テラーノベル
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テスト終わった!
部活辞めたい!
というわけで書いていきます
⚠️泣くよ?読む場所注意
――乱歩より
それは、引き出しの底から見つかった。
誰も触れなかった、埃をかぶった古い便箋。
折りたたまれて、
開いたら二度と元に戻せないような手紙。
差出人の名前はなかったけれど、
見なくてもわかってた。
――ポオ君からだった。
乱歩へ
僕は君に、
一度も「好き」と言えなかった。
君の笑った顔を、泣きながら思い出してしまうから。
でも君といた時間は、
僕にとって、人生じゃなくて、
物語だった。
乱歩は、その一文で涙をこらえるのをやめた。
ページがにじんで読めなくなっても、
言葉は、心に直接届いてくる。
君がそばにいた朝、
君が怒ってくれた昼、
君が眠るのを見ていた夜。
ぜんぶぜんぶ、
僕が生きた証だった。
もう声も出せないけど、
最後にどうしても書いておきたかった。
僕がいなくなっても、
君は笑って、誰かと歩いてほしい。
でも、
君がふとひとりになった時は、
僕を思い出していいよ。
君がページをめくるとき、
僕は、きっとそこにいるから。
最後のわがままだけ、
書かせてください。
君に出会えて、本当によかった。
さようなら、じゃない。
またね。
――ポオ
乱歩は、手紙を胸に抱いたまま、
目を閉じた。
それは、世界でたったひとつの本だった。
声のない言葉、終わらない物語。
その日から。
乱歩は少しだけ、変わった。
言葉を大事にするようになった。
人の嘘を、すこしだけ許せるようになった。
そして誰にも言わずに、
時々、静かな図書館の奥で独り言をつぶやく。
「……ポオ君、今日も読んでるよ。」
ページをめくる音が、
まるであの子の声みたいに優しく響く。
このあと終章、番外編とと続きますが…転生します?
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