この作品はいかがでしたか?
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歌が上手なマッシュくん
*本当に創作です。
*なんでも良い人向け
僕は歌うのが好きだ。
上手かどうかは分からないけど歌っていると
心地よくてスッキリする。
僕は森育ちで曲なんて知らなかったから
自分で歌を作って歌っている。
今日もいつもの場所でこっそり歌っていた。
やっぱり心地いい。
爽やかな風が僕の頬を撫でるように吹く。
すると、ガサガサと物音がした。
歌うのをやめ、振り返ってみるとそこに居たのはうさぎさんだった。
ぴょんぴょんとこっちに跳ねてきた。
愛らしく首をかしげ、僕の様子を伺っているようだ。
「僕の歌、聞きたい?」
僕は何となく聞いた。
するとうさぎさんは僕の言葉を理解しているかのようにコクリと小さく頷いた。
「ふふ、なんの曲がいいかな」
この場所に合った曲がいいなと思い、
すぅ…と空気を吸い、歌い出した。
•*¨*•.¸¸♬︎♪♪〜……
うさぎさんは聞き惚れているのか目を閉じ、耳を澄ませている様子だった。
木々が揺れ、木漏れ日が僕を照らした。
歌い終わり、ふぅ……と、ひと呼吸置いた。
「どうだったかな?
上手く歌えたと思うんだけど」
僕がうさぎさんに問いかけるとウンウンと首を縦に振った。
賢いうさぎだなと思った。
本当に人の言葉を理解しているのだろうか。
疑問に思いながらも
「聞いてくれてありがとね」
と、微笑みうさぎさんに笑いかけた。
その様子を誰かが見ていることも知らずに……
【レイン視点】
失態だ。
何が失態なのかと言うと俺が大事にしている
うさぎが部屋から逃げ出したのだ。
逃げ出したのはウサノシン。
ウサノシンは怖がりだ。
だからきっと今頃小さくなって震えてるに違いない。
そう思い、急いで部屋を出たはいいものの
どこに行ったのか検討もつかない。
(とりあえずウサノシンは人気がある場所を
さけるだろう…と、なるとあそこ辺りか?)
少し薄暗く見える森の中。
早く連れていかねばと思い、
俺は足早に向かった。
足を進めて行くと話し声が聞こえた。
木の陰に気配を隠し、様子を伺ってみる。
(あれは……マッシュ・バーンデット?)
なぜアイツがここに?
そう思いながらも、アイツの足元を見てみると
そこに居たのはウサノシンだった。
驚いた。
ウサノシンは人見知りするやつだったからだ。
それなのにウサノシンはアイツに懐いている
様子だった。
するとアイツは大きく息を吸い、歌い始めた。
•*¨*•.¸¸♬︎♪♪〜……
……綺麗な歌声だ。
伸びやかで優しい歌声に俺は魅了されていた。
なんの曲だろうか、聞いたことがない。
だか、自然と耳に入ってくるこの聞きなれたような曲調は俺の心を穏やかにさせた。
ウサノシンも心地いいのか目を閉じ、
耳を澄ませている様子だった。
(にしても、アイツ歌えたのか)
何に対しても声色を変えない、淡白なアイツからこんな綺麗な声が出るなんて思ってもいなかった。
歌っているアイツの横顔はすごく綺麗だった。
薄暗かった森の中が風で木々が揺れ、木漏れ日が当たりを照らした。
これがギャップか…。
歌い終わったのかひと呼吸置いたアイツは足元にいるウサノシンに話しかけた。
「どうだったかな?
上手く歌えたと思うんだけど」
ウサノシンは肯定するかのように
首を縦に振った。
「聞いてくれてありがとね」
と、微笑んだ。
ドクン…と俺の心臓が脈打った。
アイツは笑うのか…
少々失礼な言い方だが、それぐらい俺はアイツの笑顔を見たことがなかった。
綺麗な笑顔だ。
少しばかりウサノシンに 嫉妬してしまいそうになった。
その笑顔を俺にも向けて欲しいなんて思うのは
何故だろうか。
考えても仕方がない。
俺は木の陰から退き、
アイツの方へと足を運んだ。
コメント
1件
え、やばい好きすぎる