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-ねえ、「御霊の子」って知ってる?その子供を見ると自分の命と引き換えに願い事が叶うんだって-
普通の街、普通の暮らし、普通の人間。そんな平凡な生活。
僕の名前は吉田アキト。新米の写真家。高校を卒業した後ただの公務員になるつもりだったけど何となく手をつけたカメラにハマって写真家になった。でも僕が思った写真家とは大違い。
撮るものは指定されるし、自分が撮りたいものを選ばせてはくれない。まぁ撮るものなんて無いからいいんだけど。
「吉田くんちょっと」彼は僕の先輩、加藤。数々の賞を取ってる写真界じゃそこそこ有名だ。
「君もうそろそろここ慣れてきたんじゃない?」
「はあ、まあまあですかね…」
「じゃあさ新しい仕事、やってみる?」
「新しい仕事?」
僕は今まで下っ端として事務所の雑務とか手伝いとかThe新米って感じの仕事が多かった。
時々カメラを持たせてもらえるくらい。
「仕事って、どんな事ですか?」
「これなんだけどさー」
「ここは、神社ですか?」
「そう。こっから車で10分くらいの山の中にある小さい神社なんだけどね、そこが古びてていつ壊れてもおかしくないんだってさ。もう参拝者が来ないなら災害があっても困るし壊しちゃうって自治会は言ってるんだって。でもそこの神社結構有名な噂があってね。」
「怖い系ですか?僕そういうの無理ですよ」
「いやいや全然!御霊の子っていう噂」
「御霊の子?」
「そう、昔からそこの神社には御霊の子って言われてる子供が居るらしい。その子供をみると自分の命と引き換えに願い事を叶えてくれる!っていうね」
「なんですかそのデタラメ。僕はそういう話信じませんよ」
「デタラメに聞こえるでしょ?でもね、これが違うんだって。隣町の若者とかが遊び半分で行ったら御霊の子を見たとか。」
「まったく信じれないよくある話じゃないですか。それでその神社と僕の仕事何が関係するんですか?」
「そこの神社のPRをして欲しいの!」
「PR!?今まで雑用しかして来なかった僕がですか!?」
「しー!相変わらず声でかいんだなぁ
だって雑用にも飽きてきたでしょ?もう1年は経つしそろそろ雑用とか周りには慣れたでしょ」
「そうですけど…」
「ちゃんと上にも許可は貰ってるしさ
この神社の責任者の方もここだけは残しておきたい!って言ってるんだよ。だからお願い!」
「分かりました…やるだけやってみますよ…」
「さすが僕の後輩なだけあるなぁ!じゃあこれ!持ってってね」
「え、熊鈴…?」
「結構な森だから出ると危ないしね。なんかあったら連絡して。じゃよろしくね〜」
なんて先輩だ。会った時から破天荒な性格なのは分かってたけどあまりにも急すぎだろ。しかも上に許可取るの早いし、さすが偉いだけあるんだな…
先輩が言ってたように例の神社は車で10分程行った所にあった。
駐車スペースと書いてあるところに車を停めすぐ傍にある看板に目をやった。
「緑原神社…ここだな」
ここは緑原神社というらしい。100年以上受け継がれているみたいだ。
「げっ、こっから歩いていくのかよ…こんな急なとこ、ほぼ登山じゃん…」
平日の昼間でありもちろん人気は全くない。
春風が気持ちの良い登山日和。なのだろうか。
桜が少し咲いている。
山道を約20分程歩いた先に古びた神社が目に入った。
「ここが緑原神社か?」
僕はもうへとへとだ。インドアの人間が急に山道を登り出すんだ。それはそれは疲れて仕方ない。
「どこか休める場所でも…あ、あそこで休も」
鳥居をくぐった先にボロボロだかベンチがあった。一礼をし、ベンチに恐る恐る座る。
多少嫌な音がしたがまだ耐えられるみたいだ。
「森の中って事もあってかほんとに静かな神社だなぁ…今は明るいからだけど夜はさぞかし不気味だろうな…」
そんな事も考えているうちに先輩から電話が掛かってきた。
「どう?着いた?」
「無事着きましたよ。ほんとに静かですね。あ、森の中なのに電話繋がるんですね。」
「そうみたいだね〜。それより例の子供いた?」
「いませんよ。だから僕そういう事信じないって言ってるじゃないですか。」
「でも吉田くん霊感強いんだよね?他の人よりそういう事感じそうだけどな〜」
そう、僕は昔から霊感は強い。幼い頃は墓参りに行くと火の玉が見えたりとかしてたけどもう今は何も感じない。
「それは昔の話ですよ。それで、ありのままの神社の姿を撮ればいいんですよね?」
「そうそう。そこら辺は吉田くんのセンスに任せるよ。夕方までには帰ってきてね。楽しみにしてるよ〜」
携帯を閉じため息をついた。
「ありのまま、かぁ…」
ザッ、ザッ、ザッ
「…?」
なんの音だろう。なにか後ろから来てるような…
振り返ったらゾンビいるとか!?
ダメダメ映画の見すぎ。きっと気のせ…
「わ、わああああああああ!!!!」