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きょーさんを怒鳴りつけた。
気まずさのあまり部屋を飛び出してしまった。だって、早まって欲しくは無かった。
……ズキン、ズキンッ
「イ”ッ…」
あぁ、頭痛が酷い。身体が重くなる。
“また”人間に戻る感覚がする。
ああ、嫌だ…マズい……。
ここで戻ってしまえば一瞬のうちに喰い殺されてしまうだろう。
「ふっ…ぅ”ぅ”…」
よろめきながら近くの建物の中に入る。
驚いたような顔をする店の者達も、羽織りを見ると訝しげな顔をしつつも道を開けた。
個室に滑り込み、ピシャリと襖を閉じる。
「ハッ、ハァッ…ハァッ……イ”ッ」
ぐるぐると視界が回り、吐き気がする。
「…ァ?」
なんとか堪えていると、襖が開かれた。
「あら?アナタ、人間…??」
美しい女は着物の袖で口元を抑え、驚いたような表情を浮かべる。
「うふふっ…ねぇ、坊や?ここに“混じった”人間が落ちて来たって聞いたのだけど何か知っていらっしゃる?…」
きょーさんの、事だ…
「ああ、知ってるのね!教えてくださる?」
ずいっと顔を近づけてくる女の妖の顔は、上質な肉を喰らいたいという欲に満ちていた。
ここで教えてしまうと、きょーさんが危ないし、 いくららだおくん達でもコイツを祓うのにはなかなか骨が折れるはず…。
震える足を動かしてジリジリと後退る。
逃げきってしまえばこちらのものだ。
「アッ…イ”ッゥ”」
窓に向かって逃げることばかりを考えていると、ズキンッと一際強く頭が痛んだ。
「逃げなくても良いのよ?どうせアナタには興味無いもの…そんな“無駄な命”。苦しんでまでソレをとっておく意味はあるの?」
…“無駄な命”。
『おい御供!!さっさと死ねよ!!』
…ごめんなさい
『そんなくだらない命をいつまでも抱えてんじゃねーぞ!!“無駄な命”はさっさと俺達のために使えっ!!』
…ごめんなさい
「はぁっ…はあっ…ウグ!!」
ガッと顎を鷲掴みにされ足が畳から離れる。
「ねェ、何処?ドコにイるの??」
「ダレガ、オシエルカ…コノ、ブスッ!!」
体を全力で捻って腕から抜け出すと、茶器を妖に投げつけた。妖の額にぶつかり床に跳ねた茶器を踏みつけたヤツの顔からは美しさなど残ってはいなかった。
「…ヤッパリ、ババァ ジャネーカ!!」
「…殺しテヤる殺しテヤル殺しテヤる!!」
バキバキと音を立てて、女の身体はみるみるうちに大きな蜘蛛女へと姿を変えた。
…女郎蜘蛛。最悪な人喰いの妖だ。
入り組んだ廊下を走り回って女郎蜘蛛から逃げる。幸いアイツはケツデカだから小回りは効かないだろうからまだ大丈…
「ゥワァッ!?」
そう思っていると、急に視界が上下反対にぐるりと回った。
足には金糸が絡み付いている。女郎蜘蛛の吐き出す糸だ。慌てて切り離そうとするも、糸に含まれた毒で手先が痺れ思うようにいかない。
「ダれガ、ババァですッテ!?」
らだおくん達は…まだ来ないの……?
ここまで騒ぎを起こしているからもうそろそろやって来てもいい頃合いだ。
ガバリと口が開き無数の鋭い牙がチラチラと光を反射する。
「オレハマダシニタクナイッ!ババァニクワレテタマルカ!!」
残り少ない妖の力を全て使って、あたりを爆破してぶち壊した。
どうも、なんかみどりくんメインみたいになっちゃいました…おかしいなぁ。
前回と同じ時間軸です。
ややこしくてすみません_(┐「ε:)_ハァ…
また次回。