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〜attention〜
※こちらはご本人様とは一切の関係はございません。 全て、主の妄想です。
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それでは、暇つぶしにご覧下さい!
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小さな窓から見える夜空は、絵本で読んでいたように綺麗だ。 キラキラと無数の星が月とともに癒しの暗闇を照らしている。昼は活気に溢れていても、夜は静寂に包まれ、神秘的に見える。それはまるで今の僕が求めているものに近かった。今はそれとは程遠く感じてしまう。
「……僕も……星のようになれたらいいのに」
そう願ってもいいだろう。
どうせ、もう前の暮らしには返してもらえなさそうだから。
*
「はぁー……夜が明けちゃった……」
来て欲しくない燦々とした輝きが部屋の中を照らす。
僕はベットから降りて、いつもの場所に身を隠す。ここは僕にとっては、居心地の悪い場所でしかない。かつての、僕の家。今では監獄だ。
「ころん様、入りますね」
そう扉の向こうから年配の男の声がする。それはこの家に長年務めている家令のローレン。そして、唯一この家から突如追い出された時でも、僕たちの家に訪れてきてくれた人でもある。
「ころん様どこに居られますか?」
優しい声色で名を呼ばれる。
僕は、他に気配がないことを確認してから、ゆっくりと姿を見せる。
「おはよう、ローレン。1人だけだよね?」
僕のその言葉に嫌悪な顔をせず「もちろんでございます」と返事が返ってくる。
「珍しいね、どうしたの?」
「あのですね……陛下が……」
「断ってもらっていい?」
「ですがっ」
「ローレンの言いたいことはわかってるよ。僕も24だよ?あの人があの時こうしないと行けなかったことはわかってる。それでも、心のどこかで向き合うことも……まだ、整理がついてないんだ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。ころん様の思いは私めもわかっております」
「ありがとう。いつも嫌な役目をさせてごめんね」
「滅相もございません。それではそうお伝えしておきます。朝食はいつものところで?」
「ありがとう……。うんそうだね」
「それでは、後ほどうかがいます」
ローレンは僕の伝言を伝えるために一度退出する。
僕はローレンのせが遠くなるまで見おると、いつもの場所へと向かっていく。そう使用人たちの食堂だ。上流階級の料理はどうも口に合わず、吐き戻してしまうことがおおかった。それを見かねたローレンが食事を変えてくれた。今では食事面では問題ない。
「みんな、おはよう!」
食堂に入るなり、僕はみんなに挨拶する。これが一日の始まり。
「お、ころん様おはようございます」
「今日の飯もうめぇーぞ!!」
「ほんとう!!早く僕も食べなきゃ!!」
僕はこの食堂の雰囲気が好きだ。下城街を思い出させてくれる。なんとも心地のいい場所。
「今日もおすすめお願いします!」
「あいよ!」
「それとデザートはライチでお願い」
「本当にあんたはライチの実が好きだねぇ」
「母さんとの思い出の一つだから……」
「そうなんだね……なら、うーんっとサービスしないと!」
「!……ありがとうっ」
本当にここは温かい。息苦しいのあの場所とは違う。なんで、今更、城へと連れ戻したのかは分からないけど……もう、昔のようには戻れない。
「うーん、おいしい!!!」
「急いで食べるとつまらすぞ」
「そうですよ。よく噛んでください!!」
「もー、わかってるよ!みんな心配症だな〜」
「ローレンでございます」
あの後。ローレンはすぐさま陛下の元へと向かった。
「ローレンか」
「ころん様は、体調が優れないためにと」
「……変わった。それでは食事にしよう……」
陛下はローレンからの言葉に少し顔をくもらせる。それを傍から見ていた現王妃と子どもたちは、何も話さない。
ローレンはそのまま、一礼し、部屋を退出した。
*
「今日も何して過ごそうかな。できる限り部屋からは出たくないし、もしも誰かとあったら嫌だしな……一回ローレンに聞いてみようかな?」
ころんが何をしようかと考えている時に、部屋の扉が叩かれる。しかし、応答はしない。そして扉の向こうからは『あの……“兄さん”』と落ち着きのある青年の声が聞こえてくる。
それは現王妃の子どもの1人である莉犬王子の声だ。しかし、僕が返事を返すことはない。あまり知らないし、“兄さん”と呼ばれても実感などない。いつもならすぐに帰っていくはずなのに、今日はなかなか踵をかえす気配がない。何故なのだろうと考えている時に後ろから4人ほどの声が聞こえる。
「全然返事返ってこーへんやん!!」
「こら、ジェルくん!」
「本当にこの部屋にいるのかよ?っか、親父も何考えてんだろうな……」
「まあ、確かにそうですね。突然実は『お前たちにはお兄ちゃんがいる』なんて言われてビックリしましたしね」
「そうだね。だけど、その原因を作ったのはお俺たちの母さんでしょう?」
そんな会話が扉の向こうで行われている。
(……早くどっか行ってくれないかな?)
