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すちくんみこちゃん思いだね〜(❁´ω`❁)
朝の空気はまだ冷たく、部屋のカーテンは薄い光を通して揺れていた。
その穏やかさとは裏腹に、みことの呼吸は苦しげだった。
胸が上下するたびに弱い空気が漏れ、咳をするたびに身体が大きく震える。
額には熱が籠もり、唇は乾いていた。
意識はあるものの、焦点の合わない目がゆっくりと揺れていた。
水を飲ませても、みことはぼんやりしたまま首を左右に振るだけ。
「飲めねぇか……。これはもう無理だな」
いるまの低い声が部屋に落ちる。
ひまなつが心配そうにみことの頬に触れ、震える声で言う。
「……いるま、行こ。これ以上はみことが辛い」
「決まりだな。すちはまだ寝てるし、今のうちに連れていくぞ」
みことはふたりの会話を聞いているはずなのに、 ただ涙をぽろぽろとこぼすだけだった。
「っ……ごめなざい……ごめ……おれ……」
弱々しい声が震えながら漏れる。
ひまなつが眉を寄せ、そっと涙を拭う。
「謝んなって。ほら、いるまが背負うから」
いるまは迷いなくみことを背中に担ぎ上げ、そのまま玄関へ向かう。
みことの熱がまるごと背中へ流れ込むようで、 いるまは静かに悪態をついた。
「こんなになるまで我慢すんなよ……バカ…」
玄関を抜け、病院へ向かった。
受付を済ませ、処置室へ移されると、すぐに医師が状態を確認した。
「風邪で高熱が続いたんですね。脱水と咳が強いので、点滴して帰りましょう」
ひまなつが安心したように息をつき、いるまは頷く。
みことは点滴を始められるときも、途切れ途切れに謝りながら泣き続けた。
「ごめ……なざい……ひっ……」
腕を取り、固定されるたびに涙がこぼれてしまう。
「みこと、泣くな。治んなくなるだろ」
いるまが不器用に頭を撫でる。
「そうそう……大丈夫だよ……俺らいるから……」
ひまなつも背中を撫で、震えを落ち着かせようと寄り添う。
みことは、 ただ涙だけが溢れて止まらなかった。
すちは布団の中で目を覚ます。
「……みこちゃ?」
眠たげに手を伸ばすが、隣は空っぽ。
次の瞬間、すちは跳ね起きた。
「みこちゃ……? みこちゃどこ……?」
寝癖のついたまま部屋を飛び出し、リビング、キッチン、浴室、押し入れ——
ありとあらゆる場所をぐるぐる走り回って探す。
「みこちゃ!! みこちゃぁ!!」
何度呼んでも返事はない。
玄関に向かって扉の前で立ち尽くすと、
すちは大きな目からぽろぽろと涙を溢れさせ始めた。
「みこちゃ……みこちゃ……っ、どこ……いっちゃったの……」
その声は次第に大きくなり、 最後には喉を震わせて泣き叫ぶほどになった。
こさめがすぐに駆け寄り、抱きしめる。
「すちくん、大丈夫だよ、大丈夫……!」
らんも背中を支えて、低い声で落ち着かせるように囁く。
「すち、落ち着け。みことは病院に連れてってる。 ちゃんと帰ってくるから待とうな」
しかしすちは涙を止められず、 小さな身体を震わせる。
「……みこちゃ……さびしい……っ、みこちゃぁ……!」
こさめは頭を撫で、 らんは静かに背中を擦り続けた。