若井×涼ちゃん+元貴
収録終わり。
スタジオの外に出た瞬間、黄色い歓声。
若井はいつも通り軽く手を振る。
近い。
近すぎる。
警備がいるとはいえ、距離がほぼゼロ。
「若井くん!これ受け取って!」
「お願い、ちょっとだけ!」
押される。
囲まれる。
香水の匂いが混ざる。
若井は笑顔を崩さない。
でも内心ちょっと辟易してる。
「ごめん、今日は急いでるから」
やんわり断る。
それでも腕を掴まれたり、肩に触れられたり。
強引な子もいる。
「一回だけでいいから写真!」
「彼女いないでしょ?」
若井の眉がわずかに動く。
「いないとは言ってない」
さらっと言って、やっと抜け出す。
車に乗り込んでため息を吐く。
そして事務所に戻ると
涼ちゃんと元貴が先にいた。
涼ちゃんは腕を組んで壁にもたれてる。
元貴はソファに座ってる。
二人とも、笑ってない。
俺が近づいた瞬間。
涼ちゃんの眉がピクリ。
「……すごい匂い」
低い声。
俺は一瞬止まる。
確かに。
甘い香水が服にも髪にも残ってる。
元貴が静かに言う。
「女の人の匂いだね」
その声が、少しだけ寂しい。
俺は上着を脱いでから言う。
「ごめん、でも囲まれただけだから」
涼ちゃんが近づく。
距離が近い。
でも甘くない。
「嘘。触られてた」
断定。
俺が否定しないのが余計に悪い。
それは分かってる。
涼ちゃんの声が少し荒くなった。
「なんであんなに近づかせるの」
「近づいてくるんだよ」
「避けられるでしょ」
空気がピリつく。
元貴が立ち上がる。
「……モテるのは仕方ないよ」
でも目が伏せられてる。
俺は気づいた。
涼ちゃんは怒ってる。
元貴は傷ついてる。
最悪のパターン。
涼ちゃんが一歩踏み込む。
俺の胸元を押す。
「でも、僕たちの前でその匂い、きつい」
その言葉は嫉妬。
はっきりした。
元貴は小さく笑う。
「若井はさ、僕たちより、
ああいう子のほうが楽しい?」
刺さる。
俺は即座に否定する。
「ありえない」
声が強くなる。
涼ちゃんが睨む。
「じゃあなんで平気な顔してるの」
俺は一瞬黙る。
そして。
涼ちゃんの手を掴む。
「平気じゃないよ」
真面目な目。
「触られるの好きじゃないの知ってるでしょ?」
元貴を見る。
「仕事だから顔に出さないだけ」
涼ちゃんの怒りが少し揺れる。
元貴が小さく聞く。
「……嬉しくないの?」
俺は即答。
「嬉しいわけない」
一歩近づく。
二人の間に立つ。
「匂いが残ってるのは悪いと思ってる」
上着を床に置く。
シャツのボタンを外す。
「…これでいい?」
涼ちゃんの目が揺れる。
元貴の頬が赤くなる。
俺は二人を見て少し笑いながら低く言う。
「なに、嫉妬してんの?」
涼ちゃんは視線を逸らす。
「……してる」
素直。
元貴は小さく頷く。
「ちょっと」
二人の顔を交互に見る。
そして。
涼ちゃんの顎に触れる。
「怒るくらい好きなんだろ」
元貴の手を引く。
「悲しむくらい好きなんだろ」
二人とも何も言えない。
俺は少しだけ笑う。
「俺は、二人がいるから余裕ある顔してられるだけ」
涼ちゃんの怒りが溶ける。
元貴の目が潤む。
「匂い、消して」
涼ちゃんが言う。
挑戦的。
若井が近づく。
涼ちゃんの首元に顔を寄せて口付ける。
「上書きする?」
涼ちゃんの顔が一気に赤くなる。
元貴が慌てる。
「ちょ、ちょっと」
若井が今度は元貴の肩に額を当てる。
「元貴も」
元貴が固まる。
「三人の匂いにしとけばいいでしょ」
涼ちゃんが吹き出す。
「ずるい」
でも、さっきの怒りは消えてる。
元貴が小さく笑う。
「若井、人気者やめればいいのに」
またまた即答。
「無理かなぁ。難しい」
「じゃあ毎回こうする」
涼ちゃんが言う。
「帰ってきたら僕たちが確認」
俺は低く笑う。
「覚悟しとく」
嫉妬は消えない。
でも。
三人で共有すれば、ちゃんと熱に変わる。
その夜は、甘い香水よりも濃い空気になった。
短編集書くの下手すぎて申し訳ないです💦
リクエスト等あれば是非…!!






