「ネェ、マルク。」
「ほぁんほほは(なんなのサ)」
特に用はないが、何となく棒アイスをしゃぶるマルクに話しかけて見たものの。特に用がないから返事ができない。
「……。」
「マホロア?」
気づいたらマルクはアイスを食べ終わっていたらしい。マルクはボクと違っていつも口を大きく開けて食事をするから、食べるのが速い。まぁカービィは定食5人前を1口で食べるけど。仕方ないから適当に思いついたことを言うことにした。
「アイスティーって10回言って」
「えぇ?あ、うん」
しまった。変なことを言ってしまった。マルクは困惑混じりにアイスティーという言葉を連呼している。マルクは指(爪?)が4本(枚?)しかないから脳内で10回を数えないといけない。面倒くさそう。
「言ったのサ。」
「ボクは?」
「マホロア」
「……ソウダネ…。」
「変なマホロア。」
本当は愛しているって言って欲しかったけど、名前を言われた。何をしてるんだろう。
「……。」
「ナニ?」
マルクの宝石のような綺麗な瞳が、ボクの瞳を見ていた。宝石の瞳には思ったより悲しそうな顔の自分が映っていた。
「愛してるぜ」
「エッ?エッ?ハ?」
欲しかった言葉を言われて錯乱してしまった。おそらく空耳だろうと脳内で連呼して自分を落ち着かせた。が、目の前には愉快そうに口角をつり上げたマルクがいた。
「サイアク…。」
「酷いヤツだなぁ~」
そう言ってマルクはわざとらしく片頬を膨らませた。
「ぶりっ子……。」
「うるさいのサ。」
「ア、」
「どうしたのサ?」
「プププランド行かないといけないんダッタ。」
数日前カービィがローアに行きたいと言ったため、数時間後にカービィの所に行かないといけない。 ローアがこちらの都合を汲み取って異空間ゲートを開く。
「掃除しなくていいのサ?」
「ローアの中はいつも綺麗ダヨォ。」
「でも先週G出たじゃん。」
「ア、」
そういえば先週そんなことがあってから、またアイツの仲間と格闘しないといけないのかと思うと嫌すぎて、数日掃除をしていなかった。
「マルク、ボクローア掃除してるからカービィ呼んできてくれナイ?」
「えー、逆じゃダメなのサ?」
ダメに決まっている。前に1部屋掃除を頼んだ時、その部屋はびっくりするほど綺麗になっていた。文字通りびっくりするほど塵1つ無かった、置いてあった家具もなかった。マルクが言うには「面倒くさかったからマルク砲でこの上なく綺麗にしてやったのサ」との事。そんなヤツに掃除なんて頼めるわけが無い。
嫌がるマルクを無理やりカービィの所に向かわせる。少し悪いことをしたな。
「あ”~。ムカつくのサ……。」
どうしてボクがカービィを呼んでこないといけないんだろう。
どうしてさっきまでボクの事だけ考えてたのに突然カービィの事ばかりを考えるようになったんだろう。
マホロアがボクの事だけ考えてくれればいいのに。
「何考えてんだろ……。」
ゆっくり歩いているとカービィの家に着いてしまった。正直いってカービィと顔も会わせたくない。わざとらしくため息をついた後、ボクはカービィの家に押し掛けた。
「ようカービィ!!」
「あ、マルク」
最悪……。
「マホロアが呼んでるぜ」
「そうだった。マルクありがと!!」
……。
「一緒に行こう?」
げ……。
思わず怪訝そうな顔になってしまったのか、カービィは俯く。こっちが悪いことしたみたいな気分になるからやめて欲しい。わざとでは無いのだろう……。
「ボクが悪かったのサ!!許してちょーよ?」
「うん!!」
チョロ……。
「ワアァァァァア!!
キモすぎキモすぎキモすぎ!!」
ローアの清掃システムを起動したものの、ローアだけに頼るのも悪いと思って。自分で掃除をしたけど……。しなければよかった……。
「ただいまなのサ。」
「マルク!!助けて!!」
「また出たのサ?」
マルクに泣きついているうちに何故かカービィがアイツの近くまで行く。
「またね~虫さん。」
「エ。」
カービィがアイツを鷲掴みして外に出した。衛生観念どうなってんだ。こっちはまた会いたくねぇんだけど。
「アリガトウ、カービィ。流石ダネェ~。」
「……。散歩してくるのサ。」
「ウン。」
「またね~。」
相変わらずマルクはカービィが嫌いだなぁ……。
……。
「何してるんだろ……。」
なんとも言えない気持ちになって行先もなくひとりで歩いていた。
「あれ?マルク。どうしたのね?」
「あ、タランザ。」
「1人なんて珍しいのね。」
「タランザもグリルはどうしたのサ? 」
その後も他愛の無い会話をして、タランザが用事があると言い出したからそこで別れた。
タランザと話していただけなのに気づけば夕方だった。もう少しぶらぶらしようと思って、足を進める。そういえばここら辺に海があった気がする。海にでも行くか。
カラッとした弱い風に抵抗しながら歩いた。空高く飛んでいるブロントバードがボクとは真逆の方向に飛んでいく。そんなボクには関係の無い情景を眺めて歩いた。
「……。」
海についた。海に夕日が落ちる情景を見ても、何も思わなかった。自分が何も考えてないだけなのか、いつも隣にいるヤツが居ないからなのかボクには分からなかった。
「帰ろ…。」
ゆっくりと来た道を戻って歩いた。ローアに着く頃にはあたりは真っ暗になっていた。
「ただいまなのサ」
「マルク。今までドコ行ってたノォ?」
ローアに入った途端。マホロアがすぐ目の前にいた。マホロアの声のトーンはいつもと同じはずなのに、なんか違う。
「マァ、ドコに行ってたかは知ってるんだけどネェ。」
「は?」
何言ってんだコイツ。とち狂った?なんか距離近くね?
「ネェ、ボクの方が重いって考えたコトある?」
「マホロア?」
wait for it to continue…
コメント
8件
マホマル最高ッ!!!!Ω\ζ°)チーン
マホマル(推し)の作品あんまないからめっちゃ嬉しいっ!!
めっちゃ素晴らしい作品ですね…!