そんなことをか考えている時、聞き覚えのある声がする。
「皆様どうしてこちらにおられるのですか!?お父上にも言われているはずなのですが?」
声色からしてローレンが怒っているのがわかる。僕が出なくても大丈夫そうだ。
「それは……」
「俺たちの兄弟なんだろ?なんて会っちゃダメなんだよ」
「ちょっとさとみくん!」
「せやせや!さとにぃの言う通りや!!なんであったらアカンの?おかしない」
(おかしいか……はは、笑えるよ)
「……とりあえず、お引取りを。このことは後でお父上に報告させていただきます。王子たちを」
ローレンが手を叩いたと同時に、どっしりとした音が聞こえる。騎士が迎えに来たようだ。
「それでは、皆様行きましょう」
「なんでですか!?話してください」
「そうだ。離せよ!!」
そんな叫んでいる声が聞こえてくるが、僕にとってはどうでもいいことだ。
「ころん様入りますね」
部屋に入ってきたローレンは呆れたような疲れたような顔をしている。それを見た僕は彼に道場の眼差しを送る。
「後で報告しなければ……」
「ごめんね。だ僕が出たら早くすんだんだろうけど──」
「いえいえ。ころん様がそんなに思い詰めることはありません!」
「そうかな?」
「もしや……」
「うん。聞いちゃってたんだ。扉の近くで……あの人たちからはそんなふうに思われてたんだなーっと思っちゃった。(こんな場所好き居るんじゃない!勝手に連れてこられたのだらから……そんなこと知らない。かって言い草されて……イライラするな)」
「……そうだったのですね。配慮が足りず申し訳ありません」
「ローレンが気にすることじゃないよ」
「わかりました。……それでは本日はどうなされますか?」
ローレンはすぐに話を変える。これ以上僕も話したくなかったので、ありがたい。
「家に帰りたい……あの家に。母さんと過した温かな場所」
僕は窓を見つめながら、後ろに待機しているローレンに言う。叶わないものとわかっていても、こんな生活は息が詰まる。なら、ここに連れ戻される前の生活に戻りたいと思ってしまうのは悪いことなのだろうか……?突然、見知らぬ場所に連れてこられたのだから、このぐらいの我儘言ってもいいだろう。
だけど、ローレンの顔を見れば分かる。それが叶わないことを。奴が許すわけが無いことを。それでも、僕は帰りたいんだ。あの場所に、みんなと助け合いながら過ごして言った故郷へ──なぜ、それをこの城の者たちは平然と奪って行くのだろう。なぜ、こんな監獄に閉じ込められながら一生を迎えるのは僕にとっては無理だから。ローレンは申し訳なさそうに「申し訳ございません……」と謝られる。ローレンが悪い訳では無い。ここには温かく感じれる場所はある。だけども……あそこのような活気はない。人に身の回りの準備などされたくない。早く戻りたい。あの生活へと──。
「……」
「ころん様……」
「ん?何ー?」
ローレンに呼ばれて、僕はゆっくりと体を向ける。
「少し散歩なさいませんか?この時間なら、庭園が綺麗でございますよ?」
「……なら、行こうかな?ローレンも一緒?」
「もちろんでございますとも!」
僕はそれに安心する。
もしも、嫌な人たちにあったとしても、大丈夫だから。あんまりは喋りたくもないしね。
そうして、僕はローレンとともに東にある庭園へと向かっていく。僕の部屋からならそっちの方が近いらしい。どんな花が咲いているんだろう。少し心のどこかでワクワクしている。花を見るのは好きだ。あの家でも母さんと一緒に育てていたから。
