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どうも!
ノベルを書きます!まぁ、誤字ってたりしてるし、飽きたらすぐやめるんですけど、それでも見て行ってくれたら嬉しいです!
あと、玲潔です!
潔は星が好きで、病気を持っているヒロイン
玲王は趣味がカメラで、落ち着いた性格、陰キャだったけど、潔と関わるにつれて段々色んな感情が出てきて…?
みたいな感じです!
それではどうぞ!
俺は、あの雨の降る七夕の日、織姫に出会った
『ベガ』
あるポートレート専門のフォトコンテストの雑誌を眺めていると、特別掲載という枠組みの中に一枚の異様な写真を見つけた。
ほかに掲載されている、巧みな技術で撮られた美しいポートレートとは全く異なるそれは、夏の夜空に輝く一等星を題とした写真であった。
けれど、そのどこにも星が写っていることはなく、部屋の中で夕陽を背景に一人の少年がこちらを向いているという写真だった。
ほかの作品たちと比べるとあまりにも稚拙な写真だった。
被写体である少年のピントはずれていて、夕陽の光は少し飛んでいる。
技術をどうこう語るまでもないものだと言ってもいい。
普通であればコンテストの雑誌に載ることはないだろう。
しかし、気が付くと俺はその写真に魅入っていた。
写真の中の少年は流れる涙を気にも留めずに一生懸命に笑っていた。
まるで、自身の幸せをかみしめるように。
長年、数多の写真を吟味してきた俺でも、こんなにも写真という媒体の本質を捉えた作品を見たことはない。
撮影者はきっと、この表情を逃がさないように慌てて撮ったのだろう。
でないと、こんなにもピントがずれることはないはずだ。
撮影とは本来、落ち着いた環境下で集中して行うものであるはずなのに。
だからこそこの写真は、被写体が”もっとも輝いている瞬間を抜き出す”という一点においてどの作品よりも傑出していた。
そんな瞬間を抜き取れるほどに少年を見続けてきたであろう撮影者と、おおよそこの年齢の子供には浮かべられないような含蓄のある笑顔の少年。
この写真にはきっと、何か大きな意味がある。
撮影の場ではどんな会話が交わされたのだろう。
この写真を撮るまでにどんな過程を経たのだろう。
俺はそれが気になって仕方なかった。
その思いをどうしても捨てきれず、俺は、雑誌の編集部を通して撮影者との接触を試みた。
___撮影者は十七歳の男子高校生だそうだ
驚いた。
高校生にこの様な写真が撮れるというのか。
俺が高校生の頃なんて、綺麗さにしかこだわらない表面上の写真しか取れなかったというのに。
俺は自身が写真家としての立場を用いて、撮影者である彼から話を聞くことに成功した。
彼は俺からの電話に快く応じてくれた。
彼は俺に写真の少年との約二か月間の出来事を本当に楽しそうに話してくれた。
そして、彼は最後にひとつ言い切った
「俺はもう、カメラを手にすることはありません」
と。
「星の光ってね、ずっとずーっと昔の光なんだって。
そんな光が俺には感情を浮かべているように見えるの。ほら見てっ、一等星が笑ったよ」
学校の屋上
校内では数少ない立ち入り禁止エリアにわざわざ俺を呼び出したクラスメイトの潔世一は、扉を開けると開口一番にそう言った
俺には一瞥もくれず、その視線は迷いなく空へとむけられている。
彼に倣って俺も顔を上げるが、そこにはオレンジ色と群青色が広がる暮れ始めの空しかなかった
「俺には笑顔のオットセイなんて見えないようだ」
俺が言うと、彼は呆れたようにため息をついて、視線はそのまま俺の言葉を否定した
「オットセイじゃないよ一等星。
もしかしたらオットセイの星座もあるかもしれないけど、俺が言ってるのは星のこと」
「星が笑ったのか?」
「うん、そう。
今のはかなりの大爆笑だったね。昨日やってた笑いの神様を見ていたに違いない。
流石の俺も笑いすぎてお腹よじれたもん」
俺は昨日放送していたお笑い番組を思い出す。
彼と同じ番組を見ていたことがなぜだか面白くなくて、ぶっきらぼうに話を逸らした
「それで、俺はどうしてこんなところに呼び出されてるんだ?屋上って立ち入り禁止だろ」
「ふっふっふ。それが俺に限ってはそうでもないんだなぁ」
彼は自信満々の笑みを湛えて、指をくるくる振り回した
彼が指を動かすたびに、景色の中で何かが光る
「それは、鍵か?」
「俺は天文部だから、雄一屋上に出ることが許されてるんだ
いいでしょ。こうして星を眺めることが部活動ってこと」
「そうか。なら活動の邪魔をしたな。俺はこれで失礼する」
俺がくるりと背を向けると、彼が慌てたような声を出した
「ちょちょちょ、待ってって!君は俺に話があるんでしょうが!」
不思議な言い草だ。自分から呼び出したくせに俺から話があるだなんて。
「君が俺に用事があるんじゃなくて?あんなにもしつこく呼び出しておいて」
「まぁ、それもそうなんだけど!」
俺の言葉を肯定しておきながら、彼は口角の端を上げて言葉を続ける
「でもここで帰ったら君の立場が危うくなるんじゃない?
