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え好き、大好きです…何ですかこれ神か神ですね?うん、とにかく大好きですッ(??)
私のお兄様は魔法の使える、とても優しい方でした。そしてそのご友人のスコットランドさんもとてもいい人でした。
私は二人と幸せな日々を送っていました。
そんなある日、ヨーロッパでは『悪い魔法使い』の噂が絶えず、
ついにはお偉いさん達が動くまでの騒ぎになりました。
悪い魔法使いというのは、魔法を使い、人々を傷つける魔法使いがいた、というものでした。
私達家族はそんな事も知らずに、いつものように家で皆好きなことをして
過ごしていました。
街の魔法使いが次々と殺される中、お兄様だって例外ではありませんでした。
私達は必死に説得を試みましたが、
誰も耳を傾けてくれるはずもなく、お兄様は囚えられてしまったのです。
それから、スコットさんは悲しみに暮れて、お酒をよく飲むようになりました。
私は部屋で一人でいることが多くなり、昔二人からもらったテディベアを
抱え、ベットにくるまっていました。
お兄様が囚えられてから数日後
ついにお兄様の処刑が決まりました。
あのときのスコットさんの怒りようは見たこともないくらいの怒鳴り声でした。
ですが誰も、お兄様を助けようなどしません。
だって、助けてしまえば次処刑されるのは自分たちかもしれない、
そう思うからです。
そんな群衆のなか、お兄様の処刑は執行されました。
スコットさんは昔より、更に私に優しくなりました。
多分、私とお兄様を重ねて見ているんだと思います。
私は青色が好きですが、彼はお兄様の好きだった赤色のプレゼントを
よくしてくれます。
私にはスコットさんからの愛情を素直に喜べなかったと思います。
ある日から、スコットさんも姿を消しました。
朝、目が覚めると机には朝ごはんが置かれていました。
いつまでたってもスコットさんは起きてきませんでした。
部屋に行ってみると、今まであったはずの本や服が全てなくなっていました。
そこで私はようやく理解したと思います。
ああ、置いていかれた、と。
きっとお兄様の後を追ったのでしょう。
私では満足できず、私を置いて。
阿呆らしい、そう思うと不思議と笑い声が出ます。
それと同時に一人になった孤独感が私を襲いました。
ぽた、と地面に涙をこぼした時、
私が何処か不思議なことを起こしました。
そう、お兄様のように魔法が使えるようになったのです。
きっとこれはお兄様からの贈り物でしょうか、そう思いました。
私はテディベアを抱え、街へと足を運びました。
きっともう後には戻れないでしょう。
ならばもういっそ全部捨ててしまいましょう。
きっとそれこそが世界への復讐となるのですから。
これが、ひとりぼっちの悪い魔法使いのおはなしです。