テラーノベル
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今日は始業式です。
夏が終わる気配はしません。
外では蒸し暑い雨が降り続けています。
放課後の部活は彼に会えません。
音楽室からグラウンドは見えず彼に会うことは不可能です。
朝から憂鬱な気持ちになりながら教室の戸を開けると彼がいました。
クラスの男子生徒と話しています。
少しだけドキドキしています。
きっと私の顔は赤くなっているのでしょう。
荷物を片して椅子に座ろうと手に掛けた瞬間です。
「鈴!おはよ!」
彼が私の前に来て笑いかけてくれました。
低く優しい声が心地良いのです。
「颯太くん、おはよう」
「いきなりで悪いんだけど、今日一緒に帰らない?」
「てか、これからずっと一緒に帰ろ」
気の所為かもしれないけれど不安そうな彼の顔を見ると期待してしまいます。
「もちろん」
「まじ!?良かったぁ」
安堵した彼の顔があまりにも可愛らしくて愛らしくて笑いが込み上げてきます。
「ふっ、ふはっ、あははっ」
「な、何!どうしたの!」
幸せだからこそ自然と笑顔になります。
「嬉しそうだなって、!」
「そりゃ嬉しいでしょ、」
彼は顔を赤くしてそっぽを向きます。
「も、もういいから!じゃあね!」
私、恋をしています。
ドキドキが収まらないんです。
顔が熱くて口角が自然と上がるんです。
彼と話すだけで胸がいっぱいになるんです。
これを恋と言わずになんというのでしょう。
「鈴!今の人誰?!」
彼女は私の友人の小野田 由利です。
「おはよう、由利」
「今の人は、好きな人、」
「えぇ!鈴に好きな人?!」
彼女は私の話をよく聞いてくれます。
そんなところがとても可愛いです。
由利はバッチリメイクしていて髪も巻いて染めています。
この高校は私立の進学校なので校則が緩いですが由利ほど着飾っている人は見たことがありません。
「私にだって好きな人くらいできるよ〜!」
「そーだよね、うん、応援してるから!」
少し由利が羨ましいなと感じてしまいました。
放課後の部活中時間が過ぎていくに連れてドキドキしています。
彼と帰れると考えるだけで緊張してきます。
部活が終わり楽器を片している時に友人に呼び止められました。
「鈴ちゃん!今日居残りで練習しない?」
「私鈴ちゃんと音合わせたいんだ!」
彼女は校内で一番モテる七瀬 莉音ちゃんです。
お誘いは嬉しかったけど今日は颯太くんと帰る約束があります。
どうすればいいのでしょうか。
「ごめん七瀬さん、鈴は俺と帰る約束があるんで」
「颯太くん?!」
彼は私の隣に立ちそう言いました。
「そっか、それは残念」
「鈴ちゃんまたね」
鈍いと言われる私でも分かりました。
莉音ちゃんは私のことが好きではありません。
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