それは、小学校を中心とした日本全国の多くの小学校に存在すると言われている。
そのほとんどは、子供たちの創作にすぎないのだが……
これは、私が小学3年生の時に体験した話です。
ある日の夜、私は宿題をしようとして学校に忘れ物をしたことに気がつきました。しかし、もう21時を過ぎていました。さすがに学校はもう閉まっているだろうし、親に言っても怒られるだけだろうと思ったので、諦めようとしていました。ちょうどその時、電話がかかってきました。クラスメイトのHちゃんでした。こんな時間にどうしたのかなと思って電話に出ると、Hちゃんも学校に同じ忘れ物をしたと言うのです。私も忘れたことを話すと、Hちゃんは一緒に取りに行こうと言いました。Hちゃんは元気な女の子で、私の一番の友達でもあり、憧れの存在でもありました。Hちゃんが言うならと、私は親には内緒にして学校に行くことにしました。
学校の前に着くと、Hちゃんが待っていました。Hちゃんに声をかけて駆け寄ると、静かにするように怒られました。よく見ると、近くに警備会社の車が停まっています。警備員が学校で夜の見廻りをしているようでした。でもそのおかげで、校門や校舎の正面玄関が開いていたので学校に入ることができました。警備員に見つからないように物音を立てないように自分たちの教室に行って、忘れ物を探しました。忘れ物を見つけて帰ろうとした、その時、廊下から足音が聞こえてきました。私たちは慌てて教壇の下に隠れました。だんだんと足音が近づいてきます。足音は、私たちのいる教室の前で止まりました。そこで、私はある違和感に気づきました。夜の学校の見廻りをしているのに、その足音の主はライトをつけていないのです。Hちゃんにそのことを話すと、この学校で噂されている七不思議の1つを教えてくれました。それは、夜の学校を巡回している警備員の幽霊の話でした。私が怖がっていると、廊下の足音がだんだん遠ざかって行きました。恐る恐る教壇の下から出て、廊下を確認すると誰もいませんでした。すると、Hちゃんが良い機会だから旧校舎に行ってみようと言い出しました。確かに、私たちの学校には何十年も使われずそのままになっている旧校舎がありました。私は怖くて嫌でしたが、Hちゃんがとても楽しそうにしているので、扉の前まで行けば満足するだろうと思ってついていくことにしました。警備員に見つからないように旧校舎の扉の前まで行くと、いつもは鎖と南京錠でぐるぐる巻きにされているはずの扉は、鎖が巻かれているどころか少し開いていました。私は嫌な予感がして帰ろうとしましたが、Hちゃんは中へ入って行ってしまいました。
仕方なくついていくとHちゃんは旧校舎で起こる七不思議の1つを語り始めました。旧校舎の4階1番奥の女子トイレの4番目(1番奥)の個室が使用禁止になっていて、そこへ入ろうとするとあの世に連れて行かれるというものでした。いわゆる”トイレの花子さん”です。Hちゃんはそこへ行ってみようと言いましたが、私はさすがにそれは怖かったので断りました。すると、Hちゃんは1人で行くと言って4階へと上がって行きました。私はしばらくの間、1階にいました。でも1人でいるのが怖かったし、帰りの遅いHちゃんのことが気になったので4階の女子トイレに行くことにしました。自分の足音だけが校舎内に響き渡り、不気味に思いながらも4階に上がりました。女子トイレの前まで着くと、Hちゃんの名前を呼びました。しかし、返事はありません。勇気を出して中に入ると、そこには誰もいませんでした。まさかと思い、一番奥のトイレの扉を開けようとしましたが、固く閉ざされていてびくともしませんでした。もしかしたら、引き返したHちゃんと入れ違いになってしまったのかと思って旧校舎の入り口まで戻りましたがHちゃんに会うことはできませんでした。仕方なく、私は1人で家に帰りました。明日の朝、教室に行けばHちゃんに会えるだろうから、その時話せばいいと思ったからです。
次の日の朝、教室に行くとHちゃんの姿はありませんでした。旧校舎で何かあったのかと思って、扉の前に行くといつものように鎖でぐるぐる巻きにされていて南京錠がかかっていました。しかも、その鎖と南京錠は錆びていて長いこと開けられていないことがわかりました。それだけではなくHちゃんのことを先生に聞くと、そんな名前の児童はクラスにもいなければどの学年にもいないと言われました。友達に聞いても、そんな子知らないと皆言いました。携帯を確認すると、Hちゃんとの写真も連絡先も何もありませんでした。まるで、Hちゃんは最初からいなかったかのように。唯一、昨日の夜の通話履歴は残っていました。そこへ電話をかけてみると、旧校舎の中から着信音のような音が聞こえてきたような気がしました。
卒業するまで、私はHちゃんの話を誰にもしたことはありません。変な子だと思われるのも嫌でしたし、夜の学校や旧校舎に忍び込んだことがバレて怒られるのが怖かったからです。私が大学生になった時、あの旧校舎が取り壊されることになりました。私は上京していたので、これは地元の友達から聞いた話ですが、旧校舎から白骨化した遺体が発見されたそうです。詳しいことは怖くて聞けていません。
Hちゃんは、異世界に連れて行かれてしまったのでしょうか。それとも、旧校舎にいる花子さんとは彼女のことだったのでしょうか。今でもわかりません。皆さんはどう思いますか。
いかがでしたか。不思議な話でしたね。
ちなみに、警備員に関しては懐中電灯が電池切れになっただけだったみたいですよ。
皆さんも夜の学校には気を付けてくださいね。
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