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「あー、暇だぁ・・・早く帰りてぇ」
そう、1人の男が歩く。
コツン
「ん?」
音がし、振り向く。だが、誰もいない。
(・・・気のせい、か?)
と、男は踵を翻した。すると、
バチンッ
とてつもない激痛が走り、男はそのまま倒れた。
「・・・ふぅ〜!!上手くいったァ!!」
「“風音”静かに」
ギョクは何故か、オトのことを“風音”という。
実は、すまない先生達に言ったあの名前は偽名。
いまは緊急時と言うことで偽名ではなく、本名で呼びあっている。
ギョクは“蓬莱”
ミツキは“天満”
リンは“トキ”
シロガネは“銀子”
クロンは“クロネ”
カネンは“カネリ”
そして、オトは“風音”である。
「だってさぁ!電撃を人が死なない程度にするのすっごい難しいんだよ!?まだなれないよォ」
と、風音は手のひらに小さな雷をバチッと鳴らす。
風音は、雷(電気)を操ることが出来る。だが、まだ調整が苦手で、失敗することも多々ある。 他にも文句を言おうとしたが、辞めた。
空気がピリピリする。これは、明らかに
(・・・怒ってるよなぁ)
風音は軽くため息をつく。蓬莱は、表情をあまり外に出さず、無表情に近い。
けど、仲間や家族のことはとても大事。もし、家族や仲間に何かあったらそいつを殺すまでブチギレる。
・・・小さい頃、風音の師匠であり、蓬莱の父であった人と、誘拐に合ってから、蓬莱は変わった。
昔は笑顔を綻ばせ、どんな人にも笑顔を振りまく可愛らしい女の子だった。
けど、お父さんと誘拐にあい、お父さんは娘を守るためにサンドバッグになった。
それは酷い怪我だった。少しだけ動かせるようになった右腕がまた動かなくなったぐらい酷い怪我を受けた。
そして、それを見ていた蓬莱は“壊れてしまった”
それから、蓬莱は強くなろうと必死だった。もう二度とあんなことが起きないように。
それは、彼女に忘れられないトラウマを与えた出来事だし、彼女が強くなろうとした理由でもある。
「・・・蓬莱、落ち着いて」
と、天満は蓬莱の肩を抱き寄せる。蓬莱は天満を見上げる。
「・・・だいじょーぶ、僕もいるから、ね?蓬莱はひとりじゃないよ。だから、そんな怖い顔しないの?せっかく可愛い顔で産まれたんだから」
と、天満は微笑む。それに、蓬莱はこくんと頷いた。だが、
(・・・嘘つき、貴方だってめちゃくちゃ“怒ってる”じゃん)
風音はじっと見ていた。天満は笑っているけど“笑っていない”
笑顔の仮面をつけているように自分には見えた。恐らく、天満も怒っているのだ。
(おー、怖怖ッ、天満の地雷でタップダンスなんてしたら、私殺されちゃう。大人しくしよーっと)
と、風音はそう思いつつ、倒れた男の頭をガンッと蹴っ飛ばしたのだった。