テラーノベル
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若井は結局、家に着くまで元貴に何も言えずにいた。
無言のまま、玄関のドアをがちゃりという音をたてながら開けた。
家の中は、外とは比べ物にならない程静かで、若井と元貴が呼吸をする音だけが家の中で響いていた。
「…元貴、ご飯食べれる、?」
「…」
元貴は、虚ろな目をしたまま、首を力なく、横に振った。
「、そっか…」
「…じゃあお風呂行こ、?」
「…」
元貴は少し時間を置いてから首を縦に振った。
若井は元貴よりも一足先にお風呂から上がり、疲れきった身体をソファに身を任せ、”はぁ…”と深い溜め息をついた。
しばらく、今日あった出来事を振り返っていると、段々と自分が情けなくなっていった。
(一体、今まで元貴はどういう思いや気持ちで過ごして、俺と顔を合わせていたんだろう…)
そう考えていると、元貴も風呂から上がって来た。
濡れた髪のまま自室に入ろうとする元貴を呼び止めると、元貴は少し躊躇う様に動きを止める。
「髪、乾かそう」
若井がそう言うと、元貴は無表情なまま、若井の隣に軽く腰を下ろす。
「ドライヤー取りに行って来るから、ちょっと待っててね」
元貴が寂しそうに小さく頷くのを確認すると、若井は重たい腰をソファから離して、髪を乾かす為にドライヤーを取りに脱衣所に向かった。
続…
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