俺は口が軽いからなー、”この間のこと”を言いふらしちゃうかも。
君は俺に弁明することがあるよね?」
「はぁ……、わかった。
俺は限りなく冤罪だと思うが、君の話を聞かないことはない。それで?」
もったいをつけた言い方をしているけれど、彼の言いたいことはわかっていた。
俺は趣味としてカメラを持ち歩いているのだけど、以前彼の姿を無断で撮影してしまいそうになったことがある。
きっとそのことを言っているんだろう
確かに学校中に俺が盗撮魔だと吹聴されては、居づらくなってしまう。
弁明は必要だ。
「君は俺のことを盗撮しました。
乙女の哀愁漂う姿を無断で撮影するなんて大罪もいいところ。
なので、その罪をなかったことにしてあげる代わりに、君は俺の言うことを一つだけ聞く義務があります。」
裁判官よろしく、彼は大袈裟な物言いで俺への冤罪を糾弾した
「なるほど、俺も謂れのない不愉快な謗りを払拭できるのであれば、その取引はやぶさかではない」
仕方なく俺も彼のノリに合わせてやる
今彼の機嫌を損ねたら、本当に俺が盗撮魔だという悪意に満ちた嘘が蔓延しかねない。
それが成長しきる前に、芽は摘んでおくべきだ。
「あれ、そんなに素直に承知してくれるんだ?」
きょとん、という疑熊語が似合いそうな表情をしている彼は、意外だと声を上げた。
「君が変な噂を立てないと約束してくれるのなら、一度くらい言うことを聞いてやってもいいってことだ
その内容にもよるがな」
「そかそか。嫌がりそうだなと思ってたから、ちょっとびっくりしちゃったよ」
彼の言葉に胸中で嘆息をつきながら話の続きを促す。
「それで、俺は君に何すればいい。俺は俺のために何をすればいい」
「いちいち嫌味な言い方するね君。
それだから友達ができないんだよ」
「それこそ嫌味な言い方だ」
「あ、ほんとだ。ごめんごめん」
笑いながらそういう彼には、全然悪びれる様子がない。
「それで?俺は早く部活にいきたいんだ。手短に済ませてくれるとありがたい」
「そっか、部活があるのか。写真部だっけ?」
「そうだけど、そんなことはいい、早く用件を」
明らかに会話を引き延ばそうとしている態度に苛立ちを覚え始めていると、彼はそんな俺とは対照的反応を見せた
「えーっとね、いざいうとなると恥ずかしいなぁ……」
えへへ、と俯きながら彼は照れくさそうに笑う
「恥ずかしい?」
普段教室で騒いでばっかりいる彼の態度とは思えない。
いったい彼は俺に何をさせるつもりなのだろう。
全く想像できない。
「あのね」
「うん」
「俺を撮って」
「…は?」
「だから、俺の写真を撮ってほしいの
モデルって言うか、そういうのに応募したいなーとか思ってて、だから私のカメラマンになってほしいんだ!」
思いっきりよく言ったあと、再び彼は目を逸らす。
ほんのり紅くなっている頬はきっと夕焼けのせいではない
「そう、か」
「あ、今、モデルなんて似合わないとか思ったでしょ!」
「嗚呼」
俺は思わず頷いていた。
たしかに彼は華がある。
アーモンド形の瞳はくっきり大きく、鼻筋も通っている。
笑うと愛嬌もあって、クラスでも人気者というのが俺の印象だ。
だけど、モデルという華やかな仕事に興味がないと思っていたから、意外だった。
まぁ、彼とはこれまで全く関わりがなかったから、俺の客観的にな意見に過ぎないのだけど。
「失礼なやつー!」
「嘘言っても意味ないだろ」
「まぁいいや、自分でも似合わないと思ってるし。それで、交渉は成立?」
「そうだな。
俺の拙い写真でよければ。ポートレートはほとんどとったことがないが、俺からしたらいい練習の機会だしな」
モデルの素材は悪くない。
これはポートレートを苦手としている俺にとっては願ってもいない話だ
こんな機会はなかなかないことだと、自分に言い聞かせた。
「よかったぁ。断られたらどうしようかと思ってたよ。
