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「あなた! 夏梅が映山紅さんといっしょに帰ってきた!」
「すぐ行く!」
僕が帰るなり、母が飛んできた。母に呼ばれて父も飛んできた。二人とも仕事を持っているが、自殺騒動の日から二人ともずっと休みを取っている。彼女が僕との交際を承諾してくれたから僕が自殺を思いとどまったという設定になっているから、両親も彼女のことを当然知っているわけだ。それにしても――
「僕が帰ってきたくらいで、この驚きようはどういうこと?」
「驚いたんじゃない。うれしいんだ。映山紅さんが約束を守ってくれたことに」
「約束?」
「夏梅が病院に担ぎ込まれたあと、映山紅さんと話をしたんだ。夏梅が家の中で変な気を起こしてもおれたちがいるからなんとかなるが、校内や通学中までおれたちは監視できない。退院後が心配だと話したら、映山紅さんが校内ではなるべく夏梅といっしょにいるし、帰りも家まで送り届けると言ってくれたんだ。君は好きで夏梅との交際を承諾したわけじゃないんだろう。そんなことまでお願いできないよと断ったんだが、これから夏梅のことを好きになりたいからそうさせてほしいと逆にお願いされてしまった」