彼の家にいくと、一虎くんの姿は見えなかった。
「入りますか、」
すっと息を吸い込み、ドアを開ける。
開けると部屋は散らかっていて、息を飲んだ 。
いきなり3人で彼の傍には行けないと考え、
マイキーくんと、ドラケンくんは玄関で待機してもらうことにした。
「千冬 〜 ?俺だよ〜?千冬 、?」
部屋がちらかっていて、彼の姿がどこにいるのかが全く分からない。
あいつの好きそうな場所とか??とにかく、リビング、寝室、風呂場、キッチン 、
いろいろ調べるしかないようだ。そう考えると、
「ぅぅぅ」とうめき声のようなものが聞こえた 。
「千冬 !!」
「う゛あ゛あ゛あ゛!!」
「おいたけみち!!」
背後から肩を掴みつけ、俺を睨みつける一虎くんの口からは、息が漏れていた。走ってきたのだろうか。
「でけぇの出すんじゃねぇよ。」
「す、すみません、」
「千冬はあそこ。んで、これが毛布、あと、これ。」
彼の手には毛布と、コンビニで買ってきたのだろうお菓子が入っている。
「へ、?これ、、」
「お前が渡して来ないと意味ねぇだろ。俺は、、千冬に近づけない 、」
彼は眉間に皺を寄せ、思い詰めた顔をした。
そっと千冬のいる方向に向かうと、彼の顔は分からないが、1番端っこの、カーテンにくるまっていた。
ガタガタと震えていて、手で耳を塞いでいた。
「千冬 、千冬 、」
彼の背中をぽんと優しく触り、撫でてやると、彼の体は、びくびくと震える体は収まり始めた。
「千冬 、手離して、」
彼の手にそっと触れ、優しくどかそうとすると、すんなりと退けてくれた。
「千冬 、俺だよ。たけみち。」
「た、けみ、武道、武道 、」
彼は俺の名前を連呼して、俺の手を握った。
「ごめっ、また、迷惑かけて 、」
彼はぼろぼろと流す涙で床を濡らした。
「ごめ、なさっ、俺、ほんと、は、こんなことしたいんじゃ、
俺、なりに、頑張ったのに 、うま、くいかな、
かず、とらくんに、あんまり、その、
俺も、手伝いたくて、俺は、俺は、」
彼は焦っているように見えた。脅されて、口に出さなくては行けない人のようにみえて、
その姿がとても、苦しかった。
「千冬 、分かってるよ。俺も。一虎くんだって。
千冬が頑張ってること知ってるよ。
でもね、千冬。一虎くんはお前が心配だったんだよ
一虎くんも言い過ぎちゃったって、反省してる。
だから千冬も」
「ぁ、ちが、違う。」
彼は慌てた様子で俺に訴えた。なんだろう。
「俺は、一虎くんを、ごめんなさ、」
なにか慌てている。どうしたんだ。
「千冬、落ち着いて。何があったの??
ゆっくりでいいんだよ。ゆっくり、」
「俺は一虎くんを殺した、」
彼の言葉が理解できなかった。聞き間違えかと思ったが彼の顔がそうとは思えなかった。
「千冬、それ、どういうこと、?
いや、だってさっき、一虎くんいたよ??
俺と話してたし、、」
「違う、俺は、一虎くんを殺した 、ちゃんと殺した!!でも、」
「千冬、何言ってるんだよ、?一虎くんは生きてるよ??」
「一虎くんは 、!!」
「武道 。仕方ないんだよ 。千冬に薬を飲ませてやってくれ。こういう症状もあるから 。
仕方がないから。千冬の中では俺を死んじゃってるんだ、よくあるんだよ。
薬を飲めば治るから。」
彼の笑顔は、何か、切なそうな目をしていた。
本当は、彼も辛いんだ。千冬を抱きしめ、説明した。
「千冬、一虎くんは、ちゃんと生きてるから。
大丈夫 。今は少しだけ、眠っててね。」
そういい彼の口の中に先程一虎くんから貰った薬を放り込んだ。
「た、けみ、、」
彼はふらっと俺にもたれかかった。彼からは寝息が聞こえてきた。こんなすぐに睡眠を指せるだなんて、相当強力な薬だ。
「千冬、」
千冬の腕には、何か傷が多く着いていた。
「…なにこれ、」
彼の手に触れようとすると、一虎くんが俺の手を掴み、止めた。
「……この傷はなんですか。」
聞くも彼は黙り込んで答えを言わなかった。
「まさかですけど、一虎くんが??」
「ちげぇよ!!」
喋ったと思ったら、否定の言葉だった。
「…チゲぇけど 、それ以上は言えねぇ、」
「…誰にやられたんですか。千冬。」
「……よく見ろよ、誰もやってねぇよ、それは、
千冬が自分で付けた傷だ 。
それは、自傷行為だ 。」
自傷、行為、?
この腕いっぱいに広がった傷は、全部、自傷行為のもの、?
彼の綺麗な白っぽい肌はいつしか皮がめくれ上がり、切り傷が彼の心の状態を物語っていた。
「…止められないんですか?」
「それは、ストレスからそうなってるから、
誰にも止められない。
千冬自身が変わらない限り、」
彼はそう言うと、千冬を抱きかかえて、寝室へ歩いていった。
「悪いな。こんな夜中に。」
彼は寝室から戻り、ドアを閉めて、外にいるドラケンくんたちにそう言って、
「中入れよ。なんか出す。」
彼はリビングを少し片付けて、腰をかけるよう俺らにそう言った。
「ほんとごめんな。」
彼は自分が迷惑をかけてしまっていることを謝ったが、俺らはなんにも思わなかった。
迷惑だと思ってないから。なんなら、一虎くんに尊敬していた。
詳しく何があったのか聞いてみた。
コメント
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3コメ♡え?むっちゃオモロいんたけど?なんでそんな神な作品作れるの?
1コメ! 千冬ちゃん大丈夫、?