テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
──────いえもん視点──────
れいまりさんがどこかに行ったあと、俺はラテさんの案内に従ってそのまま教会へと足を踏みいれる。透明感があるその真っ白なガラスで作られた壁。それに触れてしまったら、吸い込まれてしまいそう、と思うほどに透き通っている。現実味のないその幻想感に、内心ワクワクとさせながら祈りの場へと向かう。ラテさんは途中でガンマスの様子を見てくる、と言って引き返してしまった。
おそらく、この間に入れるのは1人だけなのだろう。ただ、それだと少し変にも感じる。そうだから、変な心配をさせないようするためにでっち上げた嘘であると察せられた。
…ただ、実際に少し嫌な予感がして剣に、手をかけ、その大きな扉に触れる。
触れた瞬間、それは扉の中心から白い光を放ち、そのままゆっくりと開く。
辺りを見渡す。まず、目を引くのがその大きなステンドグラスだ。この教会の天井の高さと同レベルの大きさで、壁一面をおおうほどの大きさ。黄、青、赤、紫、───色とりどりのガラスがちりばめられ、ひとつの絵画を作り出していた。その色とりどりのガラスによってカラフルな道が作られている。俺はその上を歩きながら、この空間の中心で祈りを捧げるシスターらしき人に目を向ける。シスター服、といえば黒を思い浮かべるものだが、この人が来ている服は紺色で少し不思議だな、と思う。
「こんにちは。新しくこの街に来たものです。」
ひとまず、挨拶をする。俺が声をかければシスターは祈りを中断し、ゆらりと振り返る。
伏し目がちな目が、俺を視認するためか見開かれる。その両目には黄金色の光を宿していた。俺と同じ、金色の瞳を両目持っている人だった。きらりと光るその瞳に、どことなく親近感が湧き、俺は1歩前へと進む。
シスターは瞳と同じ色の髪をふわりと広げ、話し始める。
「『どうして、人は争ってしまうのでしょうか。』」
どこか、物語のような言葉。まるでどこからか音楽が流れてきたかのように、シスターは優雅に舞い始める。俺は躊躇わずに進めた足を引き戻す。異質な雰囲気を纏うそのシスターはステップをふみながら、またもや話し始める。
「『争いはなぜ、起きるのでしょうか?富、力、地位…そんなものがなくたって平和に生きていけると言うのに。』」
続けざまに踊りながらも言い続ける。足音がなにかの音をなぞるかのように鳴り響き、なにかの呪文のようにも感じられる、不気味な旋律で話す。その姿に一種の戸惑いを感じた。俺はもう一歩、足を引く。今度は1度離した剣に、手を添えながら。
「『けれど、それらに差がついてしまうと人は抗えずに争ってしまう。それこそが我々人間の性であり、逃れられない運命───だった。』」
「…何が言いたいんですか?」
俺が、そう一言、困惑混じりで発する。その人は俺のことをちらりと横目で流し見てから、すぐさま演劇のように先程の不気味な足取りを再開する。まるで、地面をなぞるかのように踊られるそれは、どこかの社交ダンスなのかもしれない。それほどまでにその舞は優雅だった。
「『そう、全てはあなたのおかげ。貴方様がいれば人々は手と手を取り合うでしょう。そのために、私はあなたに全てを捧げます。』」
その人がそういいながらくるくると回転し、最後の仕上げ、と言わんばかりに手と手を重ね、まるで神に祈るかのようにその場に膝まづく。
「『我が名、メテヲの名に誓って。貴方様を邪魔するものを葬ってみせましょう。』それが、メテヲと魔王様が交わした契約。だから、勇者君はここで死んでもらう。」
「…は?」
1連を聞いていたつもりだが、どこか聴き逃してしまったのだろうか?言っている意味が理解できない。困惑に近い呆れが、俺の溜息に混ざる。が、すぐさま俺は剣を引き抜き、そのメテヲとやらの首元に剣の切っ先を当てる。
