彼女は帰ってこなかった。
僕はオムライスにケチャップで彼女のイニシャルとハートを書いて、ラップをした。
ついでに、「お帰り。疲れたでしょ。食べてね。好きだよ。」とメモを書いて、やっぱり捨てた。
ケチャップも、ラップの上から潰した。
ぐちゃぐちゃで、ハートは跡形もなく消えた。
やっぱ止めよう、と思い直す。
どーせ捨てられるんだしな。
それに普通に恥ずかしいな。普段の僕なら考えられないのに、なぜこんなことをしたのだろう。
僕はまだ彼女を想っている。
オムライスを机に置いて、スマホをとって立ち上がった。
ベッドに横になった。
彼女のことを考えただけで、どうしようもなく疲れていた。
ふう。
目が勝手に瞑っていく。眠い。
枕元のスマホがなった。
また彼女の写真を見て、そこに浮かぶパスコードを打った。
欠伸をして、ふわっと、視界が揺れる。
時計は2時を回っていた。
でんわしていい?起きてる?
と、メッセージが入っていた。
僕に拒否権はなくて、既にスマホは震えていた。
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