🐣「ん、、、」
🐰「お?、、もう起きた?」
🐣「うん、、、」
グクにもたれかかったまま返事をする。
体の大きいグクは、僕なんかが体重をかけてもビクともしなくて、
なんにも気にしていないみたい。
🐣「どれくらいねてた、、?」
🐰「30分くらい?
もっと寝るかと思ったㅎ」
🐣「んー、、、まだねむい、、」
🐰「俺の隣、そんな落ち着く?」
🐣「うん、おちつく、、なんでかな、、」
🐰「、、、そんなこと言うのお前だけだよ、
変なやつだな。」
🐣「変じゃないよ、、どうしてだれも言わないの?」
🐰「知るかㅎㅎ俺に聞くなよ。
でもお前さ、俺のこと怖くないの?」
🐣「なんも怖くないよ、、
だって、、」
🐰「だって、?」
🐣「口悪いだけで優しいじゃん。
なんか、、話し方だけ繕ってるみたい、、、」
そう言うとグクは何故か黙った。
🐰「ほんと、、、変なやつ。」
しばらくしてからぽつりと呟かれたその言葉に、どこか寂しげな響きを感じた。
心配になって、
なんとなく、彼の肩に擦り寄せるようにすりすりと頭を動かしてみた。
🐰「やめろっ、なにしてんだよ、、
くすぐったいだろㅎㅎ」
🐣「だって、、ㅎㅎ
黙ったからどうしたのかなって、、、
聞かない方がいい?」
嫌なことに干渉されたくないっていうさっきの彼の言葉を思い出して、そんな聞き方をしてみた。
また黙ってしまうグク。
🐰「うん、、、
聞かないで、、」
🐣「わかった。」
すぐに折れた僕に、彼は安心したのか、小さく息を吐く。
その様子を見て、
訳は聞けなかったけれど、でもこれでよかったんだなって気がした。
🐣「もうちょっと、、こうしてていい?」
🐰「、、、、いいよ。」
離れたくないと、そう思ってしまった。
グクが欲しいと。
この人が抱えているものを全部知りたいと。
でも、、
問いただしたりなんてしたら、
離れてしまうと分かっていた。
まだこの好きの想いを受け取ってもらえるほど、グクが心を許してくれていないのも分かっていた。
だから余計に、
離れるのが辛い。
連絡先も、
住んでる家も、
働いてる場所も、
そんな簡単なことすら、
まだなんにも知らない。
なのに、もうすぐ別れなきゃいけなくて、
明日になってしまえば、次にいつ会えるかも分からなくなる。
🐣「ぐすっ、、」
耐えられなかった嗚咽が漏れた。
🐰「えっ、、?」
🐣「ごめん、、ちがう、、なんでもない、、
なんでもないからっ、、」
グクの肩から慌てて離れて、
間違えて零した涙を手で拭った。
🐰「、、、だいじょうぶ?」
その彼の聞き方があまりにも優しくて、
本当に心配してくれてるって分かってしまって、
涙を止めるのに、必死にならなきゃいけなかった。
顔を覗き込まれてるのが分かって、
膝をきゅっと抱えて、この泣き顔を手で覆って伏せたまま、あげることが出来なかった。
だってどんどん涙が零れてきてしまうから。
どんどん想いが溢れ出しそうになるから。
🐣「だいじょうぶ、、ごめん、、」
🐰「そっか。」
また
沈黙が走る。
🐣「もう帰らなきゃ、、、」
ほんとは帰る理由なんかない。
でも、これ以上隣にいたら、
もっと離れるのが辛くなると思った。
🐰「、、、家、どこなの?」
🐣「近く。
20分くらいかな、、」
🐰「じゃあ送る。」
歩いて20分なんて、実際近くも遠くもない。
だから、
僕が近いと言えば、送るなんて言わないと思ったのに。
なのに彼は、もう決めた、ってみたいに、
家まで送ると、そう言った。
🐣「そんなのいい、、
もう暗いじゃん、、」
🐰「暗くて危ないから送るんだろ?
