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『実験開始』
機械音声と同時に床が弾けるように光った。
次の瞬間
視界が裂けた。
「っ!?」
目の前にいたはずの全員が
一瞬で消える。
壁が伸びる。
通路が増える。
天井が捻じれる。
「……幻覚だ!」
俺が叫ぶ。
すぐに分かった。レウの能力。
空間そのものを見せかけで塗り替えている。
「レウ!!」
返事はない。
代わりに
どこからともなく声だけが響く。
「……近づくな」
静かな声。
でも震えていた。
「俺に近づいたら」
「お前らを傷つける」
その声に怒りより先に違和感が走る。
本気で敵になる声じゃなかった。
「出てこい!!」
きょーさんの怒鳴り声が遠くで響く。
次の瞬間
ドゴッ
何かが砕ける音がした。
「ちっ、壁まで偽物かよ!」
暴れているらしい。
コンタミの声も聞こえる。
「おーい!誰かいるー!?」
相変わらずだ。
でも焦っているのが分かる。
その時、目の前の景色が揺れた。
廊下だった場所が真っ暗な部屋に変わる。
中央にレウがいた。
一人で立っている。
辺りを見渡すと誰も居ない。俺1人だった。
「……やっと来た」
俺は足を止める。
「何がしたい」
レウは目を伏せた。
「……分からない」
その答えに思わず言葉を失う。
「俺は、生きたかった」
小さな声。
「だから従った」
拳を握る。
「でも」
顔を上げる。
その目は赤かった。
「こんなことになるなら」
そこで言葉が切れた。
「……なら、なに?」
レウは答えない。
代わりに周囲の景色がまた歪む。
みどりいろwith友!!
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「来るな」
苦しそうに言う。
「今の俺、制御できない」
その瞬間床が消えた。
落ちる感覚。
「っ!」
体が宙に浮く。
だが次の瞬間腕を掴まれた。
「危ねぇな」
きょーさんだった。
片手で俺を引き上げる。
「きょーさん…!」
「あとで礼しろ」
その後ろからコンタミが走ってくる。
「見つけた見つけた!」
さらにらっだぁも現れる。
「……全員集合か」
その視線の先にレウがいた。
四人と一人。
誰もすぐには動かない。
レウが後ずさる。
「……来るな」
らっだぁが一歩前へ出る。
「もうやめろ」
「無理だ」
レウが首を振る。
「止めたら、俺が消される」
「止めなくても同じだろ」
らっだぁの声は静かだった。
「お前も被験体だ」
その一言でレウの肩が震える。
「……黙れ」
周囲の空間が激しく歪む。
壁から無数の影が現れる。
人影。獣。
刃物を持った何か。
全部幻覚だと分かっていても、
本能が拒絶する。
「うわ、趣味わる!」
コンタミが叫ぶ。
きょーさんが前に出る。
「全部壊しゃいいんだろ!」
拳を振るう。
影が吹き飛ぶ。
だが次々増える。
「キリねぇ!」
レウが叫ぶ。
「来るなって言ってんだろ!!」
その声に合わせて幻覚が暴走する。
空間全体が揺れる。
レウ自身も膝をついた。
「っ……!」
俺は気づいた。
こいつ俺たちを倒そうとしてるんじゃない。
近づけないようにしてる。
自分が選ばれないように。
自分が誰かを傷つけないように。
「レウ!」
俺が叫ぶ。
「お前、本当は──」
その時天井から赤い光が降った。
機械音声が響く。
『進行率低下を確認』
『被験体004、戦意不足』
レウが顔を上げる。
『処分シーケンス開始』
「……は?」
コンタミが固まる。
レウの足元に拘束用の光が絡みつく。
「やめ……」
レウがもがく。
白衣の男の声が天井から落ちた。
「使えない駒は不要だ」
その瞬間全員の怒りが一致した。
きょーさんが吠える。
「上等だ!!」
らっだぁが前に出る。
「レウを助ける」
コンタミが笑う。
「やっと意見合ったな」
俺も拳を握る。
「…敵は決まったね」
レウが目を見開く。
「……なんで」
らっだぁが即答した。
「仲間だからだ」
その瞬間レウの幻覚が止まった。
そして機械音声が再び響く。
『外敵行動を確認』
『全被験体、排除対象へ変更』
空間が大きく開く。
奥に巨大な制御装置が現れた。
白衣の男がその前に立つ。
「ならばまとめて処理する」
きょーさんが拳を鳴らす。
「やっと本番かよ」
四人が前に出る。
そしてレウもゆっくり立ち上がった。
「……俺も戦う」
五人が並ぶ。
一度壊れたはずの形がもう一度そこにあった。
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