コメント
2件
僕と国木田さんは急いで体育館に向かっていた。何でもあと3分で全校集会で遅刻したら国木田さんの理想に反するらしい。異能を使おうと思ったけど誰かに見られたら説明の仕様が無いので諦めた。後1 分で遅刻判定になるところだった……。危ない危ない。体育館は真っ暗で、生徒全員が体育館の壁に寄せられていたので僕も空いているスペースにお邪魔させて貰った。今から何が始まるんだろう。すると体育館の電気が付き、ステージの方に誰かが立って居た。
「被告人は入場してください」
被告人……?全校集会ってこういうものなのかな。国木田さんに後で聞いておこう。ステージの人が言葉を発した後に警察らしき人が被告人を連れてきた。被告人は気の強そうな人で、被告人にされた事に怒っている様だった。オレンジ色で、少し長い髪、全身黒い服……あれ、この人って
「ポートマフィアの幹部、中原中也?」
「あぁ、どうやらその様だが……」
中也さんは確かに人を殺してるけど屋上から落とすなんてしないと思うし、此処は学校だから迂闊にそんな事出来ない筈……
「だから!俺はやってねぇって!」
中也さんが声を荒げて無実を主張するも、ステージの人は何も言わない。
「だったら何か証拠はあるんですか?」
「ねぇ……けどよ」
検察官らしき人が中也さんを問い詰める。中也さんは何も言えない様で悩んでいる。僕が何か力になれないかな……でも相手は敵組織だし……
「其れでも俺はやってねぇ!」
「だったら弁護人でも連れてきたらどうです?」
「は?」
弁護人なんてつけられる筈がない。マフィアに弁護士なんて可笑しいし、この世界では学生だ。学生に弁護士はつけられない。
「この検察官は何を言ってるんだ……」
国木田さんも呆れてる。其れはそうだ。でも周りは何も言わない。やけに静まり返っている。
「学生の内から弁護士なんてつけねぇだろ!」
「それもそうですね」
「大体、俺がやった証拠あんのかよ!」
中也さんが巻き返している。此の儘無罪になればいいんだけど。
「貴方は被害者と仲が良かったそうですね」
「はぁ!?それだけかよ!」
「しかもよく喧嘩をしていたとか!」
「だからなんだよ!」
検察官は訳の分からない事を言い続ける。仲が良かったからって疑うなんて事は無いだろう。
「ついカッとなって殺してしまったなんてよくある事です」
「其れでもそんな事しねぇよ!」
「では何故被害者の顔は潰れて居たのですか?」
「……」
「貴方の汚れつちまつた悲しみには重力操作……相手の顔を潰すなんて容易い事の筈です」
何故か中也さんは何も言い返さない。どうしたんだろう……
「何も言い返しませんか……では校長判決を」
ステージにいる人は此の学校の校長だったみたいだ。如何して校長が裁判官みたいな真似を?
「判決を下す……被告人死刑 」
「……は?おい待てよ!未だ俺が殺ったって決まって無いだろうが!」
「疑わしきは罰せよって言葉を御存知ない?」
「其れを言うなら疑わしきは罰せずだ!」
「おや、そうでしたね……其れでも死刑は死刑です。校長が下した判決には変わりありませんので」
幾ら何でも理不尽過ぎる。止めないと……中也さんが死んでしまう!
「待ってください!」