そう、最後の意味だけはわかる。これは、決闘の開始なのだ。
「迷いなき太刀筋。そういうのは好きだよ。勇者じゃなければ、ね?」
そう言って、メテヲの下から黄金色の魔法陣が現れる。───先程から足でステップを踏んでいた場所に。あの妙な動きは魔法陣を描くためだったのか、と納得していたが、瞬間、その教会は大爆発をまき起こす。俺はメテヲの首に当てていた剣を自分の元に素早く戻し、その剣を中心に防御結界を何重にも貼り続ける。青白い光が瞬時に俺を包み込む。しかし───パリンパリンパリンッッと立て続けにそれが何枚も割られていく。その破砕音よりも大きく、美しく散りゆくステンドグラスが目に入る。爆発を鮮やかに飾り付けながら、日の光を浴び、周囲を照らし続けている。そして、そのステンドグラスもまたもや爆発する。細かに破壊された欠片は全てが同時に爆発しているようで、捌ききれずに、何発かをもろに受けてしまう。
ガラスにまじり、俺の血肉も爆発によって飛び散る。脇腹から太ももまでの間に大きな風穴が空く。だが、すぐさま再生の魔法を使い、自身の身体を再生させながら、地面に足をつける。
爆発の砂埃から現れたメテヲは口元を手で覆い、驚きをあらわにする。
「へぇ、耐えられるんだ、これ。凄いねー!正直これで終わりだと思ってたよ。」
「…負けを認める、ってことですか?」
「ははっ。そんなわけないでしょ。ここからが本番ってやつ?」
俺が少し煽ってやれば、すぐさまその煽りに乗っかってくる。その口をニヤリと歪ませながら、メテヲは拳を構えた。俺は、それに対して剣。リーチ的には俺の方が有利だ。この有利をどう上手く使うかは俺の手腕次第と、いったものだろう。俺は剣を構え直し、深呼吸をする。相手の隙を突く。それだけを考えて思いっきり地を蹴り飛ばし、間合いを詰める。
相手は俺がリーチを利用して接近しない、そう考えるはずだ。ならば、俺はあえてその裏をやる。虚を突くことこそ、この戦場においては一番のアドバンテージだ。
「ざんねーん笑魔法陣はちゃんと見ておくべきだったね?」
メテヲはそう言って、ニヤリと笑う。メテヲの手のひらには小さな魔法陣が宿っており、それはつまり───
「ドーンッ♪」
そう言った瞬間、その拳は爆発し、俺を後方へと吹き飛ばした。
「〜〜〜ッッ!!」
顔面からもろに食らったその一撃はかなり痛い。顔を手で拭えば、鼻からは血が出ている。戦闘中に鼻血が出るなんて、初めての事だった。ピンチ。今、この状況を表すのに1番適している言葉。だけれど、ワクワクは止まること知らず、恐怖は微塵も感じない。
死と死の境界線。それこそが戦いにおいて、最も集中できる状況であり、最も燃える瞬間なのだ。
俺は、勇者いえもん。殺る時は、殺る。俺は血を拭いながら不敵に笑う。
ここで切ります!今回は教会が爆発した時の、いえもんさん視点ですね〜。いやーメテヲさんの不気味さを出すのが難しすぎる…。シスターと教会のテーマは1回は書きたかったんですよねー。シスター役は最後まで決められなかったんですが、立ち絵が両目黄色系の人にやらせよう!ってなりました。で、それが八幡さんとメテヲさんだったんですよねー確認した限りは。で八幡さんはシスターみたいな柄じゃないですし、いや、やらせてもいいんですけど、なんか中立にいそうで…。メテヲさんならちゃんと敵対してくれそうだなーって思って。ま、メテヲさんは公式男の娘設定ですから。許されます。はい。
その時の衣装のやつ載せたっけな…?まあ、ハロウィンイラストで出した気がするのでいっか!
それでは!おつはる!
コメント
14件
見忘れた😇
勇者が狂戦士なのいいななんか
メッテヲォォォォ!! 何しとんじゃお前!