テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,131
注意
この作品には以下の要素が含まれます。
・学パロ
・同級生設定
・エセ関西弁(翻訳サイトを使ってはいますが、間違えている可能性大です)
それでもいいよー!という方のみ閲覧お願いします
椿の花が落ちたから、俺は失恋を予感した。「……太智、俺と付き合ってくれないか?」
予感していたのに、口に出してしまっていた。止められなかった。クラスの人気者である彼と、こうして二人きりになれる機会なんて滅多にないだろうから、彼の笑顔がやけに優しく映ったから。理由は分からない、ただ彼の後ろにある赤の椿が、肌が白く血色のいい彼を更に美しく見せている。
「はやちゃん……それって買い物とかやなくて……恋人として、ってことやんな?」
風で葉が揺れる。その度に胸が締め付けられるようで、必死に彼への言葉を考えていた。
「当たり前だろ、俺が何年前から太智のこと好きだったと思って……」
言葉を紡ぎながらいつの間にか泣いてしまっていたようで、ぼやける視界の中心にいた彼が近づいてきているような幻覚が見えた。
「……そんな泣くことやないやろ? ほら、はやちゃん深呼吸、深呼吸」
先程幻覚だと思った太智が現実だと気がついたのは、彼の体温を背中に感じたからだ。温かい手のひらが俺の背を撫でる度、彼の優しさを溶けたバターのように俺の体に染み込む。もうこれ以上、俺のことを透明にしないでくれ。紙に油がついたみたいに、俺は簡単に透明になってしまう。
「……太智、太智……」
「まだ付き合うてないのにそがに名前呼んで甘えて……まあええけどな。俺もはやちゃんのこと好きやったし……そうやって甘えられるの、嬉しいからな」
彼は俺の背中に置いていた手を滑らせて、俺の頬に触れる。そうして、無理矢理目の前の彼がきちんと見えるようにされてしまった。
「なあ、こっち見てや……」
その声は、先程までの余裕を全て置いてきたかのように弱々しい。行動は強引で優しい癖に。普段スベった時ですら恥ずかしそうな素振りなど見せない癖に。告白を了承した相手がこちらを見ないという理由だけで、こんなにか弱い声が出せるのかと驚いてしまった。
「……ごめん、まさかそんな……受け入れてくれると思ってなくて」
今太智のことを見つめたら、きっと俺はおかしくなってしまう。いや、もう俺は彼に狂わされている。それでも、これ以上おかしくなりたくなくて、俺は太智から目を逸らした。太智は少し寂しそうな顔をしたが、急に笑い出して
「もしかして……俺のこと好きすぎて見つめられやんの?」
なんて言い始める。そうだよ、太智のことが好きすぎて見つめられないんだ。なんて返事をしたら、彼はきっとさらに調子に乗るだろう。けれどそれ以外に言いようがない、思いつかない。
「……ああ、そうだよ」
観念したかのように言えば、太智はえっ、と声を漏らした。そうして俺の頬に当てていた手を、自身の頬に当てて顔を隠していた。そんなやり取りをしていたら、完全下校時刻が近いことを知らせる放送が流れてくる。
「なぁ、ほら!早う往なな!」
「そうだな……あの、今日、一緒に帰らないか?」
何を言っているんだ、俺は。俺と太智の家は反対方向で、一緒に帰るなんてできないのに。
「……ええよ、一緒に勇斗の家に行くってことでええんやんな?」
悪戯に笑う彼があまりにも魅力的で黙ってしまった。太智はそれを否定として受け取ったのか、太智の表情が暗くなった。
「あってる!あってるから!」
なんて言い訳をした。まさか付き合って1日もたっていないというのに、一緒に家に行くことができるなんて。そんなつもり無かったのに、俺の頭の中はすっかり幸福で満たされていた。
「……手、繋いでいいか?」
「もちろん!」
お互いの体温が手のひらで溶け合って、どうしようもなく愛おしくなる。歩いた先にあった椿の蕾は、俺の思いに共感するかのように風に靡いた。そんな放課後だった。
コメント
2件

語彙が凄く素敵で吸い込まれてしまいします🥹!!続編ありますか!