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#都市伝説
金子
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金子
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真夜中、窓から差し込む月明かりだけが部屋を照らしていた。私は布団の中で寝返りを打ち、ふと部屋の隅にある棚を見た。
そこには幼い頃から大切にしてきた茶色の熊のぬいぐるみが座っている。いつも通りの穏やかな表情……のはずだった。
次の瞬間、私は息を呑んだ。ぬいぐるみの目が動いている。ゆっくりと、確実に私を見つめている。
「気のせいだ……」
そう自分に言い聞かせながらも、胸の鼓動は早くなっていく。気のせいだったかもしれない。
安心したのも束の間、ぬいぐるみが微かに揺れ始めた。
「えっ?」
思わず声が出た時、それは突然動き出した。まるで生命を持ったかのように素早く立ち上がり、二足歩行で歩いてくる。柔らかいはずの手足が硬く鋭くなり、鋭い爪が生えている。
「来ないで!」
私は必死に叫んだが、その声は虚しく響くだけだった。熊のぬいぐるみはどんどん近づいてくる。口元が耳まで裂け、不気味な笑みを浮かべているように見えた。
ベッドの端まで追い詰められ、もう逃げ場がない。恐怖で体がすくみ上がり、叫ぶこともできない。そして目の前まで来たぬいぐるみが両腕を振り上げ……そこで私は目覚めた。
全身に冷たい汗をかき、呼吸が荒くなっている。周りを見回すと、いつもの見慣れた部屋。茶色の熊のぬいぐるみは穏やかな表情で棚に座っていた。
ほっと一息つくと同時に疑問がよぎった。これはただの悪夢なのか。それとも……。
翌晩、同じ時間に同じ恐怖が再び訪れることになるとは、まだ知る由もなかった。
翌日の夜も、私の心は落ち着かなかった。あの悪夢が頭から離れず、部屋の隅に置かれた熊のぬいぐるみに目を向けるたびに体が震える。
「ただの夢よ……」
そう自分に言い聞かせてみても、不安は消えない。結局眠れないまま、夜が更けていった。
午前1時30分。またあの時間帯だ。
急に部屋の空気が重くなったように感じた。恐る恐る視線を向けると……やはり動き始めていた。今度は最初から素早い動きで近づいてくる。ベッドから逃げ出そうとしたけれど、恐怖で体が思うように動かない。
「お願い……もう来ないで!」
私の願いもむなしく、熊のぬいぐるみは無慈悲にも迫ってくる。口を開けた時に見える鋭い歯が異様に長くなっていた。まるで獲物を見つけた肉食獣のような獰猛さだ。
ベッドの上に乗り上がってきたぬいぐるみの影が私の顔にかかる。もう逃げられない……!
その瞬間、「ガシャン!」という大きな音が響いた。驚いて音の方を見ると、部屋のドアが勢いよく開く。
そこに入ってきたのは、母親だった。彼女はパジャマ姿で目を丸くして立っている。
「どうしたの?大きな声出して」
「お母さん……!」
安堵で泣きそうになりながら説明しようとする私を遮って、母は静かに言った。
「あなたは、もう一人じゃないわね」
「え?」
隣にはあの熊のぬいぐるみがいた。しかし今回は違う。母と同じ方向を向いて座り込んでいる。しかも母もそれに気づいていないようだった。
混乱する私を余所に母親は言葉を続ける。
「実はね……昔この部屋で事故があって……この子……この子は助けられなかったのよ……だから……この子は……あなたのそばにいるために……ぬいぐるみになったの」
母の瞳には涙が浮かんでいた。何故今まで教えてくれなかったのか分からないまま、話だけ進んでいく。
「この子が怖かったんだよね?でも本当は優しい子なの……襲われる前は、ずっと一緒だったでしょう?」
その言葉を聞いた途端、すべて繋がったような感覚と共に理解できた事があった。この夢こそが現実なんだということ……。
翌朝目覚めた時には何も覚えていなかった。何か大切なことを忘れてしまったかのような喪失感だけ残されていたため、再び不気味さを感じるようになっていた。
コメント
3件
みぅ🤍🥀です。 第1話、読みました…!夜中に動き出すぬいぐるみ、ってだけでも怖いのに、母親の「あなたはもう一人じゃないよ」からの衝撃展開…!! まさかあの熊が守りたい存在だったなんて切なくなりました。夢か現実かも分からない余韻がゾクゾクして好きです。続きが気になります🌙