うん、よかったよかった」
俺の返答に満足したのか、彼は嬉しそうに何度も頷いている
そのたびにショートヘアーの艶やかな黒髪が揺れていた。
「それじゃあよろしくね。
お互い君って呼び合ってるのも変だし、自己紹介しよっか」
「いい、。
俺は君の名前を知っている。君みたいな人気者は、クラスメイトの名前を把握してるんだろ」
「名前を知ってるなら君呼びはやめてほしいんだけどなぁ。でもうん、俺も知ってるよ。御影玲王、でしょ。
それにしても意外。俺のことなんか認知してないと思ってた。というか、玲王はクラスメイトに興味がなさそうだよな」
「失礼な言い方だが、その考えは間違ってないな。
ただ、俺はクラス内でも、関わりたくないなっていう騒がしい人の名前は、把握するようにしてる。」
皮肉を込めてそういってやると、彼は愉快そうに笑った
「あはははっ。そりゃ俺は認知されてるわけだ。でも残念ながら関わっちゃったね」
「本当に残念ながらだな。
だから、俺の前では極力静かにしてくれ」
「それは聞けない相談だなぁ。あはははっ」
彼はとても楽しそうに、大袈裟に笑っていた
騒がしい人とはできれば関わりたくない。
いったい何に対していつも笑っているのか、俺には理解できないからだ。
彼だってそうだ。なにがそんなにおもしろいのか、全く分からない。
けれど、彼の笑い方を見てると、なぜか俺も釣られて笑いそうになる
もしも彼のように笑えたら、俺の毎日はもう少し楽しくなるのかもしれない
そんなことを、なんとなく思った
「じゃあ、これからよろしくね、御影玲王くん」
「こちらこそ、潔せいちさん」
「こら!それは誤認だよ!
俺の名前は潔世一。把握しきれてないじゃん!」
意図的に名前を間違えられても、笑顔のまま文句を垂らす。
彼は自分の名前を間違われることさえも、楽しく考えられてしまうような人なのかもしれない。
「それはそれは。大変失礼いたしました」
俺がわざとらしく頭を下げると、彼は再び大袈裟に笑った
携帯電話で時間を確認すると、すでに部活動が始まって半分が経過していた
大遅刻だ。
「俺はもう行く」
「付き合ってくれてありがとー
部活頑張ってね」
「それじゃ」
彼が手を振っているのは背を向けてもわかったけれど、俺は躊躇いもなく屋上のドアへと向かっていく。
しかし、そのドアを開けたとき、タイミングを見計らったかのように彼が口を開いた。
それは、俺に声をかけるというよりも、一方的に言い放つようだった
「次の日曜日の午後一時、学校最寄りの駅前に集合ね」
こちらのスケジュールを遠慮しない物言いに文句ひとつも言いたくなったけれど、俺は聞こえないふりをしてドアを閉めた
彼だって端から俺の同意なんて求めていないだろう。
そういう勝手な人なんだと、俺の中で彼への認識が強まっていた。
廊下の窓越しに映る空は、先ほどと比べるとオレンジより群青の割合が増していて、うっすらと星が光って見えている。
そういえば、星が笑ったと彼は言っていた。
星の輝きに対しての比喩なのだろうけど、それは感情の起伏が激しそうな彼には似つかわしい喩えだと思った。
星の観測者である彼女もまた、望遠鏡を覗き、天体を映し出す、いわばカメラマンだ。
シャッターこそ切らないものの星の表情を読み取る彼は、俺がファインダー越しに見ている景色よりもずっと豊かなものを捉えているのかもしれない。
そう思ってみると、ならモデル側になった彼はどんな表情をのぞかせるのか、そんな興味がわいた。
……日曜日の約束を、聞いたことにしてもいいかという気持ちが少しだけ芽生えた。
俺らは、カメラマンとモデルの関係なのだから。
どうでしたか?
結構頑張った方ではあるんですけど…
できればでいいんですけど、♡沢山欲しいです!!
そして!好評でしたら、続きを書こうと思います!
それでは!