珍しく俺と涼太が番組で共演し、打ち上げにも揃って参加した日。
よく飲む人が自然と固まっていき、一部が大盛り上がりし始めた。その中に涼太はいて、楽しそうに酔いながら周りの人と談笑していた。
はずだった。
急に『ふざけんな』と声がして、みんなの視線が酒の入った席に向く。
立ち上がって共演者の1人を般若のような顔で見下ろす涼太が目に入った。相手は怯んだのか座ったまま少し後ずさりして『冗談だって』とか取り繕っている。
その様子を呆然と見て、我に返り慌てて涼太のもとへ。
💙「バカ、喧嘩すんな」
❤️「翔太」
声をかけ、涼太を座らせて相手に謝れと言うけど俯いて頑なに謝らない。だが、相手の人も何か言い返す様子はない。
💙「…雰囲気壊す飲み方すんな、もう帰ろう。皆さんすみませんでした」
埒が明かないのでそう言うと、涼太はまだ俯いたまま一緒に立ち上がった。
周りにいた別の共演者さんの1人が見送りがてら『宮舘さんは悪くない。こっちはフォローしておくので』と言ってきたので、よくわからないけど頭を下げてタクシーに乗り込んだ。
車内でも、涼太の家に帰って部屋まで送っても、涼太は一言も喋らなかった。
💙「何があったんだよ」
❤️「言わない」
💙「はぁ?あんな騒ぎにしといて」
❤️「言わない。帰って」
涼太がたまに頑固だと言うと誰もが驚くので、きっとこんな姿は俺しか知らないんだろう。
ただ、今日はずっと握った拳が震えていて相当怒っている。ただごとではなかったんだろうけど、話してくれる様子もない。
❤️「1人にして。ごめん」
💙「涼太…」
俺に不躾な言い方をしたと思ったんだろう、ソファで項垂れたままそう言う涼太の隣に座って背中をなでる。
💙「1人にできねぇよ」
そう言ってしばらく撫でていたら、涼太は
❤️「悔しかった」
とだけ言い、そこから堰を切ったように泣き出した。
いつもは俺が涼太にあれこれワガママ言ったり怒ったりして、対する涼太は落ち着いていていつも宥めたりハイハイと聞いてくれている。
でも立場が逆になるとこんなにも心配でたまらないし慌てるばかりだ。
いつもよくあんな穏やかにしていられるなと思う。俺が短気だから慣れてるのか。
おろおろ宥めようとしたけど、何をしたらいいかわからない。とりあえず風呂入ろ、と言うと涼太は大人しく着いてきた。
一緒にシャワーを浴びる。
お互い全部洗い終わって、シャワーを止める前に長くて甘いキスを受けた。
唇を離した涼太はまた泣いている。
💙「どした、ほんとに」
それでも俺の問いかけには首を振るばかりだった。
ベッドに入るといつもセックスしたい涼太とヤダヤダ言う俺の攻防が定番だが、今日は俺を抱き枕にしてすぐ眠ってしまった。
後日グループの収録に件の共演者さんが来た時、マネージャーさんを伴って涼太に謝っているのが見えた。
近くに行こうとしたら、こっちのマネージャーさんに止められた。
『聞かれたくないからって言われてるので』
モヤモヤは募ったけど、涼太は謝罪を受け入れたようだ。
2人の間に変な溝もなく、和やかに収録は終わった。
💙「納得行かない」
❤️「どうして」
💙「俺彼氏だぞ?何でなにも教えてもらえないんだよ、俺だけまだモヤモヤしてる」
❤️「もう終わった事だから、忘れて」
💙「忘れるか!」
❤️「後で忘れさせるから」
恥ずかしげもなくそう言う涼太と、顔が熱くなって涼太が作ったパスタを頬張る俺。
💙「ヤダ、話してくれなかったらしない」
❤️「言わないよ、知らないほうがいい事もあるってこと」
💙「んだよソレ」
セックスを人質にとってもダメだった。
だがここまで俺だけが置いてけぼりにされた理由は、しばらく経って思わぬ形で判明する。
別番組の収録後、数人で食事に行った時。
件の共演者さんが涼太に絡んで怒られた話は一部で回っているようだった。
結論から言うと、あの人は涼太に俺のことをああいうのが一番エロい、やらせてるみたいに言って怒らせたらしい。
『それでビビらせるほど怒るって、宮舘さんってメンバー思いなんだね』という方向の話になっていたので俺も耳にする事となった。
💙「ただいま」
❤️「おかえり。楽しかった?」
💙「ん」
涼太の部屋に帰り、いつも通り何も聞かなかったように振る舞うつもりだったけど、顔を見たら思わず抱きついてしまった。
❤️「どうしたの」
💙「涼太、すき」
❤️「え?」
💙「もう言わん」
ぽかんとしている涼太を見たら恥ずかしくなって、お土産のコンビニ新作スイーツを『やる』と押し付けてソファに逃げた。
終
コメント
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舘様男らしいね やっぱり推しNO1🤭
舘様男らしくてかっこいい❤️ しょっぴーも自分のために怒ってくれて、守られて嬉しそう 尊い💙❤️🥰