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何かおかしい。
そう感じたのはいつだろう。
小田切「おはようございます」
井沢「おはよう、小田切くん遅刻じゃないけどいつも早い方なのに珍しいね〜」
小田切「そうですね…ちょっと混んでて」
井沢「今日雨だったもんね〜」
すると、
小田切の耳元で井沢さんが何か話すと余程驚く内容だったのか小田切は分かりやすく目を丸くした。
小田切「…ありがとうございます」
吉岡「なんですかなんですか〜?」
小田切「あんたには関係ないでしょ?」
吉岡「え〜教えてくださいよ〜小田切さんのくせにっ」
小田切「うっさいわ。」
いつも通り叩かれる吉岡は気づいていないかもしれないが、いつも隣にいる俺にとっては今日の小田切は明らかに動揺している。
まあ無理に聞くより彼女が言いたい時に言えばいい、俺はそう思っていた。
お昼休憩になり、自販機から帰ってきた時、井沢さんが小田切と何か話しながらミハンルームを出てくるのが見えたので慌てて物陰に隠れる。
井沢「…そうだね〜そろそろ相談した方がいいんじゃない?」
小田切「でも、心配かけたくなくて…」
井沢「小田切くん。」
その言葉と同時に井沢さんの手が小田切の肩をゆっくり掴んだ。
そして、鏡目線を合わせたこれでもかと優しい声で言った。
井沢「相手にとっては、何も言わないで君が1人で抱えている方がよっぽど心配なんだよ」
小田切「…そうですよね…分かりました。
言ってみます」
井沢「うん。何かあったらいつでも言って?一緒にご飯行ってあげるから〜」
小田切「大丈夫です」
井沢「え〜冷たいなぁ」
そんな若干親子のように見えた2人をあとに俺はミハンルームに向かった。
定時を過ぎた…報告書の確認から戻ってきたら、もうみんな帰っていて机に突っ込している彼女の姿があった。
山内「小田切。大丈夫か?」
小田切「…っ……なんでもないから…」
少し顔を上げた彼女の目は濡れていて、赤くなっていた。
呼吸を整えようと背中を優しく叩く。
小田切「……山内さんっ」
いつもは絶対俺から抱きしめるのに急に抱きついてくるもんだから、つい「小田切っ!?」と声を出してしまった。
呼吸が整った後話を聞くと、ここ何日か帰ってる途中で男に声をかけられホテルに連れてかれるらしい。
過去の事がある小田切にとってはかなり怖かったはずだ。
そしてホテルに連れてかれて体を触られるらしい。
山内「ごめんな。守ってられなくて、」
湯川の時もそうだ、ああなる前でも異変に気づいて、対処できたはず。
小田切「…いいの。山内さんは悪くないでしょ?」
山内「明日から俺も一緒に帰るわ」
小田切「え、でも駅離れてるよね?」
山内「だって怖いだろ?」
小田切「うん、ありがとう」
そう言って彼女は嬉しそうに笑った。
次の日…
帰る準備した。
吉岡「あれ〜もしかして山内さんたち一緒に帰るんですか?」
山内「は?」
小田切「あんたには関係ないから」
吉岡「またそれですか?」
そしてミハンルームを出た。
少し歩いていると後ろから男が来た。
俺はなんとなく確信した。
…こいつだ。
男「ねぇ〜君暇でしょ?俺と遊ばない?」
小田切「いやです。暇じゃありませんし、」
山内「いいじゃんかよ〜」
男はひつこく寄ってくる。
小田切は恐怖からか俺のブルゾンの袖を掴んでいた。
山内「彼女嫌がってるじゃねーか」
小田切「は?お前誰?」
山内「俺の彼女だけど、何?」
男「チッ!彼氏いたのかよ!」
そして男は逃げていった。
山内「大丈夫か?」
小田切「うん。ありがとう」
山内「小田切怪我とかないか?」
小田切「私は大丈夫。山内さんが守ってくれたし、本当ありがとう!」
山内「ヤバっ!小田切時間ヤバいぞ。」
小田切「え?本当だ。遅刻する!」
そして私たちは急いで仕事へ向かった。
end.