*
長い廊下を歩いてやっと東の庭園に着く。
そこには、僕も見たことがない色とりどりの花が美しく咲き誇っている。温かな光を浴びながら。花弁 の水滴が日光を反射し、キラキラと輝いている。それは僕が好きな夜空の星に見ていた。
「綺麗な場所だね……。花のいい香りだな〜」
なんとも、落ち着きが溢れる場所。
「あちらに、座れる場所もございますが、休憩にしますか?」
「うん。そうしようかな?」
ローレンからの提案に僕は首を縦に振る。
花道の奥。青々しい野原がよそ風にさわさんと揺らされている。
目を凝らして見れば、既にお茶などの準備がされている。本当にローレンにはかなわなさそうだ。
「準備早すぎるよ」
「我々は主がご快適に過ごせるように務めるのが仕事ですからね。ころん様の願いめは私めが叶えてみせますぞ!」
「ええ〜それは嬉しいな!!」
そう楽しい話をしていれば、目的地に。はな着いると話しているとし時間を忘れてしまう。
「寒くはないですか?」
「うん。大丈夫だよ。ローレンこそだ大丈夫?」
「私めは大丈夫ですぞ」
そんな穏やかな時間が流れる。それは段々と夕日へと変わろうとしている。
しかし、そんな穏やかな時間はすぐさま壊される。
「ローレン……」
「ジェル坊っちゃま!?」
ローレンはすぐさま僕を隠すが、もう遅かった。
「ふーん……その後ろにおんのが“おお兄ちゃん”なんやな。地味ー」
「ジェル様!あなたのあ兄上ですよ!!」
「それがなんやねん?俺にとってはどうでもいい存在や。っか、おいつがきてから母様いつも泣いとんねんぞ、こんなやつ」
ジェルと呼ばれた少年が傍にあった石を拾い上げるなり、思い切りこちらに振り遅してくる。ローレンは僕に覆い被さるようにかばおうとする。だけど僕は──己のみでその痛みを受ける。
「っ!」
頭にドンキで殴られたような痛みが走る。
「ころん様!!」
すぐにローレンが僕の傍に駆け寄る。
僕は頭を押えながら、目の前の少年を見る。顔を青ざめ、その場から逃げ去る。ローレンが追いかけようとするが、僕は止める!?なぜ止めるのですか!?っと言いたげな顔を向けられるが、僕はゆつっりと立ち上がる、つかさず支えられる。
「なぜ引き止めたのですか!?」
すぐにローレンに怒られる。
「……あの子は母親思いからの行動だよ。僕には怒れないよ。今のことは陛下に言わなくていいからね」
「ですがっ!」
「僕はもうここにいるつもりは無いから」
「──わかりました」
少し不満そうでありながらも、ローレンは首を縦に振る。それは見てく僕は苦笑いを浮かべることしかできなかった。だけど、もう報告入ってしまってしまっているんだろうな。それは【影】が見ていただろうから。
はぁー……早くこんな生活から解放されたい。外の世界につさ翼を広げたい。
「ちゃんと安静なさってください。大人しく寝ていてくださいね!!」
「もうローレンは心配症だな。大丈夫ですよ〜」
「貴方様を幼い頃から見ているのですから、考えはおみとうしですからね」
「わかったよ……おやすみ」
「おやすみなさいませ」
静かに扉が閉められる。ちゃんとローレンの足音が遠ざかって行くのを確認してから、僕はゆっくりとベッドから起き上がって、窓辺にもたれ掛かりながら、こんなも同じように静寂の夜を見上げる。今日も夜空は綺麗に彩らせる。今日の三日月。童話に出てくる猫の笑みに似てくる。
僕も別の世界へ迷い込んだら、何か変わるのだろうか?夢の夢にしかならなくとも、今は思ってしまう。
