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学校から十分歩いて駅に着き、三つ目の駅で電車を降りて、二十分歩けば僕の自宅。時間にすれば片道約五十分。けっこうな距離だと思うが、彼女は気にせずついてきた。彼女の自宅はそもそも高校の最寄り駅から反対方向に向かう電車に乗らなければならないそうだ。
電車の中でも歩いて移動しているときも、僕はひたすら彼女に不平不満を浴びせ続けた。
「僕が自殺しようとした君を助けたのに、どうして僕が自殺しようとしたことになっているの? そもそも恋人になると言わなければ二人で死のうと脅されて僕は恋人になると答えるしかなかった。そんなの無効だよ」
「小さなことは気にするな。おまえが私と交際できることになってクラスメート全員が喜んだ。おまえの親友の佐藤亮太なんて、みんなの前で土下座までして別れないように私に頼んだじゃないか」
「クラスメート全員が喜んだって、本人の僕が喜んでない。君の恋人になっても、僕にはなんのメリットもない。僕の評判が下がれば下がるほど、君の評判がうなぎ登り。僕は君の引き立て役じゃない」
「そこまで私と別れたいと言うなら仕方ない。一時間後にまた別れたいと言ってみろ。言えたらきれいさっぱり別れてやるよ」
「え、ほんと? 別れてもいいと言ったのは間違いだって、あとで言われても知らないからね」
「たぶん、別れたいと言ったのは間違いだっておまえの方から言い出すことになると思うぞ」
もっと苦労すると思ったのに、あっさりとメンヘラな彼女から離れることができそうで、一気に僕のテンションは上がった。うきうきした気分のまま自宅に到着した。なぜか彼女は玄関までついてきた。