たんじぇろ逆行物語ー
俺が黙々と任務をこなしていると、1通の手紙がきた。凄そうなカラスで、少し怖気づいてしまった。
「んー、どれどれ…」
ーーーーーーーえええええええぇ!!!ーーーーーーー
「やぁ、よく来たね」
あの手紙は御館様からだった。
「失礼致します」
そろり、と足音を立てないように入り、準備されていた座布団に座る。怖い。
「炭治郎」
君に聞きたいことがあってね、そういう御館様をみて、俺は新人隊士の名前をもう覚えていたんだな、と感激した。
「最終選別のとき、君がほとんどひとりで鬼を倒したと聞いた、それから、見たことのない呼吸を使う、とも聞いた」
「あぁ、それは、日の呼吸、と言われるものです、御館様」
「日の呼吸、かい?」
「はい、産屋敷邸にも、文献が残っていると思われます」
「あぁ、口頭で代々伝えられていたよ、日の呼吸についてはね」
流石、理解が早いな。まだ23だというのに。
しばらく話し、ふと、話が変わった。
「ところで炭治郎、その箱に入っている禰豆子についてだが…」
…やはり知られていたか。今回も容認してくれるかは分からないため、少し警戒をする。
「そんなに警戒しなくていいよ、炭治郎」
禰豆子は、我々鬼殺隊に必要な鍵だと思うからね、もちろん、炭治郎もね。
夕日を見ながら歩く。あの後、御館様とある契約をしたあと、少しだけお茶を頂き、屋敷を後にした。
「柱の皆さんに、会いたい、」
けど、会いたくないなぁ。
禰豆子が返事をするように、箱をカリカリする。
「大丈夫だよ、あの人達はきっと、禰豆子を分かってくれるはず」
そう言って、箱をするりと撫でる。 禰豆子の嬉しいという匂いがした。
「…鬼が近くにいるな」
匂いを嗅ぎ、場所を特定する。
「禰豆子、行くぞ」
そう言って、走る。
あの人達と出会うまでの、歯車が動き出した、ような気がする。