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黈side
放課後、吸い込まれるようにあの花園へ行くと案の定誰かがいた。
瑞「やっぱこの花かわい~!(笑顔)」
翠「もう夏かぁ…」
ブルースターかと思われる花の前でちょこんと座っている瑞ちゃんの横に暑そうに太陽を見て目を細める翠っちー。
瑞「まだ4月やけどな?(笑)」
翠「そうだねぇ…、って黈ちゃん!」
黈「うぇ!ばれた!?(笑)」
二人の会話が楽しそうで息を潜めてこっそり見ていたつもりだったのが思ったよりも早くバレた。
瑞「あれ、百くんもいるじゃん」
黈「え、百〃?…ってわぁ!?!?(驚)」
瑞ちゃんの言葉で後ろを振り返るとぴったりくっつくようにして百〃が立っている。
翠「一緒に来た訳じゃないんだ(笑)」
百「もう~、瑞言わないでよ~(笑)」
瑞「その距離で気づいてないとは思わへんやろ!(笑)」
びっくりした?、と笑いながらこちらへ問いかけてくる百〃。
悪戯な笑みが可愛らしいのと同時に憎らしい。
黈「心臓止まるかと思った…」
百「大成功じゃん(笑)」
そういいながら左手でピースを作る百〃。
すると奥から茈にきと赫っちゃんもやってきた。
茈「おつおつ~…って全員いんじゃん」
赫「俺らが最後か」
特に約束した訳でもないのに全員が当たり前のように集まる。
…別に、学校で特段仲の良い6人組、という訳でもない。
瑞「あ、これみてみて!翠っちーが描いたんよ!」
そう言って笑顔で一枚の絵を見せてくる瑞ちゃん。
茈「おぉ…すげぇ」
百「だからブルースター見てたんだ(笑)」
赫「え、夏の花じゃねぇの?」
翠「ちょっと先取りして咲いちゃったんだよ」
いつも通り、いや日に日に上手さが増していく翠っちーの絵に全員が虜になる。
美しくて、優しげで、すべてを包み込んでくれるような。
瑞「翠っちー最近急激に上手くなったよな~」
百「たしかに」
瑞「あ、前が下手とかじゃなくて!…なんか、まあ…そういう感じ!(笑)」
翠「褒め言葉として受け取っとく(笑)」
たしかに、ここ最近の翠っちーの絵は今までの絵と雰囲気が違う。
誰かのために描いたような、そんな暖かさがある。
百「…あれ、何このゴミ…」
みんながまだ絵を見ている時、百〃が小さく呟きながらしゃがんだ。
赫「…ぁ」
翠「…」
茈「ふっ(笑)」
百〃が拾い上げたのはお弁当に入っている緑色の草みたいなもの。
バランと言っただろうか。
翠「…誰が食べたの」
まあ先程の反応で大体は示しが着く。
百「赫!!」
赫「いやたまたま落ちただけで!」
翠「茈ちゃんもでしょ!!」
茈「さーせんさーせん(笑)」
その様子を見て、瑞ちゃんと目を合わせて笑った。
花園には四季に合わせていろいろな花が咲き誇る。
それは翠っちーと百〃の深い愛情から成される美しさがあるからだと思う。
赫「あ、こないだ球根持ってきたチューリップ咲いてんじゃん」
瑞「この紫のチューリップ赫くんのだったんだ!」
百「いい感じに馴染んでて綺麗じゃん」
だけど、他の子たちもこの場所には特別な感情を抱いている。
そのため今みたいな感じで花が増えていくことが多い。
茈「へぇ…ま、俺には花なんて分からんけど」
百「チューリップぐらい分かるだろ(笑)」
ここにいる全員が花を愛してやまないのか、と問われればそういう訳では無い。
単にこの場所が好きで、この場所に花が咲いていただけ。
…でも、花がなければこの場所はこの場所ではないと思うから、きっと花が嫌いな人はいないだろうしみんな好きと答えるだろう。
関心があるかは別の話だけど。
翠「でもそろそろお花替えの季節だね~」
赫「なんか衣替えみたいだな(笑)」
一年中何かしらの花が咲いているこの花園は当たり前だが同じ花が咲いているわけではない。
季節の変わり目には新しい花の種を植えたり、お気に入りの花を持ってきて植え替えたりしている。
瑞「瑞はこの時期のどの花も咲いてなくて若い緑色ばっかの時期も好きだけどな~」
茈「成長していくのがおもろいのは分かる」
翠くんとおれと瑞ちゃんで昔作ったベンチに腰掛けていた茈にきが立ち上がった。
茈「俺友達待たせてるからそろそろ行くわ」
赫「…!」
百「おけおけ~ 」
瑞「気をつけてね~」
翠「もうお弁当なんて食べちゃだめだよ!」
黈「またね!」
おれたちの言葉におうよ、と軽く返事をして茈くんは花園をすたすたと去っていった。
瑞「今なら追いかければ間に合うかもよ~?(笑)」
赫「な、うるせぇよ(照)」
茈にきは気づいていないのかもしれないが、赫っちゃんは茈にきの事が大好き。
それは5人の中じゃ周知の事実だった。
百「初心だな~(笑)」
翠「ふふ(笑)」
分かりやすく茈くんに懐いているので本人にバレていてもおかしくは無いだろう。
瑞「赫くん顔良いからすぐ釣れそうだけどな~?」
赫「茈はそういうんじゃねぇんだよ」
顔を真っ赤にした赫っちゃんが呟いた。
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チューリップ(紫)
・不滅の愛