その日は晴天だった。
カーテンから微かに漏れる眩しい日差しがどんよりとした俺の心を暖める。生い茂る鮮緑の色をした木から優しい音がする。
(自然の音だ。)
美しい音色を奏でるその音を聞きながら、俺は重い溜息をついた。今日も穏やかな一日を過ごせると思ったのに。
「あぁ……」
「どうしたの兄さん。」
乾いた声で呟くと、隣には無一郎が。
だって……だってよ……
なんで今日に限って風邪引くんだよ〜!!??
俺は今にも叫び出したい気持ちをぐっと堪えた。
「あ〜そっか。今日僕とデートの日だったもんね〜」
俺の頭を撫でながら目線を、窓から俺へと落としてくる。
(っ、そうだよ…。こんなこと、絶対言えないけどな。)
俺は恥ずかしさも入り交じっているであろう精一杯の睨め顔をした。おっと、?と言い後退りをする無一郎の腕を掴む。
「……まえ、きょ…はいっしょに、いろよな」
恥ずかしくて、本当は言いたくないのに口がどうしても動いてしまう。
「 ──なんて?」
無一郎はきょとんとした顔でごめん、聞こえなかったと言ってきた。そして───
「もう1回言って?」と、満足そうな顔をして詰め込んでくる。何故だ。なぜなんだ。絶対聞こえていたハズなのに。こいつは、俺の反応を見て楽しんでいる。なんて卑怯な奴なんだ。でも、言わないと無一郎が部屋から出ていってしまう……!!!それはなんか寂しい!!!
……、けど。
いやいや、何言ってんだ俺
それは︎︎ ︎︎ ︎︎甘え︎︎ ︎︎と言うやつだろ。俺がそんなこと───
無一郎の方へ目をやると、そこには心配そうに覗き込む顔が。
「兄さん、顔赤いって。ほら。耳まで」
ふわりとした声が俺を包み込む。
手が───。
っ、//
ビクリと肩が跳ねる。
「っあ、」
手を塞いだがもう遅かった。
やっっっべ。
思わず、反応してしまった。
「──兄さん」
低く、透き通るような声が耳元で囁かれる。
ッッっ〜〜〜〜//!?
なん、だ、これ、脳が溶けてくみたいだ───
今まではこんな、ここまでじゃ、
「ッッんん゛!?」
いきなり抱き寄せられたかと思えばお互いの唇が重なる。
「ん、むいちろ、」
色々と理解が追いつかないがこの行為が気持ちよすぎて何も考えられない。
「舌……入れるよ?」
ゾクゾクとするその声。その目。これ以上の物。全てが欲しい。俺は快楽を優先した。こくっと頷くと︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎それ︎︎︎︎ ”は俺の口内に容赦無く入って来る。
「ん、ん”ッ」
苦しい……。
思うように息も吸えないし……。
でも───
もっと欲しい。
そう思ったら辞められなくなって。求めてしまう自分がいるのが途轍も無く恥ずかしいのに欲望に覆われた身体は言うことを聞いてくれない。完全に理性を喪ってしまっている。流石にまずいと思った俺は無一郎を突き飛ばした。
「っと……どうしたの?あんなに気持ちよさそうにしてたのに。」
(───馬鹿か。いきなりああいうことされたんだから途中で恥ずかしくなるだろ。ましてや素直な性格じゃないこの俺だぞ。)
頭の中は色々とぐるぐるしているが、まぁいい。
「……疲れた。」
とだけ言い、俺は布団の中に潜り込む。
「へ〜、初めてだったから緊張しちゃったんだ。」
「っ馬鹿なこと言うな!!!」
いやそうだよ!!!当たり前だろ。ましてやあのタイミングでかよ……。そりゃ驚きもするし。
「じゃあ今度は心の準備が出来てからにしよっか!」
笑顔でそう言ってくるが、その裏に秘めている邪悪な心がある事を俺は知っている。
「まー、タイミングだな。」
「えぇ?そんなこと言ったら、兄さんいつまでもしてくれないじゃーーん。」
ねぇーぇーにいさーんと肩を揺らしてくる無一郎を見て俺は思った。
あぁ、小悪魔だ──────。
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見て下さりありがとうございましたm(_ _)m
これから下はただのおまけみたいなものです。
読みたい方だけ是非どうぞ。
《追記》
俺は時透有一郎。
さっきしてしまったことを思い出している。
あぁ……やっぱり流石に恥ずかしかったな。
無一郎は───
「ねぇ兄さん!さっきの続きしよー?」とまぁこんな感じで騒がしい。
「っってか兄さん!風邪引いてたんじゃん!」
「そーだよ。」
「どーしよ、僕にも風邪移ったかも。」
「なっ、 」
ゴホゴホと大袈裟に咳をし始めた無一郎。
(絶対嘘だろ……。)
面倒な奴だな。とつくづく思う。
「早く寝ろ」
そう言い俺はまた、眠りについたのだが……
本当に風邪が移っていたっていうのはまた別のお話_______________。
コメント
2件
最初のやり取りなんかpixivにもあった気がするwww
主さん小説作るの上手すぎです!!私も主さんみたいな発想力が欲しい(´-`).。oO