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この作品はnmmn二大禁です。全てがフィクションであり、実際に存在する方々や団体などとは一切関係ありません。ありがたいことにコメントを頂ける際は、伏字など対策をお願いします。ルールを守って楽しみましょう。cp: なし。強いて言うならメンバー愛
cp要素はあまりありません
生死の描写が含まれます
シリーズ物です
side 💚
ああ、死にたくない。死んで欲しくない。
ずっとここにいたい。ずっとここにいて欲しい。
皆に生きて欲しい。
皆が生き抜くルートって、なんだろう。
それは俺が死ぬことなのかなぁ。
……って違う。そうじゃない。
さっき俺、気失ったのになんでループしないんだとか思ってたけど……まだメンバーが誰も死んでないからだろ。死体を見てないからループしないんだ。だから俺が死ぬんだろ。
……ああ俺、疲れてるな。そりゃそうか…………
この地獄が終わるのかも分からないのに死ぬ勇気なんて、俺にはまだないのだ。
…………気が、遠くなった。
side 💙
阿部が気を失ったってスタッフさんから聞いた時、まず最初に俺の心を支配したのは誰に対して思ったのかも分からない「許さない」という感情だった。
一瞬阿部ちゃんはこの暑さにやられてしまったのかとも思ったが、話を聞く限りそんな事はないらしく、俺の中に不愉快な感情が募った。
メンバーの代わりなんて居ない。メンバーの命だけは、あいつらだけは、譲れないのだ。
絶対に、失いたくない。メンバーは、メンバーだけは……っ
目が覚めて申し訳なさそうにしている阿部を見て、心がチリついた。
阿部がもしかしたらこのまま意識を取り戻さないんじゃないかと、……不安で不安で仕方なかった。
大切なんだ。お前らが。
奪うな、俺から奪うな、俺の大切な人たちを奪っていくなんて、許さない。
💜……翔太?大丈夫かお前も
💙え?何が……
💜いや、すっげえ顔顰めてんなって。どっか痛いとかなら言えよ?
💙ああ……いや大丈夫
💜そう?ならいいけど
ふっかに言われるぐらい感情が表に出てたと自覚して、少し恥ずかしくなる。
みんなの事が大切〜とか、面と向かってなんて口が裂けても言えないから。
羞恥を誤魔化すように、辺りを見渡す。
阿部は顔色が少し良くなったみたいで、照や涼太と話してる。
ふっかは俺の隣にいて、めめはラウールと話してて……佐久間も阿部の近くにいるな。
💙……康二は?
💚ッ……………!!
俺の何気ない一言に、笑えてた阿部が凍りついた。
……かと思えば、阿部は勢いよく起きて外に出ようとし始めた。
💛阿部!?お前何して、安静にしてろよ!
急いで照と涼太が阿部を押さえつけるが、阿部はじたばたと暴れる。
💚やだ、いやだ、康二を探しにいく!!
❤️トイレとかだよきっと、だから落ち着いてって!
💚じゃあトイレに行くよ、いいから離して!!
尋常ではない情緒に俺は驚く。なんでそこまで康二が居ないことにピリつくんだ?
確かに康二が何も言わずにどっか行くのは違和感あるけど……
口を挟めないでいると、めめが阿部に近寄って声をかけた。
🖤阿部ちゃん、康二はさっきトイレに行くって俺に伝えてたから大丈夫だよ
💚……ほんとに?
🖤ほんとだから。だから落ち着いて?
💚…………、
納得できないのか、阿部が黙り込んでいると、本当にトイレから戻ってきた康二がそんな気まずい空気なんて知らないと言う風にやってきた。
🧡阿部ちゃん起きとる!体はもう大丈夫なん?
🩷おっっっっまえなぁ……!ちゃんと俺らに報告してからトイレいけよ!!
🧡え!?束縛激しい彼女みたいなこと言うやん?
🤍いや康二くん、これガチだからね
🧡えっえ!?俺なんかした?え!?ごめんな!?
……はぁーーーーー。
安堵か呆れか分からないため息が出る。
阿部の方を見ると、康二を見てなんだか目が泣きそうになっていた。
💚……た……てた…………ッ
照達より近くにいるわけではないのでハッキリとは聞こえなかったけど、どうやら安心しているようで俺もやっと緊張が解けた。
side 💚
翔太が「康二は?」とこぼした瞬間、俺の時が止まった。
また間に合わなかったのかと思った。
しかしめめの言う通り康二は普通にトイレに行っていただけで、心底安心した……。
良かった。生きてた。
今までは1人が居なくなると確実にその時に1人が死んでいたのが、今回初めて生きていた。
これは、いい変化なのか。いやいい変化だろう。誰かが死なない分にはいい変化だ。
……このまま、誰も死なずに、俺も死なずに、一日が終わってはくれないだろうか。
そのまま9人でいると、スタッフさんから声がかかった。
無人島にいれるのは期限がある為、俺以外のメンバーは今のうちに録り溜めをしておきたいどのことだった。
当たり前のことだ。いつまでも無人島に居れる訳ではない。俺が気を失ってしまった分、ロスが生まれるのは当然だ。
そのロスを埋めるために、気を失った俺以外がMVの録り溜め。
分かってる、わかってる、頭では理解できる、のに、
💚……ぃやだ……
🩷?阿部ちゃんなんか言った?
💚…………ううん、なんでもない。録り溜め行ってらっしゃい。俺も後から追いつくから
🩷ん!阿部ちゃんは安静にしときなね!行ってくるわ!
1人とも、俺の傍から離れて欲しくないと、そう思ってしまった。
佐久間に聞かれた時、正直に答えるかどうか迷った。
でもそれでスタッフさんやメンバーに負担や迷惑をかけるのは俺の本意ではなかったし、何より……このまま何事もなく一日が過ぎるんじゃないかって、思いたかった。
──数分後。そんな俺の切実な希望を嘲笑うかのように、外から悲鳴が聞こえた。
💚っ何があったの……!
急いで外に出ると、すぐ目の前にある海でメンバーたちが集まっていた。
ザッと近寄ると、そこには康二が倒れていた。手足や腰に、大量のクラゲがくっついていた。
ラウール曰く、めめと康二とラウールの3人で海のシーンを撮っていた時に、偶然か否か海の浅瀬にクラゲがいて、めめとラウールはすぐに海から出たものの、康二だけ逃げ遅れた、らしい。
あの独特なヒラヒラが長いクラゲが康二の体にまとわりついているのを見て、息ができなくなる。
💚……は、ぁ、…ぁ、う……ひゅ、か、は…ッ
ドク、ドク、ドク、ドク。
心臓の鼓動音が頭に響く。メンバーの声は耳に届かなかった。
無理だった。結局死んだ。一瞬でも希望を持ってしまった。
誰も死なないんじゃないかと思ってしまった。
“2日目”にいけるんじゃないかと思ってしまった。
💚……あ”あぁ”あ”あぁ”“ああ”ぁ”……!!!!!!
🩷阿部ちゃっ……!!
気を失う直前、誰かに抱えられる感覚がした。
誰かも分からなかった。