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首輪を外されたアナランハドはしばし何をすれば良いのか迷っていた。ベッドの上で何かを考えたりMr.すまないやMr.ブラックの方をチラチラ見たりと落ち着きがない。
「何をしたいのですか?」
ブラックがそう問うとアナランハドは首を傾げて
「……何がしたい、と言うのは……分からないが……じっとしているのは落ち着かない……」
と呟いた。ブラックは少し考えてから
「そうですか……せっかくですし、敷地内を散歩してみますか?ここは色々な施設があるんですよ」
の提案するとアナランハドは静かに頷いた。
「ここは食堂です。自分で持って来たものを食べても良いですし、そこのキッチンで料理するのもありです。冷蔵庫の中のものは名前が書いてなければ、誰でも使って良い事になります。書き忘れも同様です」
と言ってブラックは次の場所に足を向けようとするとアナランハドがローブをくいっと引っ張った。
「どうしました?」
「話を聞いたら……少し腹が減った……作ってくれないか?」
ブラックは苦笑しつつ
「すみません、私はキッチン出禁を食らっているのでw」
と答えた。するとアナランハドは自らキッチンに入り料理を始めた。あまり手際が良いとは言えないが一通りはできるようだ。
「……こう見えても一時期は当番制で食事作りをしていたこともあって……俺が入ってから割とすぐ廃止になったが……まぁ毎度失敗してアマリジョにぶん殴られてた記憶しかないがな……」
ブラックが思わず吹き出すとアナランハドは微かに表情を緩め
「……その頃は今ほど厳しく無かったから……」
と呟く。その言葉にブラックは首を傾げ
「厳しく無かった時期があるのですか?」
と問うた。アナランハドは頷き
「その食事当番制が廃止されてから余計に厳しくなった……ボスが俺たちの前に現れなくなったのもそれからだな……」
としみじみ言う。
「ちなみにそれって何年くらい前の話なんですか?」
「……確か……5年くらい前だな、うん」
「5年前……」
5年前といえばまだブラックはMr.すまないと会う前だ。
「その頃に何か貴方達の仲間がやらかしたりみたいな事はありました?」
「何故そんな事を……まぁ無かったが」
「いや、無かったんかい」
過剰に反応するからてっきりあるものかと思っていたブラックは、思わず素で突っ込んでしまった。しかしアナランハドはそんな事は微塵も気にせず続ける。
「……ボスは確かに冷酷な方だが……同時にとても優しい人だった……あまり言葉を交わす事はなかったが俺達の作った料理を食べて褒めてくれたこともあったな……」
ブラックは驚いた。こんな所業をする人が優しかったとはとても考えられないからだ。
「……厳しくなる前……一時期ボスは酷く苦しみ嘆いておられた……時には激しく狂われる事もな……それからだ。俺達ドールへの規律が、厳しくなったのは」
「!!」
コメント
2件
な、何ヶ所か吹いてしまった…ぶん殴られてたんかい……(笑) ボス酷く苦しんでいた…って事は、そこで何かあって…彼ら、ドールへの躾が厳しくなったのかな……