この夜がまた、明けないことを僕は刹那に願う。そうすれば、この静寂の空を見続けることができるから──。
怒りも不安も悲しみも痛みも味わなくてよくなるから。
*
何故か、朝から正装に身を包んでいる。
なれない服を僕はは早く脱ぎたくって仕方ない。
「なんで、こんなに着込まないといけないのローレン?僕王族の籍には入ってないよね?!」
僕は疑問をぶつける。それにまた、頭が痛む。
しかし、意外と僕の部屋から近い場所で止まる。ローレンが扉を3回ノックすると、誰かが扉を開ける。それは綺麗な菫色の髪にアメジストのように綺麗な瞳のせ青年だった。すぐさま部屋の中に通されれば、陛下、現王妃、王子たちが揃っていた。先程見た青年が王太子なのだとすぐにわかった。そして、昨日の少年はビクビクっと震えている。現王妃も僕を見るなり、顔をあ青ざめてい。
「なの……どのような要件でしょうか?」
僕が他の顔色を伺いながら、聞く。まあ、大体の検討は着いているが。ローレンを見れば、僕を静かに見ている。
「……今回呼んだのは、先日のジェルの件だ」
「僕はその件に関しては、罰を要求するつもりはありません。母親思いからの行動すし、僕からは何も言うことはありません……それでは失礼します。行こうローレン」
僕は言いたいことだけを言ってその場を離れようとした時、部屋の中にいた騎士に止められる。僕はイラッとし陛下を睨みつける。不敬と言われようとも関係ない。意思は述べたはずだ。
「ころん……」
「……あなたに、名前を呼ばれるのはあの日以来ですね。父さん」
「!!……そうだな。父親として、ジェルがお前にしたことを謝罪させてほしい」
「僕はあなたからの謝罪が欲しい訳ではありません。それと、ちゃんと子どもたちと向き合ってあげればいかがですか?……それではなんですが、いい加減僕をここから“解放”してください! 」
「だ、だが……」
「あなたに心配されなくても職ぐらいは自分で見つけられますし。慎ましい生活していれば、生きていけます。……ここにいることが僕にとっては地獄でしかない」
「……」
「他にはないようですね。えーっと確か……ジェルくん?」
「っ!……は、はい……」
「そんなに怖がらないで。僕は怒ってもないよ。だけど、怒って人に手を出すのはこの先君をダメにしてしまうことになる。だから少しづつ感情をコントロールを覚えていこう。君には優しいお兄さん達がいるでしょう?」
「……う、うん……あ、あのごめんなさい!」
「うん!ちゃんと謝れて偉いね」
僕はジェルくんの夕焼けのような綺麗な髪を梳かすように撫でてあげる。その姿はあの街の子を思い出す。
ころんはそのまま部屋を後にする。もちろんローレンとともに。
退出したあとの部屋は静寂に包まれていた。
「……ジェル」
「はい!!」
「ころんの言葉を忘れないように。何かあったら、私にも気兼ねなく言ってくれないか?」
父親からのそんな言葉にジェルは驚くも、満面な笑顔で頷いた。
「はぁー……疲れた」
「しかし、あの場であんなこと言ってよかったのですか?」
「いいんだよ。あの子も悪気があったわけじゃないし。確かに、憎い女の子だとしても、まだ、外の世界を知らない子どもだもん。そんなにカッカしてても意味ないしね」
「ころん様が納得しておられるのなら、私めからは何も言うことはありませんが…… 」
「今後は少し気おつけないとね」
さあ、また大変な日常が訪れそうで、僕は呆れしかなかった──。