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ある海にて__
2人の男が船に乗り、網に入れられた何かを運んでいた。
「ここら辺で良いだろう」
「早くしろ、あの二人に気づかれる前に」
「惜しい術式だが、致し方ない」
網の中には中学生くらいの男の子が入っていた。
必死に抵抗して何とか逃げ出そうとしている。
『やめて!ここから出して!』
「やかましい!貴様は我々の邪魔なのだ」
そう言って2人は海のど真ん中、まるで漁をするかのように網を投げ込んだ。
水しぶきが視界を遮ったがそれもすぐに晴れた。
網につけられた重りのおかげでゆっくりながらも沈んでいたからである。
男の子__伏黒癒月はもがいた。
しかし、網に入れられている為ほとんど意味を成さない。
段々と息が持たなくなり、口の中から泡となって溢れ出す。慌てて口を押さえるもそれは止まることを知らない。
癒月は最後の力を振り絞り、既に遠くなってしまった水面に手を伸ばした。
あの時のように手を取って、引いて欲しくて。
そして口を開け、ある男に助けを求めた。
『(助けて)』
『お父さん』
その言葉も泡となり、届くことは無い。
届かぬ思いが泡となって消えていく、その姿はまるで_
どこかの童話で聞く、人魚姫のようであった。
それは_月明かりの元、水面がキラキラと反射する……
とても綺麗な夜の出来事だった。
その日はなんだか嫌な予感がしていた。
今では、その予感を信じて兄さんを引き止めていれば良かった、と後悔している。
あの日あの時、兄さんを止めていれば、何かと理由をつけて一緒にいれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
あれは夕日が綺麗な日の出来事だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『あ……』
恵「?どうしたの、兄さん」
『学校に忘れ物してきちゃった』
津「でもお兄ちゃん、明日も学校あるよ?」
『いや、課題を忘れてきちゃって…どうしよ』
兄さんは考える素振りをした後、俺達に向き直り
『ちょっと取ってくるから、2人で帰っといて、ごめんね』
恵「わかった」
津「大丈夫だよ!」
『すぐ戻って来るからね』
そうして兄さんは学校に向かって_
二度と帰ってこなかった。
その日は任務があって、遅くなってしまうが恵達のところに寄ろうかなと考えながら車に揺られていたら、電話がかかってきた。
追加の任務か?と思い、携帯を開くとそこには恵の1文字があった。
何かあったのかと電話に出た。
五「はいはーい、どしたの?こんな時間に」
恵「五条さん………」
いつにも増して暗い声に僕はふざけるのを辞めた。
五「何があった?」
恵「兄さん………癒月が帰って来ない」
五「は?」
恵「学校に忘れ物取りに行ったっきり、ずっと」
五「ちょっと待って、忘れ物取りに行ったの何時くらい?」
恵「5時過ぎくらい………」
今はもう既に11時を過ぎ、もう少しで日付が変わる時刻だった。
遅すぎる、そもそも癒月はこんな時間まで外を出歩くような子じゃない。
癒月の身に何かあったに違いない。
五「……わかった、今すぐ向かう」
そう言って電話を切った。
五「今すぐ恵達のところに」
補「えっ、でもまだ_」
五「今はそれどころじゃない、早く」
補「は、はい!」
呪霊に襲われて行方不明、あるいは_____
僕は最悪の想定をして、思わず舌打ちをした。
一応2人の男に連絡を入れておき、僕は窓の外を眺めていた。
初投稿です。
文章の書き方が上手くないので、楽しんで頂けたか不安ではありますが、読んで頂きありがとうございます。
お察しの通り、男主(オリキャラ)となっております。
すみませんが私の都合で救済されているキャラが多数存在します。
ご理解の程よろしくお願いします。
スクロールお疲れ様でした。
私の作品と出会ってくれてありがとうございます!