両片思いの話
僕はレインくんが好きみたいだ。
そう気づいたのはレインくんと
話している時だった。
レインくんは無愛想で口数は少ないけど、とても優しい。
レインくんの持っているうさぎ柄のハンカチ。
どうやらうさぎが好きみたいだ。
少し意外だったけど、可愛い一面が知れてとても嬉しかった。
ある日レインくんは僕の頭を撫でてくれた。
大きくて綺麗だけど男らしい手。
すごく好きだなって思った。
レインくんと会って話すと
気持ちが溢れてしまって、自分の口から自然と言葉が出てきてしまった。
「…好きです」
レインくんは驚いてる様子だった。
僕も驚いてる。
ずっと隠しておくつもりだったのに。
顔が熱くなった。
ふとレインくんが口を開いた。
「…それは恋慕しているという意味か?」
レインくんの顔が見れなかった。
僕は俯き、言葉を濁らせながら答えた。
「…はい…そう、です…」
すると僕の視界が揺らぎ始めた。
鼻がツンと痛くなって頬に水が流れ、ぽたぽたと地面を濡らした。
「…なぜ泣く…?」
レインくんは少し困惑した様子でうさぎ柄のハンカチを渡してきた。
だけど僕は受け取らない。
「ごめんなさ…っ、迷惑だって、わかってるのに…僕、レインくんが、好き…っです…っ」
どんどんと言葉が涙と共に溢れてくる。
レインくんに嫌われてしまう。
今度は恐怖が込み上げてきた。
しゃくりあげるように泣く僕の姿はきっと醜いだろう。
これで、もう終わり━━━
そう思った瞬間、
今度は視界が真っ暗になった。
ふわっ…と嗅ぎなれている匂いが僕を包んだ。
理解するのに数秒。
僕はレインくんに抱きしめられているらしい。
「泣くな」
レインくんが少し震えた声で言った。
「お前に泣かれるとどうしていいか分からなくなる…。だから泣くな」
僕の体を抱きしめたまま、なだめるように優しく、囁いてくれた。
その言葉に僕はもっと涙が溢れた。
「っ!な、んで…そんな優しい事、言うんですか…?僕…期待しちゃいます…っ」
好きでもないのに…こんなことしないで欲しい…そう言おうとした時レインくんが
「…期待してろ」
衝撃が走った。
僕は驚きレインくんを凝視した。
「お前は勝手に話を進めすぎだ。まだ俺は返事をしていないぞ」
「え……それはつまり…?」
まだ頭が混乱している僕はレインくんが発した言葉を理解しきれていなかった。
レインくんは大きな溜息をつき、
「ここまで言ったら分かるだろ…」
と、僕の目を見つめて
「俺も好きだ。マッシュ」
レインくんが僕のことを…好き…?
脳が全部、処理しきった時、
僕は驚きを隠しきれなかった。
「本当は俺から言うつもりだったが、
まさか、お前から言ってくれるとはな」
ふ…と、笑うレインくんはすごく嬉しそうに見えた。
きゅー…と胸が締め付けられるように苦しくなると同時にじわじわと顔が赤くなっていくのがわかった。
まさかレインくんと両思いだったなんて信じられなかった。
「…夢、じゃないですよね…?」
僕はレインくんに確認を求めた。するとレインくんは僕の顔を手を添え、頬を引っ張った。
「いでででで…いひゃいれすっ…れいんく…!」
「夢じゃないだろ?」
いたずらっ子のように笑うレインくん。
こんな風にも笑うんだと愛おしく感じた。
「…不束者ですがよろしくお願いします…っ」
「おう、よろしくな」
そう言って僕の目に優しくキスを落とした。
コメント
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神作すぎません?!! 最高すぎて深夜に発狂しました(((