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卒業式の朝。
まだ冬の冷たい風が吹いているのに、咲の胸の奥はじんわりと温かかった。
「……今日で、本当に最後か」
手にした卒業証書袋の重みを確かめながら、深呼吸する。
教室の窓から見える校庭には、写真を撮り合うクラスメイトたちの笑い声が響いていた。
美優が「ほら、リボン曲がってる」と直してくれて、咲は「ありがとう」と笑う。
その瞬間、目頭が熱くなった。
(泣かないって決めたのに……でもやっぱり、いろんな思い出が込み上げてくる)
咲はハンカチを握りしめ、体育館へと足を運んだ。