「千夏のことは全部」
彼の動きが止まった。
怖がっていると思わせてしまった気がして、「そうじゃない」と伝えたくて、必死でキスをした。
この先が怖くないといえば嘘になる。
でも 皓(ひかる)くんが大好きだから……彼に大好きだとわかってほしいから、やめたくない。
やがて皓くんもキスに応えてくれ、彼の手がゆっくり動いた。
想いが伝わったようでほっとしたけれど、肌を 滑(すべ)る手に意識が集まって、ざわざわした感覚が押し寄せる。
体がどんどん硬くなって、閉じた 瞼(まぶた)をさらにぎゅっとつぶった時、ふいに真上にあった体が 退(しりぞ)いた。
恐るおそる目をあけると、少し先に弱い微笑みがある。
「無理しないで。千夏(ちなつ)のことはほしいけど、体だけがほしいんじゃないから」
言って、皓くんの指が私の目尻に触れた。
温かく濡れたものを感じて、自分がほんの少し泣い*********************
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