『君の夢の中で会おう』
夜……ゆあんくんは魘されてることが多くて、いつも心配になる。
特に何かあるという訳ではないらしいが、初めて一緒に寝た日も魘されていた。
「ゆあんくん……大丈夫ですか?」
「……うぅ……んっ……」
「起きて下さい!」
ユサユサ……(体を揺さぶる)
「……な、なおきりさん?」
「すごく魘されてました……大丈夫ですか」
「……だい……じょうぶじゃない」
「ですよね……少し起きて着替えましょうか」
「ごめん……」
「謝る必要ないですよ」
「……」
着替え中……
「じゃあ少し横になりましょうか」
「うん……ねぇ、ちょっとだけ引っ付いても良い?」
「はい、良いですよ?」
ゴソゴソ……ギュゥ
「……」
なおきりさんは俺が魘されてると起こしてくれる。
でも、理由とかは聞いてこないし、よしよししながらずっと傍に居てくれる。
別に寂しいとかじゃないし、夢の内容も少ししたら忘れるようなどうでも良いものばかり
心配させといて悪いけど……何かある訳じゃないんだよね
だからこそ、なおきりさんを毎回起こしてしまうのは申し訳ないし……不安になる。
もう初めて会った日から何年も経つのに、俺は一向に成長していなくて恥ずかしいし、恋人のなおきりさんにも物凄く申し訳ない。
後悔してるかな?俺と付き合ったの……
もしかしたら嫌になってるかもしれないし、いつか別れを切り出されるかもしれない。
ゆあんくんはじっと考えている様子だ。
多分余計なことを考えているんだろうな……夜に考え事をすると悪い方向に思考が傾くからいけないというのを聞いたことがあるが、本当だと思う。
時間帯によってそんなに変わらないだろ……って思っていたけど、大人になるにつれ考えることが増えて圧倒的に夜に考え事をすることが増えた。
そのせいか分からないけど、悪い方向にばかり考えるようになって……とりあえず夜に考え事をするのをやめた。
するとすんなりと問題が解決して、何か重りが乗ってるような、騒がしい音楽が流れているような……そんな心臓がふっと軽くなって落ち着いた。
そんな経験から言うと夜に考え事はしない方が絶対に良い。
「ゆあんくん……」
「……ん、なに?」
「考え事しなくていいよ」
「んぇ……?」
「深呼吸して……すぅ……はぁ」
「すぅ……はぁ」
ふっと目の前が温かくなる……なおきりさんの匂いがして、大きくて優しい手が俺の目を解していく。
「……な……お…………」
「ふふっ……俺のことを考えながら眠ってくれたんだ……夢の中の僕と浮気しないでくださいね」
「……すぅすぅ」
……チュッ
唇に夢の中に入る許可を貰うと微笑んで言った。
「迎えに行きますね……おやすみ」
『寂しくなんか無いけど』
もふくんが寝ている傍に寄ってじっと見つめる。
寂しいとかは無くて……ただ本当にこの人が俺だけの恋人になったんだってびっくりして……すごく驚いてる訳じゃないんだけど、何だかハッとして眠れない。
嫌なんかじゃなくて、むしろずっと嬉しくて……でも綺麗な顔を見ていると何だか不思議で、ずっと見ていたくなる。
目が開いて、ゆっくりこっちを見る。
ちょっとの間が空いて、少し掠れた声でおはようと言われる。
現在の時間は朝の5時
お互いお休みの日なので一緒に居ようと約束した日。
でも寝れなくて、途中まで不安だったけど段々と吹っ切れていって最終的にもふくんの顔を観察するのに落ち着いた。
「ん……朝は不細工だから見るなよ……」
「俺の彼氏はイケメンだし」
「……、! 」
ギュゥ……(拳を握る)
「ん、ありがとう」
「……」(好きだなぁ)
「……ちょっと寝なよ、まだ早いから」
「分かった……おやすみ」
「おやすみ」
どぬは少し拗ねたように言っていたが、眠かったんだろう……すぐに布団に入って眠ってしまった。
楽しみでドキドキして眠れなかったんだろうなと思いながら、愛おしい気持ちで目の下をそっと撫でる。
