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家に帰っても、胸のざわつきは消えなかった。
部屋の電気をつけた瞬間、
涙がまたこぼれそうになって、りなはそのままベッドに倒れ込んだ。
(私……何やってんの……)
(澪にあんな言い方して……)
スマホが震える。
通知を見るまでもなく、誰からかは分かった。
澪。
震える指で画面を開くと、そこには短いメッセージが並んでいた。
澪:大丈夫?
澪:帰っちゃったから、心配
胸がきゅっと痛む。
(ごめん……澪は悪くないのに……)
返事を打とうとすると、またメッセージが届く。
澪:りなが泣きそうな顔してたの、気づいてた
その一文だけで視界が滲んだ。
(ずるい……そういうところ、ほんとずるいよ……)
枕に顔を押しつけたまま、りなは深呼吸した。
りな:ごめん。疲れてただけ
送信してすぐ、澪から返ってきた。
澪:嘘。
澪:りなの“疲れた”は、あんな顔じゃない
胸が震える。
どうしてこんなに分かってくれるの。
どうしてこんなに、私を見てくれるの。
澪:明日、会える?
澪:話したい
「話したい」という言葉が、胸の奥をざわつかせる。
嫌われるのが怖い。
怒られるのも怖い。
でも、それ以上に——
澪に会えなくなるほうが、もっと怖い。
りなは指先でゆっくり文字を打った。
りな:うん。明日……会お
送信して、スマホを胸に抱いた。
そのまままぶたが落ちそうになったとき、
もう一通メッセージが届く。
澪:りながいなくなるのは、嫌
息が止まりそうになる。
枕の中で、涙がじわっとあふれた。
(……私もだよ。澪がいないの、嫌だよ)
そう思いながらも、言葉にはできなかった。
胸の奥に渦巻く不安と、
その何倍も大きい“好き”という気持ちを抱えたまま、
りなはゆっくり目を閉じた。