ほら、行こ。」
その言葉を聞いても、
いや、それを聞いてしまったからか、
僕はまだ、涙を隠した顔をあげることが出来ずにいた。
グクが立ち上がったのが、
靴がコンクリートに擦れる音と、
隣が急に寒くなったことで分かる。
どうしよう、、と困っていたら、
🐰「、、、、やっぱりどうした?
俺なんかだめなこと言っちゃった?」
上の方から声が降ってくる。
目の前に立ってるんだなってなんとなく分かった。
🐣「なんでもない、、グクはなんにもしてない、、
今、僕どうかしてるから、、
先帰っていいよ、、ほっといて、、」
🐰「、、そんなこと言ったって、、ほっとける訳ないだろ、、」
困ったようにそう言ったのが聞こえたかと思うと、
急に首元に手の感触を感じて、
ビクッと身体が震えた。
🐰「あっ、、驚いた?、、、ごめんな、、」
そう言いながら、グクは両手で、僕の頭にフードを被せてくれた。
そのパーカーは、彼が着ているものではなくて、
僕が自分で家から着てきたもの。
もし今日グクが来てくれたら、
お揃いになるだろうなって思って、
ここに来る前にわざわざクローゼットの奥から引っ張り出してきた、黒のパーカー。
今まで、なんとなく、視界が遮られるだけで邪魔な気がして、フードを好んで被ることは無かったけれど、
大好きな人に被せて貰えた初めてのそれは
とっても温かくて、安心した。
🐰「顔見せたくないなら隠してればいいだろ。
俺も見ないようにするから、、ほら。」
無理やり手を引っ張りあげられて、立たされる。
その途端、今まで離れたくないと泣いていたのはどこへやら、
手繋いでるっ、、と
あっという間に顔が熱くなった。
グクは、引っ張らないと僕が動かないと思ったのか、強く握ったまま歩き出して離してくれない。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
🐰「どっち?」
🐣「えっと、、、右。」
そのまましばらく一本道を引っ張ってもらっていたら、
赤信号にぶつかって自然と横に並ぶ。
広い交差点だったから明るいし、
この時間でも、ちらほら人がいたのもあってか、
せっかく繋がれていた手を離されてしまった。
🐣「ぁ、、」
寂しくて思わず漏れてしまった声は、
コールを切らしたバイクが目の前を通り過ぎたおかげで、グクの耳には届かなかったみたい。
そこから、どっちに進むか僕が教えるだけの小さな会話以外、
ほとんど黙り込んだまま並んで歩いた。
でも、
グクが車道側を歩いてくれたり、
怖い雰囲気の人がいたら、僕の服をぐっと引っ張って、隣を通らなくて済むようにしてくれたり、、
そんな優しさが、僕の心を、いい意味でも悪い意味でも、きゅっと締め付けていた。
もちろん、グクの方はそんなこと当たり前にしているだけで、大して意識していないのだろうけど、、。
それから、
ちょっとだけ嘘をついて、
遠回りだけど、
僕は彼を近くの川沿いに連れていった。
ここからの夜景が綺麗だと知っていたから。
次はいつ、ここまで来てくれるかわからない彼に、僕が好きな景色を見せたいと思った。
🐰「ここ、、なんかいい道だな。」
僕が言う前に、
ずっと黙っていたグクがそう呟いて、
嬉しくなった。
🐣「うん、、見て、
あれ、、橋が綺麗でしょ、、?」
そう言って指さした先には、赤と緑に輝く、
長い大きな橋がかかっている。
この街と隣町とを結ぶ、
その上から見える美しい海の景色で有名な橋。
🐰「うん、、綺麗。初めて見た、、」
🐣「あれね、、いつもは青なんだけど、
もうすぐクリスマスだから赤と緑なの。」
🐰「そっか、、クリスマス。」
さりげなく言ったつもりの、”クリスマス”、の言葉に何故か引っかかっるグク。
好きな人の横だと、
そんな小さなことにもどきどきしてしまう。
🐣「グク、、
あのさ、」
🐰「ん?」
🐣「23日に、
またあのコンビニで会わない?」
🐰「23?」
優しくてイケメンなグクのことだから、
そして、まだ僕らは3回会っただけの関係だったから、
さすがにクリスマスイブと当日を誘う勇気が出なかった僕の、
でもどうしても、次に会う約束をしたかった僕の、小さな遠慮だった。
🐣「うん、、23。」
🐰「クリスマスじゃなくて?」
どうしてそこを気にしてくるのだろう。
🐰「誰かと過ごすの?」
そういう質問も、僕は怖くて気軽にできないのに、軽々としてくるグクはなんだかずるい。
🐣「いや、、働くようになってからは
1人だな、、」
🐰「仕事ある?」
🐣「ううん、、去年は夜まで仕事だったんだけどね、
今年はそれも無いから寂しいㅎㅎ」
そう、クリスマスは日曜日。
思いがけず好きな人までできてしまった今年は本気で寂しかったのだけれど、
冗談ぽく聞こえるように答えたつもりだった。
なのに、
🐰「じゃあ当日に会お。25日。」
あまりのことに、返事もできず、
息が詰まって思わず立ち止まった。
グクも止まってこちらを振り向く。
🐣「グクは、、誰もいないの、、?」
🐰「彼女とかってこと?
