「ねえ、話聞いてくれる?」
N × L
nmmn
愛すっていう子との合作です。
こちらの作品を読んだ後に愛すていう子のほうをお読みください。
照明の落ちたフロアでないくんの笑顔だけが浮かび上がる。
カウンターに座ったりうらはシャンパングラスを握り締めた。
桃 : また来たの ?
ないくんの声がいつもより低い。
りうらはわざと笑ってみせる。
赫 : 来ちゃだめ ?
桃 : ダメじゃないけど毎日は疲れるでしょ . .
軽く肩を竦めたないくんが隣に腰を下ろす。
香水の匂いと煙草の匂いが混じって胸の奥が少しだけ痛んだ。
赫 : ねえないくん聞いて
桃 : 何を ?
赫 : 今日りうらの元カレが結婚するって
笑いながら言ったはずなのに声が震えていた。
ないくんは一瞬だけ視線を逸らしてすぐに戻す。
桃 : . . それで ?
赫 : それでなんかむかついてここに来た
グラスの中の液体をを飲み干して乱暴にテーブルに置いた。
氷が割れる音がやけに大きく響く。
赫 : 誰もりうらのことちゃんと見てくれない
桃 : 俺がちゃんと見てるじゃん
ないくんの声が少しだけ尖る。
りうらはハッとしてないくんの顔を見た。
赫 : ほんとに ?
桃 : ほんと。そうじゃなかったらこんなこと言わないよ。
ないくんの指先がりうらの指に触れる。
その一瞬で心臓が跳ねた。
赫 : 他の女にも言ってるんでしょ。それ。
桃 : 言ってるよ。でもりうらに言ってるのは他の子達とは違うよ。本気。
笑っているのに目だけが笑っていない。
思わず息を呑んだ。
桃 : 次来た時他のやつのテーブルいたら許さないから。
冗談みたいな声言われたけどないくんの目は本気だった。
りうらは少し笑って頷いた。
怖いのになぜか嬉しかった。
その夜店を出た後帰る気になれず街をふらついてた。
ふと見覚えのある後ろ姿が目に入る。
金髪に少しピンクが混じった髪。
細い背中。
ないくんだ 。
ないくんはりうらの存在なんかには気づくことなくりうら以外の客と楽しそうに笑いながら歩いている。
ないくんと女はビルの角を曲がってラブホの前で立ち止まる。
りうらの足は勝手に止まった。
声をかけてないくんを止めようと思ったけど声が出ない。
ないくんはそのまま女の腰に手を回してドアの向こうに消えていった。
甘い言葉が耳の奥でまだ響いてる。
「お前だけ」
「特別」
全部嘘だったの ?
もう全てが嫌になって頭の中がぐるぐるして何もわからない。
涙と一緒に喉の奥から変な笑いが漏れる。
「 ねえないくん、 」
誰もいない夜の路地で呟いた。
「 明日もまたりうらの話聞いてくれる ? 」
答えの代わりに冷たい夜風だけが頬を撫でた。
次の日もりうらは店にいって何もなかったかのように昨日と同じ席に座った。
コメント
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言語化できないくらい好き結婚したい🙀🫶‼️ 現実を知って辛くなっちゃうのよきすぎるんです㌔😾💢