隈は出来ていないけど……付くと取れにくいから気を付けないとね。
どぬは大人になってからよくモテるようになった。
元からモテていたけど……やっぱりそうだよな。
でも今回は外には出ずにお家デートに変更して、ゆっくりしよう。
その方が俺もどぬにも合ってる。
男同士って変に見られるのは構わないけど、どぬは結構気にしちゃうからね……お家なら俺とどぬだけで居られるし。
チュッ……(首に優しく愛を落とす)
「一生愛してる」
『ちゃんと本気で君を愛してる』
今日は随分と寒い。
俺が震えながらベッドの中で暖まるのを待っていると、ヒロくんがベッドにやってくる。
ギュゥと抱きついてくるので暖かくなる。
「お風呂入ってきたん?」
「うん……暖かいでしょ?」
「ん、さすが俺の彼氏」
「何それ~」
ヒロくんが赤くなって顔を背ける。
「ははっ……早めの深夜テンション……?」
俺も釣られて赤くなってしまう。
それを見てチャンスだと思ったのか、ヒロくんは耳元で囁く。
「明日休みだからさ……しよ?」
「なっ……ぇ……もぉ……」
ついぐるぐると考える。
するとすぐにキスをされてギュゥと抱きしめられる。
「するのは明日だよ?変態さん」
「なんそれ……きもっ」
「ふふはっ……辛辣w……でも暖かくなったでしょ?」
「……おかげさまで!」
「良かった……でもさっきのは本気だからね?」
「っ……」
背中がゾクリとして胸がキュンキュンして、心臓が速くなる。
それに気づいたのかヒロくんは、俺の胸に耳を当てて心臓の音を聞き始める。
「……やめろ」
「怒っちゃった?……赤くなってる可愛い」
「……ムスッ」
「じゃあお礼に俺のも聞かせてあげる。」
胸に押し当てられてしばらく経つと、ドクンドクンと音が聞こえる。
体温の暖かさと心音で段々と眠くなってきて、目を瞑る。
「ん?寝たかな?」
「すぅ……すぅ……」
「よいしょっと」
ゴソゴソ……(元の位置に戻す)
ちゅっ……
耳に香りをつけると、うりが んぅっと唸る。
「おやすみ……俺のプリンセス」
『どんな時でも君には勝てない』
じゃぱぱにホットミルクを渡して布団に入る。
今日はもう働きたくない。
出来れば明日もずっと……もうホンマにやること多すぎなんよ
……はぁ、しんどいなぁ
「たっつん……たっつん」
「何やもう!!うるさいなぁ!」
「……ちゅっ」
「……っ!何すんねん!」
じゃぱぱは太ももをスリスリしながら、俺さお前が頑張り過ぎてて心配と小さい声で言った。
こいつが俺の太ももをスリスリする時は大体、ホンマに不安になっとる時で声がいつもより小さいのは、俺が疲れとるのが分かっとるからやろうな。
怒鳴って八つ当たりした癖に、こういう時だけ俺も泣きたくなる。
じゃぱぱが不安そうにしとったら、俺も不安になるやん。
「アホ……ちょっとは見栄張れよ」
「……俺の恋人が疲れて悲しそうな顔してるのに見栄を張る必要ないでしょ?」
「俺のって……」
顔が熱くなる。
あぁ……ヤバイ、泣く。
するとじゃぱぱは肩を貸してくれた。
泣くなとか言うんやなくて、そっと肩を貸してくれるコイツが俺は心底好き何やろうな。
ホンマ……アホらしいわ
たっつんは声を我慢して泣いていたけど、途中で小さくなって聞こえなくなった。
多分寝たんだろう。
ほんとに溜め込みやすいから、なるべく息抜きさせてやらないとなと思いながら、たっつんを寝かせる。
たっつんが笑ってる夢を見れたら良いなと、想いながらギュゥと抱きついて眠りにつく。
夢か現実か分からないけど、たっつんが笑ってる。
俺はそっとキスをした。
たっつんはびっくりしていたけど、すぐにふわっと優しい顔で笑った。
(幸せだなぁ……)
ちゅっ……
朝起きるとまだ寝ているじゃぱぱにキスをした。
そっと額に優しく気づかれないように。
「愛してる……」
終わり
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