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アメリカがキレた所を見たことがあるか?と聞くと大半の国達は「見た事ない」と答える。
これが普通なのだ。
そもそもアメリカという男皆の前で切れた事がない。
怒った事なんてないと言思われて来た。
親のフランス、イギリス、兄弟姉妹であってさえ見た事が無いという。
同盟国の日本は「アメリカさんって怒るのかい?」と言い元同盟国のソビエト連邦は「アメリカ?アイツいつも俺らとか他の奴らにいじられてても笑ってるぞ?」という。
だがしかし。此処に居た。
日帝(陸)の妹であり日本の弟の大日本帝国海軍。
通称帝国。
それはある夏の日だった。
戦況は最悪。
大勢の兵士の人達が亡くなった。
地元の人にも被害が出ている。
海軍なのに何故陸に降りる羽目になったのか。
姉さんが違う戦場に行き此処の戦線は俺が任されたのだ。
だが俺は昔から姉さんより、人より、他の国達より出来ない出来損ない。質の悪い粗悪品。
軍の強さで言えば俺達海軍の方が強いが(そもそも海軍国家な為)
俺個人となると…………人の命を預かっているのにこの失態。
何故。
何故俺は生まれて来た?
こんな出来損ないが生まれても姉さんの邪魔だ。
邪魔者は消えなければならない。
そうだその方が陛下にも姉さんにも迷惑が掛からない。
嗚呼でも俺は死ねないな。
復活してしまう。
少しの間消えるだけ。
その少しの間邪魔な俺が消える。
姉さんも陛下にも都合が良いからそれはそれで良いだろう。
俺の部隊は全滅。
極め付けはアメリカの軍が攻めて来ていると聞く。
今持っているのは携帯ナイフと日本刀。
復活すると言っても痛覚が無いというわけでは無いし双子の場合は普通の国達より生命力が強い。
人間が死ぬような毒を国が飲んでも国は苦しんで気絶する。
だが双子の国の場合はしばらく苦しみ続ける。
気絶もせずにただ薬の効果が切れるまでずっと苦しみ続ける。
それだけ生命力が強いのだ心臓を刺しても腹を切ってもしばらくは苦しみ続けるだろう。
だが痛みには慣れている。
いや慣れすぎた。
「………そう言えば陛下や日本からも自分の体は大切にって言われてたなぁ…………」
…………ごめんなさい。兄さん、陛下、俺は悪い子です。
二人が言っていた事を守れそうそうに無いです。
本当にごめんなさい。姉さん、少しの間ですが寂しい思いをさせます。
艦隊達の、弟妹達の面倒をしばらく見させる事になりますがアイツらにはしばらく出掛けていると言って下さい。
大丈夫です。すぐに帰って来ます。
しばらくお願いします。姉さん。
「ははっ………遺書みたいだな。すぐまた戦わなきゃならんのに。しばらく休める…………な………」
そう言って俺はナイフを自分の首に押さえつける。
「痛いと思うが……………まぁ逝けるか………」
そう言ってナイフを思い切り振りかざそうとしたら後ろから声が聞こえた。
「お前何をしようとしてる?」
「っっ!」
嗚呼、ダメだ。
今後ろを向いては。怖い。
怖くて後ろが降り向けない。
知っている声が聞こえた。
俺の見知った声。
それが今後ろで聞こえた。
やばい泣きそうだ。
なんでこの場所が?俺は一人此処で逝く筈だったのに。
「もう一度聞こうか?何をしようとした?」
あゝ、あゝ、本当に嫌だ。
殺してくれ。俺を早く殺してくれ。殺させてくれ。
生きたくないんだ。これ以上みんなに迷惑をかけたく無い。
「帝国。これはやっていい事か?悪い事か?昔教えただろう」
「わっ…………悪い………事…………」
言葉が上手く出ない。
「そうだよな?俺が昔教えた。自分で自分の命を絶つなって」
「でっ………でも……………姉さんとかっ………みんなに………迷惑かかる………からっ………」
「帝国。誰もみんなお前を邪険にしてない。寧ろ大切に思ってる。だから早くナイフを下ろせ」
「っっ…………」
アメリカ。本当にコイツはいつも俺の元に来る。
殺し合いをして居るのに自分を殺すなという男。
矛盾だらけのこの男は嫌いだ。大嫌いだ。
なんで大切なんて言える?敵なのに。敵同士なのに。
大切?出来損ないの俺が?なんで。訳がわからない。怖い。
その何を考えて居るのかわからない目が。その相手に本性を見せない表情が。
全部怖い。
「帝国。行くぞ。来い」
嫌だ。付いて行きたくない。
なのに体が言う事を聞いてくれない。
やっぱり俺には前線なんて向いて無かったんだ。
でももう後悔しても遅い。コイツに見つかった時点で諦めるしかない。
嗚呼、前線なんかに来なければ良かった。
(同日海上)
戦況は順調。
怪我人、死者、許容範囲。
作戦通りトントン拍子で事が進んで行く。
この島を奪還後基地を作り物資を飛ばす。
順調過ぎて怖いレベルだ。
もっと抵抗して泥沼化すると思っていた。
これならサクッと終わりしばらくゆっくり休めそうだ。
最近ずっとレーションしか食べていない。
「久々にハンバーガーでも食べてぇなぁ」
そう呟いたら隣に座っている兵士に「いつもレーション二杯食べてるじゃないですか」と笑われた。
しょうがないだろ?
