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過ぎし日の懐かしい風景を思い起こしていたレイブは、パリーグの大きめの声で我を取り戻した。
『ねぇ、レイブっ! アンタアタシの話聞いてるのっ?』
「はっ! なんでしたっけ?」
全く、どうしようもないなぁ~、私観察者がそう思う中、慮外に我慢強かったと見えるパリーグが改めて説明してくれる。
『さっきから言っているじゃないのっ! あの生徒達がアンタやラマスの後を追う者かもしれない、そんな風にズィナミが昔から言っていたってぇ!』
「はぁ、何ですかね? それぇ?」
『はあぁ~、全くアンタって子はぁ~、もう一度話してあげるから今度こそちゃんと聞いて居なさいなっ!』
そう言ってキャス・パリーグは本日四回目の説明を頭からし直してくれたのである、なかなかに親切だな、良い獅子だったらしい。
一通りパリーグの話を聞いたレイブは驚いた表情を隠す事無く大仰に言う。
「ほおぉ~、んじゃあの子達が俺たちスリーマンセルと同じ、ってか近い存在だと、そう言うんですか? ズィナミがぁ?」
『ええ、さっきから言っているじゃ無いの! 少なくとも学院長の目にはそう映ったみたいだわよ? アンタだって判ってんでしょレイブ? 学院長の目よ、目っ!』
「ああーあの目ですよね~」
身体強化の多重掛けだ。
肉体の強靱さ、素早さ、耐久力、我慢強さを強化するのは想像に易い事だろう。
だが、うっかり忘れがちだが体全体を強化してしまうこのスキルが与える効果はそれだけではない。
あらゆる機能が強化されてしまうのである。
嗅覚、味覚、触覚もその例外では無いのだ。
身体強化を多重に掛けているズィナミの横に重篤な歯槽膿漏の罹患(りかん)者が居たとしたら…… その凶悪な腐臭によって彼女が死んでしまうほど鋭敏になってしまっているのである。
無論、足の裏など触られ様ものならば、即座に笑い死にする事であろう、恐ろしい諸刃のスキルなのである。
もうお分かりだろうが、そんな状態のズィナミ・ヴァーズには普通の人間には見えない物が色々見えてしまっている。
ホーンテッドなヤツだとか、キャスパー的なヤツとかも見えるようだよ、恐いよね。
んまあ、今パリーグとレイブが言っていたあれとか言うヤツはそう言った類のヤツじゃなくて魔力の色、判りやすく言えばオーラ的な物の事である。
「えっと、確か俺達って紫だったでしたっけ? あの目で見るとぉ」
『そうね、レイブとギレスラ、それにペトラは紫ね、それにバストロは青、学院長自身は赤いらしいわね』
「は、はぁ…… んで何だって言うんです? あの子達が俺たちスリーマンセルと同じって、紫のオーラでも見えた、とかって言うんですぅ?」
訝(いぶか)しそうに聞くレイブの表情から察するに、かつて師事していたバストロと同様に、学院長ズィナミ・ヴァーズの言葉に少なくない疑いを抱いている事が窺い知れる、どちらも脳筋であることは間違いないしな、止むを得ない事態と言えるだろう。
ズィナミやバストロ、ついでにレイブよりは少しだけ賢いキャス・パリーグは首を左右に小刻みに振りながら答える。
『いいえ紫じゃなくてね、ラマスはピンク掛かった朱色、ジョディは白、サンドラはアンタ達よりかなり薄めの紫、それにランディは鮮やかな緑色らしいわ…… 残りの二人、ライアは光沢のある銀色、シンディは薄めの茶色、これは栗色と言った方が判り易いかしら? 学院長曰くそう見えるらしいわよ』
「へぇ、彩り豊か、ですねぇ……」