テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後の教室。窓の外はまだ冬の寒さが残っているのに、夕焼けはどこか春を思わせる色をしていた。
「卒業式まで、あと少しだね」
机に頬杖をつきながら、美優がぽつりとつぶやく。
咲は手帳に書き込んだ予定を見ながら、こくりとうなずいた。
「……うん。なんだか、まだ実感わかないや」
美優は笑いながら、咲の肩を軽くつつく。
「でもさ、咲の顔見てると、なんか楽しそうに見えるんだよね」
「えっ……そ、そうかな」
不意を突かれて、咲は耳まで赤くなった。
(悠真さん……来てくれるかな)
胸の奥で、ひとり小さくつぶやく。