ふたりが戻ってきている。
めめさんの隣には──────女性がいた。失礼なことに、俺はその人が女性だと思っていなかったので、驚く。彼女の容姿は見違えるほど変わっている。
まず、髪が整えられ、ガタガタで不衛生そうなボサボサの髪がボブカットに揃えられ、切られていた。
髪は最初はどす黒いが、多分黒い髪色だと思っていたのは、黒と紫を混ぜたような色合いをしていて、艶があり、気品もある。
髪からはうっすらとシャンプーの良い香りが漂う。
目は澄んだオレンジ色で、夕焼けをそのまま目に移したような色で、神秘的だった。
ただ、そこまでめめさんがせわをする理由やメリットが何一つ分からなかった。
彼女は、めめさんの背後に隠れつつ遠慮がちに話を切り出す。
「あ、えと…改めて自己紹介させていただきます…。陰陽師の夕奈(ゆうな)です。ここから10キロほど離れた村に住んでいるものです。」
「どこの村?」
「…えと、あまり有名ではないと思いますが、水炎村(すいえんむら)です…」
少なくとも俺は知らない。ちらっとれいまりさんを見る。少し下を見て、顎に手を添えている。いかにも考えている様なポーズを取っている。…実際に考えているかは不明だ。
「い、一応村の説明をしますと…水神様を祀っている村です。そして定期的に生贄を捧げているんです…なかなか酷い村だとは思っていますが、昔から続いているので…とめることは不可能です…」
彼女は、気まずそうに口を抑えつつ話を切り出す。段々と悲しそうになっていく彼女は見るに堪えないものがある。しかし、同情はしない。嘘をついてるかもしれない相手を信じるほど俺はお人好しでは無い。
ただ、顔には可哀想だな、とか思っているような仮面(顔)に変えておく。不自然がないように…取り繕う。
「…依頼内容は?」
「式神を助けてくださいッ…お願いしますッ…!!」
あまりにも迫真的な言葉だった。涙ながらに訴えてくる。美しい人の涙で歪んだ顔はインパクトが強く、同情してしまいそうになる。
が、何とか踏みとどまる。
「ボス〜どうするんですか?」
れいまりさんが軽く聞く。一気にその場の空気が冷たく、重いものになる。
主に、夕奈さんが目を見開き唾を大きく飲み込んでいる。藁にもすがる思いできた彼女にとって、断られたらほぼ終わりのようなものだろう。
俺たち3人の目はめめさんに向けられ、目で、答えを問う
めめさんは数十秒の時間を有し、重い瞼を開け、唇が動く。
「その依頼…受け付けましょう。我々が対処します。」
「ほッほんとですかッ!?」
「はい、決断したことをそう簡単に曲げませんよ。」
めめさんの言葉に膝から崩れ落ち、安堵の声を上げている彼女。
子犬ように喜びまくり、泣きじゃくっている。その涙は悲しみの涙でないことが俺にはわかる。頬を伝うその雫は淡い光が灯っていた。
「…感動しているところ悪いですが、条件は出させていただきます。」
めめさんの冷静な声が、彼女を現実へと引き戻す。彼女は少し、冷静さを取り戻しており、それと同時にひとつまみの恐怖が顔色から伺い知れる。
「条件一、貴方にも着いてきていただきます。理由は道案内や、式神についての情報提供していただくためですね」
彼女は無言で頷いている。そして、次を促す。
「条件2、お金はある程度取りますよ?命の危険があるため、なかなかな大金を貰うことになると思いますが…」
「全然大丈夫です!!ある程度のお金は持っているので!」
「それなら大丈夫ですね」
陰陽師って稼げるのか???なんて疑問を浮かべるが、一旦無視をする。
「条件3は、最大限の情報提供です。」
「それくらいなら全然問題ないです!」
彼女は噛み付くようにすぐに返事をする。
「それでは一応契約書にサインを…あ、ちゃんと内容みてくださいね?」
「わかりました…」
彼女のさっきまでの威勢はどうしたのかと思うほど、暗くなった彼女に驚く。
彼女は端から端を舐めるかのようによく読んでいる。そして、決心が着いたかのように彼女の名前を、契約書に記入する。
「交渉成立です…!!」
「それでは、私は一旦出かける準備をしましょう。出勤メンバーは、めめさん、俺、みぞれさん、レイラーさん、れいまりさん、メテヲさん、菓子さん、ちゃこさんとガンマスさんは留守番お願いします。」
めめさんが依頼を受けてから、すぐに幹部会議が開かれ、報告がされていく。
全員が了承し、この依頼は正式に受けることになった…
ここで切ります!まあまあ、まだ、式神は慌てないでくださいよ。明日か明後日に出ますよ!
それでは!おつはる🌸!!
コメント
79件
めめさんのことボス呼び……いいな〜〜
実際に判明するのは明後日以降なんだろうな〜