テラーノベル
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ツアーのリハに励む毎日。渡辺に元気がない、目黒は舞台が終わって疲れているのかと思っていた。
後ろから声を掛けると、ビクッとする。そんなに大きな声ではないのに。何かある。
目黒はそう思う。だが渡辺はいつものように何も言わない。
目黒ーいい加減、言わないと怒るよ?
渡辺ーん〜ん。
目黒ー翔太くん?
渡辺ーはっきり分かんないんだ。故意なのか、偶然なのか。
目黒ー何?
渡辺ー後ろから大きな声を出されるんだ。
目黒ー偶然じゃないでしょ?
渡辺ー分からない。
目黒ーなんて?
渡辺ーおい!とかこら!とか。
目黒ー言うだけ?
渡辺ーうん。
その声の主は、渡辺が振り向くと知らん顔して立ち去るらしい。
目的が分からない。
渡辺は、ただ驚かされていると思っている。
その、驚かされている理由も分からないけれど。
渡辺が事務所に行くと、あの声の、主がいた。
渡辺だけじゃなく、後輩たちにも後ろから大きな声で叫んでいるみたいだ。
ドッキリなのかと疑った、向井に聞くと、そういう企画はないとのこと。
いちいち反応する自分が嫌だ。
だけど、急に声を掛けてくるのは怖いとしか言えない。
よく話を聞くと、声を出されるのは、グループのメインボーカルだけ。意味があるのだろうか?
目黒ーメインボーカルだけ?
渡辺ーん、聞くとそう言われた。
目黒ー目的は?
渡辺ー知らない。
目黒ーそれくらい大きな声を出せってこと?
渡辺ーん〜半端なく大きいぞ。
目黒ー腹から声をって言うじゃん。
渡辺ーあんなんで唄えないけど。
目黒ーでもやっぱり、声を出せってことだと思うよ。
渡辺ーいい迷惑なんだけど。
後日、渡辺が怒っている。
あの大声の主は事務所の偉い人で、デビュー出来ないグループのメインボーカルに声を掛けているらしい。
渡辺ー俺、デビューしてるけど!
目黒ーふふふ。
渡辺ー笑うな、目黒!
目黒ーだって、まだJr.だと思われてるんでしょ?
渡辺ー俺、そんなに認知度ない?
目黒ー若く見えるんじゃない?
渡辺ー今回は嬉しくないけど!
目黒ーまぁまぁ。
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