叔母さんが高齢者の夫婦に向かって、
「ここどうぞ」
って言いながら席を立ったから私も立とうとしたんだけど、
「あ、私は大丈夫だからおじいさんだけ座らせてあげてください。小さい子が立ってるのは危ないから」
って言うから私はそのまま麗を膝に抱いて席に座って、叔母さんが座ってたところに杖をついた おじいさんが座った。
「ありがとうございます」
おじいさんもそう言いながら頭を下げてくれたから私も、
「いえ、私の方こそありがとうございます」
と答えられた。昔の私だったら絶対しない言い方だった。でも今はそういう言い方もできるようになったんだ。叔母さんと麗が私をそんな風に育ててくれたんだと思える。
でも私たちがそんな風にやり取りしてるのも優先席に座った小学校高学年くらいの子供を連れた夫婦はぜんぜん気にしてる感じもなかった。







