫か。』
『…守れなかった。私は…主様に命を救って頂いたのに。なにも…何もまだ返せていないのに。私が護ると約束したのに…っっ。』
『俺もですよ…っ。死のうとしてた時…。主様が助けてくれて…っ。それで俺はその時…主様を俺の命に替えても……っ。護りたいって……っ。』
ユーハンとテディちゃんは泣き崩れる。
『ユーハン…テディちゃん…。』
俺は2人を抱きしめる。
『ベリアン…。もっと俺が気付いていたらな…。』
『…お前のせいだけではない。執事として守れなかった…我達の責任だ。』
『……。』
サァァァァ……。
冷たい風が頬を刺激する。
私は三人が埋葬された庭へ花束を置く。
『……。』
主様…これが貴方の望んだ結末なのですか…?
間違ってるなんて言いません…でも…正しいとも思いません。どうして…。そこまでして好きだったのですね。愛していたのですね…。
彼のことを。
騒がしく、賑やかったデビルズパレスは
今日、静かになった。
その代わりに聞こえてくるのは…
啜り泣く声と、絶望した叫び声だけ。
𝒃𝒂𝒕 𝒆𝒏𝒅――
コメント
5件
ここまでお疲れ様でした!! 相変わらずストーリーが面白すぎます! 尊敬します!!
うわぁぁ。・゚ ꜀( ꜆>ᯅ<)꜆゚・。 なんか、凄い結末です! お疲れ様でした。うっ〜 まさか主様もベリアンも亡くなってしまうとは、