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__過去
紗雪:ん?あの人…顔色が悪い…。あの、大丈夫ですか?
患者:え…はい。何時もの発作ですよ…うッ…
その人はラウンジであった患者さんだった。
発作が起きて苦しそうにしていたから、看護婦さんを呼ぼうとした。
何処の病棟か分からなかったから、心を読み取ろうとして、間違って異能探査を使ってしまった。
紗雪:間違え…え?
異能を発動して、私の目に映ったものは、患者さんの心象じゃなかった。
目の前には、薄紫の字で残り5秒、と書かれていた。
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4
紗雪:5秒…?何、これ。
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1
紗雪:取り合えず、看護婦さん呼ばなきゃ____
”0”
患者:う”ぁ”ッ!
紗雪:えッ!一寸、大丈夫ですか!?
患者:…人…殺し…___________。
紗雪:…死んだ。如何いう事?いきなり死ぬなんて。
私はその疑問が消えず、入院中ずっと考えていた。
あの人は、発作が起きていたから何時死んでもおかしくなかった?
いや、あの状態から見て喋れる位だからそこまで酷くないはず。
でも、あの残り5秒の表示は何?
あんなの初めて見た。私の異能?異能探査の効果?
紗雪:そういえ場…あの時、あの人の頭の上に何かついてた。
まるで…そう、地獄にも天国にも、現世にも調和しない生物の顔が。
その表情は、怖いともおどろおどろしいとも形状しがたく、確かな”死”だけを感じ取った。
紗雪:…じゃあ、あの人が死んだのは、私が異能を誤作動させたせい__?
私が、あの人を殺した__?
私は、その時、自分がどれ程人間とかけ離れているか、痛感した。
人を殺す異能者を護衛し、その異能が人を殺すことを何とも思わず、
惨たらしい事故死より、殺害されるほうが救われると人を殺す。
そして、異能の誤作動で人を殺してしまった事を重大な事と捉えられない。
紗雪:…最低。私は_________人間じゃないんだ。
今でもその言葉は、私の体を縛り付けている。