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レウ視点
少しだけ人の気配と夏の感覚がして、ふっと目が覚める。
周りを見渡せば、寝る前とは違い、学校の屋上に俺はいた。
隣には昨日会ったみどりくんに似た青年。
体を動かそうしたり、話しかけようとするが、どうにもうまく体が動かない。
これは夢なのだ、そう自覚した。
隣の彼が口を開き、ぽつりぽつりと呟くように話す。
?????「俺、ミンナニ嫌ワレテルノカナ。」
みどりくんに似てる。
いや、本人なのかもしれない。
レウ?「そうかなぁ?少なくとも、俺は嫌ってないから、みんなではないよ。」
俺の体から勝手に言葉が発せられた。
?????「ソウ…」
?????「デモ、イジメラレテルシ、モウ…」
なんとなく、その先の言葉が予想できてしまった。
?????「俺、死ノウカナッテ…。」
レウ?「な、なんでそんなこと言うの…?まだ、どうにかなるかもしれないし、それに…」
?????「モウイイヨ。レウサン。」
レウ「…ッ」
?????「俺ガドウシヨウト俺ノ勝手デショ?」
レウ「そりゃあ個人の自由はあるだろうけど、でも命を絶つなんて、そんなこと許されない…」
レウ「せっかく産んでもらったんだよ、生まれたのだって奇跡なんだよ…」
レウ「だから、だからさ」
レウ「そんなこと言わないでよ…(泣)」
いつの間にか喋るのだって、動くのだって、自分の意思でできるようになっていた。
この展開だったら、普通は『そうだよね…ごめんこんなこと言って…』とかでハッピーエンドだろうが、現実はそうはいかない。
?????「デモ、俺ダッテ自分自身ノコト嫌イダシ、」
?????「アンナ親カラ産マレテキタッテ、チットモ嬉シクナイヨ…。」
?????「生キタイナンテ思ワナイ。」
なんで彼は泣いていないのに、俺が泣いているのだろう。
俺は彼の意見が変わるまで、必死に止めようとしだす。
レウ「今は、今は思わなくてもいつか」
?????「ソノ『イツカ』ッテイツナンダヨ」
レウ「…そ、それは…」
?????「もうこれ以上生きたくない。」
急に彼の声が変わった。
彼の意思は、もう変わらない気がした。
?????「もうこれ以上期待したくない。」
?????「期待してほしくない。」
?????「じゃあねレウさん。」
彼はそう言うとフェンスを上りだす。
レウ「待って、待ってよ…(泣)」
?????「なんでお前のために待たなきゃなんだよ!!!!」
怒鳴りつけられ、さらに涙が出てくる。
レウ「…いやっ!い゛やっ!!(泣)」
レウ「や゛め゛で!!行゛かない゛で!!!(泣)」
子供のように泣きじゃくりながら、
叫びながら、
彼に手を伸ばす。
だが、手は空を切り、
彼は地面へ落下してしまった。
レウ「あ゛、あぁ…」
ぐしゃり、と潰れるような音がした。
もう、下を覗き込む勇気なんかなかった。
俺はただ、俺の親友を1人亡くしてしまったことを、救えなかったことを後悔し、
ひたすらに、呼吸できなくなるほど泣き喚いていた。
ハッと目を覚ませば、俺は医務室にいて、夢から覚めたのだと自覚する。
身体中が冷や汗でぐっしょりと濡れていて、顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
隣では、昨日の彼らがこちらを心配そうに見つめていた。
改めてみどりくんを見たが、夢で見た青年そのままだった。
そういえば、みどりくんは元人間の幽霊だったと言っていた。
…辻褄が合ってしまった。
もし、今見た夢が本物で、みどりくんは過去に自殺をして幽霊になり、そしてその自殺は本来止められたのに俺が止められなかったものだったとしたら…。
どうしておけばよかっただろうか、今の彼にどうすればいいのだろうか。
らっだぁ「レウ、息吸える…?大丈夫…?」
コンタミ「ずっとうなされてたし泣いてて心配だったよ…」
きょー「レウ、話聞こうか?」
みどりくん「レウサン、大丈夫ナノ…?」
心配そうに彼らが声をかけてくる。
その優しげな声で、さらに俺は酷く泣いてしまった。
しばらくすれば、俺も少しは呼吸が落ち着いた。
彼らに少し1人にして欲しいと告げ、俺は医務室のベットに、1人ぽつんと座っていた。
俺になかった『記憶のカケラ』が、パズルのピースのように嵌め込まれた気がした。
この出来事は、忘れてはならないと何かに言われていた気がした。
柔らかな日差しが差し込む窓に近づき、開ける。
窓から吹き込む風は、少し爽やかな夏の気配がした。
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