テラーノベル
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「……すまない君は、また生徒達と思い出を刻むのか……」
薄暗い地下の、異様な量の本が並べられた部屋でソレは静かに呟く。
(……そういえば……僕が地上に居た頃……)
「……懐かしい……でも……」
ソレは過去の記憶を回想する。本当ならソレ自身が記憶を持つ事は禁止されているが、特別に許されているのだ。
(……人間達は無意味な争いを繰り返す……それに飽きて僕は地下に潜った……)
ソレは本の山から飛び降りた。
「……もう一度くらい、信じてもいいんじゃない……?」
ソレは上の方に顔を向ける。
「……いつぶりかなぁ……でも、すまない君が生きようとしたこの世界……もう一度、見る価値はありそうだね」
そう言い、ソレ____【世界の過去を写す魔導書】と呼ばれた彼は、自分の暮らす大図書館のある−64層から出て地上に向かった。
____ドガンッ!
「……ここ、何処だっけ……」
少年は目を覚まし、辺りを見回す。
「……そもそも……僕は何処から来たんだ?」
少年____後に風夜と名乗る彼はゆっくりと立ち上がった。
____これは【世界の過去を写す魔導書】
呼ばれた魔導書と人間との話である____
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