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今俺はマルクのパン屋からそこまで遠くない出店通りと呼ばれる祭りのように大量の出店が並んでいる通りを少し過ぎた所にある服屋の前に棒立ちしている。理由はリーニの服を買いに来たからだ。流石にいつまでも俺の服を着せておくのもまずいと思った。それはコノアの反応を見たらわかった。明らかに俺に敵意を剥き出していたからだ。まるで「恋人でも無いのに自分の服を着させるだなんて最低」とでも言っているかのようにすら見える。しかし服選びに俺がついて行ってもほとんど役に立たないと思い店員に服選びを頼んで今に至るというわけだ。その間は次の儲けについて考えていたが店員に「ゼルディア様?お連れの方のお会計をお願いします」と呼び出しをくらったので店の中に入った。するとそこには何ともかわいらしい服を不満げな顔をしながら着ているリーニが立っていた。おそらく本人はかわいらしい服より他のものの方が良かったのだろう。仕方がないのでリーニに欲しいものを自分で選んで良いと言って俺もついていくことにした。「これがいい」リーニが選んだのは少し可愛げのある男向けの服だった。なるほどリーニは見た目より動きやすさといった実用性を重要視しているようだ。「わかった。1枚だけじゃ洗濯できないからあと2.3枚選んでもいいよ」「わかった」リーニは次々に服を選んだ。そのおかげで1.2分で買い物を済ませることができた。広場に向かう途中リーニが「ありがと」と小さくぼやいた気がした。次に向かったのは情報収集も兼ねて商業組合に向かうことにした。「次はどこに行くの?」「商業組合だよ」「ハヤセが5年以上所属しているっていう?」「そうだよ。」「何しに行くの?」「隣国の戦争のこととか偽金貨の話が流れ込んでいないかとか、いわゆる聞き込みだよ」「聞き込み?」「そう」聞き込みと聞いてリーニは少し気が乗らない感じがした。自分が役に立てないのか、あまり人にいい思い出がないのかはわからないがリーニが退屈しないように一工夫必要なようだ。「リーニ、これからリーニはきっと自分で仕事を探すことになるかもしれない。だから社会勉強も兼ねてこの組合に所属してみないか?」「社会勉強ならハヤセが教えてくれればいいじゃん」「それでリーニがいいならいいんだけど、今日俺がみんなと話してる時暇にならないかなって?」「大丈夫だよ。暇潰しは慣れてるから」「そう?じゃわかりやすいところで待っててくれる?」「一緒に行く」本人的にはずっとそう言っていたのだろう。その時の俺は考え事ばかりで何もかもうわの空という感じだった「一緒に来てくれるならそっちのほうが楽なんだけど…リーニは大丈夫?」「大丈夫って言ってるじゃん!」「ごめん、連れて行くから機嫌直して」とだけ言って俺はリーニを連れて商業組合に向けて足を進めた。商業組合に着くと皆俺だとわかってくれた。移動がメインの行商人にとっては実家のようなものだった。「久しぶりだな!!みんな変わりないか?」「そういうハヤセルこそ。借金返済のために金でも借りに帰ってきたわけじゃねぇだろうな?」「そんなわけないだろ。俺も立派な行商人だ」「そうか…お前も立派になったな…」「いつまでも子供扱いは辞めてくれ」みな口を揃えてそんな事を言うものだからついムキになってしまった「それより最近隣国で権力争いの戦が始まっているようじゃないか。それについて何か知らないか話を聞きに来たんだよ」「そうだったのか。で?そちらの嬢ちゃんは?」「この娘はリーニ。シュリメルの町でたまたま出会って一緒に商人をしている」「へぇ」とだけ言って誰も深掘りはしなかった。きっと自分と同じだと思った者、わけがあると思った者それぞれ沢山いたのだろう「隣国での戦争の話ならいくつか知ってるぜ話してやる変わりに」「金を渡せと…」「わかってるじゃねぇか」「あいにく手持ちがなくてね…代わりにとてもいい話をしてやろう」「内容によっちゃ、全部タダでもいいぜ」「本当か!?」「ただしくだらない話だったら2000金貨だ」「よし!それじゃぁとっておきだぞ?」