いない。他人に興味無いって言ったじゃん。」
🐣「でも、、僕でいいの?」
🐰「お前が良いと思ったから誘ってるんだけど?」
グクが分からなくなる。
どういう意味なんだろう。
こんなに僕は動揺しているのに。
🐣「う、うん、、じゃあ、、25日、」
🐰「よし、決まり。
ほら、どんどん遅くなるから早く帰るぞ。」
僕はまだ動けなかった。
彼と少し、心が通ってる気がした。
でも、
なんだかうまくいきすぎていて。
少しも現実味がなくて。
🐰「ジミナ?」
名前を呼ばれてドクンと大きく心が揺れる。
ここまで来たらやけくそでも、
もう一個だけ、試してみたかった。
今なら言えるような気がして、、
🐣「グク、、」
🐰「どうした?」
🐣「手、、繋いで、、?」
沈黙が走り、
怖くてフードの下で俯いて目を瞑った。
🐰「いいよ。」
えっ、と目を開いた途端、
僕の右手は、グクの温かい左手に包み込まれていた。
🐰「これでいい?
いい加減行くぞ、」
溢れかけた涙をぐっと堪えた。
好きの気持ちは伝えられないけれど、
これは、さっき急に泣いてしまった僕への、ただの慰めかもしれないけれど、
大好きな人と、大好きな景色を一緒に見て、
クリスマスに会う約束をして、
手を繋いで歩いて、、
こんな幸せはなかった。
ぎゅっとその手を強く握り返し、5分位しかなかった家までの残りの道を、くっついて歩いて、
彼が、僕のアパートの前で、またなって前よりちょっと大きく手を振ってくれて、
楽しくて、
嬉しくて、
もう胸がいっぱいで、
その後ろ姿を見送りながら、
僕はちょっとだけ、嬉し涙を零した。
コメント
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キュンキュンを通り越してドゥクンドゥクンしてます、ジミンちゃん頑張ったね😭😭グクよ、なんでそんなイケメンなん、そんで私はクリスマス誰と過ごせばいいの
もう最高すぎます!! グク君はジミンの事好きだな😏 ジミンは100%グクの事好きだよ😏告白しちゃえ!!(≖͈́ㅂ≖͈̀ )ニヤニヤ でもちくわだけだと思うけど グクは過去になにかあったのかな? って思う… よし!ジミングクにアピールしよ! 主さぁぁぁ!神様です! いや女神です!! こんな神作ありがとうございます😭😭 キュンキュンします!! これからも応援してます! 頑張って下さい\(*⌒0⌒)♪
返信...嬉しすぎて心臓飛び出るかと😭ありがとうございます✨大好きなReo.さんの作品に勝手にどっぷり浸かってるけど、間違ってない方向で嗅ぎとれてるならすごく嬉しい😭 🐥にとっては、踏み込まないからこそ🐰に近づけているというジレンマが...その中での必死なお誘いのやりとりが切なくて。一歩一歩でも近づいていけたらいいな...(> <。)