食い物がレーションかチョコしかないんだから。
チョコも美味いが気分ではない時もある。
大事な栄養だが俺には合ってない。
そんな事を思っていたらどうやらもう着いたらしい。
皆の緊張感が伝わる。
そらそうだ今から最前線に行くんだから。
寧ろ鼻歌を歌っていたらソイツは戦闘狂だ。
そんな奴は真っ先に死ぬ。
目先の敵しか目に入らないのだから。
スナイパーが隠れていたら真っ先に頭に穴がコンニチハだ。
そうはなりたくないので皆緊張している。
俺もなりたく無いが。
国だから人間より生命力があるので苦しむ事になる。
痛いのはごめんだ。
船が岸に着いた。
皆が警戒しながらジャングルに向かって行く。
しばらくして此処は敵が居ないという事が分かり皆陣地を築いて行く。
俺はと言うとジャングルの奥に入っていた。
危険だと知りながら入って行く。
外から見たら俺はただの自殺希望者だろう。
気になっただけなのだ。
兵士達に何回も止められたが。
そんなこんなジャングルの中を彷徨っていると倒れて居る人が見えた。
どうやら日本人のようだ。
「…………死んでいるな…………」
ジケツ………と言うのだろうか?
腹がパカっと開いて痛々しい。
周りを見渡すと何か焼けた後、やはり腹がパカっと開いている者や頭に穴がコンニチハしている者が居る。
(焼けた後があるのは手榴弾か)
痛々しくて見てられない。
それに匂いも酷い。
酷い所は野犬が群がっている。
「…………」
すると前にナイフを自分の首に突き付けた人物が居た。
(アイツも日本人だろうか)
見覚えのある顔。
「っっ!!!アイツッッッ!!!」
そう思うが先に体が動いていた。
そして
「お前何をしようとしてる?」
「っっ!」
思わず低い声が出てしまった。
ナイフを自身の首に突き付けている見知った顔の奴に言う。
「もう一度聞こうか?何をしようとした?」
ソイツは顔を背けた。
「帝国これはやって良い事か?悪い事か?昔教えただろう」
「わっ…………悪い………事…………」
「そうだよな?俺が昔教えた。自分で自分の命を絶つなって」
「でっ………でも………姉さんとかっ…………みんなに…………迷惑かかる…………からっ………」
「帝国。誰もお前を邪険にしてない。寧ろ大切に思ってる。だから早くナイフを下ろせ」
「っっ………」
そう言ったら大人しくナイフから手を離した。
日本達はこの子にきちんと愛情を与えていたのだろうか?
コイツと出会ってしばらく経つが初対面の時から「俺より姉さんの方が」と言っていた。
この子はみんなから愛されている事を知らない。
いや、知ろうともしない。
自分はただの邪魔者としか思っていないのだろう。
可哀想に。
ば俺が叩き込ませるまで。
ちゃんと自分が大切にされていると言う事を叩き込ませるのだ。
ならば「自分よりも」と言わなくなるだろう。
自殺しようとも思わなくなるだろう。
「帝国。行くぞ。来い」
帝国は大人しく、いや逆らえずちゃんと着いてくる。
この子が大切にされているという事を知った時の顔が今から楽しみだ。
自然と口角が上がっている、そんな気がする。
今から沢山愛情をたっぷり仕込んでやる。
お前は邪魔者じゃ無いと言う事を教えてやる。だからもう死のうとするな。帝国。